大学「2026年問題」の本質 ―少子化時代に「どの大学に入るか」より大切なこと

大学「2026年問題」の本質 ―少子化時代に「どの大学に入るか」より大切なこと 五十嵐校長コラム

大学「2026年問題」の本質 ―少子化時代に「どの大学に入るか」より大切なこと

スカイ予備校校長の五十嵐です。今日のテーマは、日本の高等教育界が直面する大きな転換期、いわゆる「2026年問題」についてです。この問題は、単に大学の存続に関わるだけでなく、受験生の皆さんの進路選択、そしてその後の人生設計にまで深く関わる重要なテーマだと認識しています。

今後10年で50〜100校の大学が消えるかもしれない。このような予測が現実味を帯びる中、私たちは「大学に進学する意味」そのものを問い直す時期に来ています。スカイ予備校で30年間、多くの生徒さんと向き合い、彼らの成長を間近で見てきた私だからこそ、今、皆さんに最も強く伝えたいことがあります。それは、2026年以降、日本の大学を取り巻く環境が劇的に、そして不可逆的に変わるということです。この変化の本質を理解し、主体的に未来を切り拓く準備をしてほしいと願っています。

大学が「戦国時代」に突入する現実とその背景

なぜ2026年がターニングポイントなのでしょうか。その理由は、日本の18歳人口が、この年に急激な減少フェーズに入るからです。現在の約120万人という18歳人口は、2040年には約88万人まで減少すると推計されています。この数字が意味するのは、大学にとって「学生の奪い合い」が、より一層本格化するということです。

私が教壇に立ち始めた30年前、多くの大学で入試倍率が2倍、3倍は当たり前でした。有名大学に限らず、全国各地の大学が受験生で賑わい、大学進学は多くの若者にとって将来を約束する「切符」のような存在でした。しかし、今はどうでしょうか。私立大学の約半数が定員割れを起こしているのが現状です。この流れは今後さらに加速し、特に地方の中小規模大学を中心に、経営が立ち行かなくなる大学が続出すると予想されています。これは、大学経営という観点から見れば非常に厳しい現実ですが、一方で、受験生や保護者の皆様にとっては、より戦略的な選択が求められる時代が到来したことを意味します。

「学歴」の意味が変わる時代 ―「入口」から「プロセス」へ

では、大学ブランドの価値が絶対的ではなくなる時代に、「学歴」というものはどのように活かせばよいのでしょうか。この問いに対する私の答えは明確です。それは、学歴を「入口」ではなく「プロセス」として捉えることです。

先日、企業の採用担当者の方々と意見交換をする機会がありました。彼らが口を揃えておっしゃるのは、「大学名も参考にしないわけではないが、それ以上に、その人が大学の4年間で何をしてきたかを見る」ということです。同じ有名大学を卒業した学生であっても、4年間で何を学び、どのような経験を積み、どのようなスキルを身につけたかによって、企業からの評価は大きく変わるのが現実です。

例えば、私の教え子にAさんという生徒がいます。彼は都内の有名私立大学に進学しました。しかし、彼は単に授業を受けるだけでなく、国際ボランティア活動に積極的に参加し、地域の子どもたちに英語を教えるプロジェクトを自ら立ち上げました。この経験を通して、彼は語学力だけでなく、プロジェクトマネジメント能力、リーダーシップ、そして異文化理解の力を培いました。就職活動の際、彼は大学名だけでなく、これらの具体的な経験を自信を持ってアピールし、難関企業の内定を勝ち取ることができました。

一方で、別のBさんという生徒は、同じ大学に進学しましたが、大学生活を漫然と過ごしてしまいました。サークル活動には参加したものの、特に情熱を傾けることもなく、アルバイトも惰性で続けていました。卒業後、彼は就職活動で苦戦し、最終的には自分の希望とは異なる職種に就くことになりました。

この二人の例が示すように、「どの大学に入ったか」よりも「その大学で何をしたか」が、その後のキャリアを大きく左右する時代になったのです。学歴は、確かに社会に出るための「入口」の一つではありますが、その「入口」を通った後の「プロセス」こそが、皆さんの真の価値を形成するのです。

入試の二極化が進む現実と、その中で見出す価値

定員割れ大学の増加という現実の中で、日本の大学入試は、明確な二極化が進んでいます。一方で、東京大学、京都大学をはじめとする旧帝大や、早慶上智といった難関私立大学の競争は依然として激しく、合格を勝ち取るためには非常に高い学力と戦略的な対策が求められます。もう一方では、少子化の影響を強く受け、入学しやすい大学が増加しています。

この現象で大切なのは、「入りやすい大学=価値がない大学」ではない、と理解することです。私の教え子の中には、偏差値だけを見れば決して高くはない大学に進学したものの、そこで情熱を持って学び、素晴らしいキャリアを築いた人がたくさんいます。

例えば、Cさんという生徒は、地方の私立大学に進学しました。彼は高校時代、特に目立った成績ではありませんでしたが、大学で出会ったある教授の研究室に感銘を受け、そこでAIを活用した地域活性化の研究に没頭しました。彼はゼミの仲間と協力し、地域の商店街にAIチャットボットを導入するプロジェクトを成功させ、それが地元のテレビ局でも取り上げられるほどになりました。卒業後、彼はITベンチャー企業に就職し、今ではその会社の中核を担うエンジニアとして活躍しています。

Cさんの例は、大学の「ブランド」や「偏差値」だけでは測れない、その大学が持つ「教育の質」や「研究環境」、そして「学生個人の学びへの熱意」の重要性を教えてくれます。入りやすい大学であっても、そこで何を学び、どのような経験を積み、どのように成長するかは、すべて自分次第なのです。

「何をするか」が問われる時代へ ―主体的な大学選びの重要性

これからの時代は、「どの大学に入るか」よりも「その大学で何をするか」が圧倒的に重要になります。これは、単に「勉強する」ということだけを指すのではありません。大学という環境を最大限に活用し、自身の成長のために能動的に行動する、という意味です。

具体的な目標を持って大学選びをすることが、これまで以上に大切になります。例えば、

* 研究に打ち込みたいなら、その分野で優れた教授陣や最先端の研究施設が充実している大学を選ぶべきです。オープンキャンパスや大学のウェブサイトを通じて、具体的な研究テーマや教員の研究実績を詳しく調べてみましょう。
* 将来的に起業したい、あるいはビジネスに興味があるなら、スタートアップ支援プログラムが充実している大学や、企業との連携が盛んな大学を探すのが賢明です。ビジネスコンテストや実践的なインターンシップの機会があるかどうかも重要なポイントです。
* 国際的な視野を広げたいなら、充実した留学制度や交換留学プログラム、あるいは国際系の学部学科が豊富な大学を選ぶことが重要です。外国人留学生との交流機会がどれくらいあるか、英語で受講できる授業の割合なども確認しましょう。
* 特定の分野で専門性を深めたいなら、その分野に特化した学部や学科があるか、卒業生の就職先が自分の目指すキャリアと合致しているかを確認しましょう。専門職大学や短期大学なども視野に入れる価値があります。

このように、自分の目標を明確にし、その目標達成のために最適な環境を提供してくれる大学を選ぶことが何より大切です。

私は生徒たちに常々、「大学は人生の通過点に過ぎない。しかし、その通過点で何を得るかが、その後の人生の質を大きく左右する」と伝えています。有名大学に入学したとしても、そこで4年間を漫然と過ごせば、得られるものは限られるでしょう。しかし、どんな大学に進学したとしても、そこで本気で学び、自ら機会を掴み取ろうと努力すれば、必ず大きな成長を遂げることができます。

私の教え子の中には、入学した大学の教育内容に物足りなさを感じ、自ら休学して海外留学をしたり、別の専門分野のオンライン講座を受講したり、あるいはNPO法人での活動に打ち込んだりした生徒もいます。彼らは皆、大学という枠にとらわれず、自らの成長のために主体的に行動し、結果として卒業時には社会から高い評価を受ける人材へと成長していました。

保護者世代の価値観をアップデートしよう

保護者の皆さまにお伝えしたいことがあります。私たちの世代が経験した「良い大学=安定した人生」という方程式は、残念ながら、もう絶対的なものではなくなっています。もちろん、伝統と実績のある大学が持つブランド力は依然として強力ですが、それだけで子どもの未来が安泰であるという保証はどこにもありません。

大切なのは、お子さんたちが変化の激しい現代社会、そして未来を生き抜くための「力」を身につけることです。それは具体的に、

1. 自分で考える力(Critical Thinking):与えられた情報を鵜呑みにするのではなく、多角的に物事を捉え、論理的に思考し、自分なりの意見を形成する力です。
2. 学び続ける力(Lifelong Learning):大学を卒業すれば学びが終わるわけではありません。社会に出てからも、新しい知識やスキルを積極的に習得し、自己をアップデートし続ける姿勢が不可欠です。
3. 人とつながる力(Networking & Communication):異なる背景を持つ人々と協力し、共創する力です。コミュニケーション能力やチームワーク、異文化理解は、どんな分野でも成功するために必須のスキルです。
4. 課題解決能力(Problem Solving):複雑な問題に対し、論理的かつ実践的なアプローチで解決策を導き出す力です。

これらの力は、決して特定の有名大学でしか磨けないものではありません。どの大学に進学しても、お子さんの主体的な学びの姿勢と、大学が提供する環境を最大限に活用する努力があれば、十分に培うことができます。保護者の皆様には、お子さんの大学選びをサポートする際、偏差値やブランドだけでなく、大学の教育内容、卒業生のキャリアパス、そしてお子さん自身の興味や適性といった多角的な視点から、最適な選択ができるよう後押ししていただきたいと心から願っています。

希望に満ちた未来のために ―変化をチャンスと捉える視点

「2026年問題」は、確かに日本の高等教育界に大きな変化と課題をもたらします。しかし、私はこの変化を、単なる危機として捉えるだけでなく、新しい可能性の扉が開かれる時代だとポジティブに捉えています。

* 大学が学生を選ぶ時代から、学生が大学を選ぶ時代へとシフトします。これにより、各大学は教育の質向上や特色ある教育プログラムの開発に一層力を入れるようになり、結果として学生にとってより良い学びの機会が増える可能性があります。
* 画一的な「良い大学」という価値観から、多様な生き方や学び方が認められる時代へと変化します。それぞれの学生が自身の目標や興味に合った大学や学び方を選択できるようになることで、個性を活かしたキャリア形成がしやすくなります。

この大きな変化を前向きに受け止め、自分らしい道を見つけてほしいのです。既存のレールに沿うことだけが正解ではありません。自分の「好き」や「得意」を追求し、自分だけのキャリアパスを創造する勇気を持つことが、これからの時代を生き抜く鍵となります。

スカイ予備校は、創立以来30年間、「生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出すこと」を教育理念として掲げてきました。目の前の受験勉強だけでなく、その先の人生を豊かにするためのサポートをすることが、私たちの使命だと考えています。

私は30年間の経験を通して確信しています。どんなに時代が変化しようとも、本気で学び、自分を成長させようと努力する人には、必ず道が開かれると。そして、その道は決して一つではありません。それぞれの個性と情熱に応じた、無限の可能性が皆さんには広がっています。

スカイ予備校は、皆さんがその可能性を最大限に引き出し、輝かしい未来を創造できるよう、全教職員一丸となって、これからも全力でサポートしてまいります。皆さんの輝かしい未来を、心から応援しています。

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