2026年の入試は、「何を知っているか」より「どう考えられるか」を問い始めています。私(五十嵐)が30年間この教育現場で見てきた中で、これほど大きな変化の波を感じたことはありません。今日は、この変化の本質と、皆さんがどう準備していけばよいのかを、できるだけ具体的にお話ししましょう。
受験生の皆さんにとって、入試制度の変化は不安に感じるかもしれません。しかし、正しく理解し、正しく準備すれば、むしろこの変化は皆さんの味方になります。これまでのように「とにかく暗記量で勝負する」やり方が通用しにくくなる一方で、日頃から考える習慣を持っている人にとっては、大きなアドバンテージとなるのです。保護者の皆さまにも、ぜひこの記事を通じて、お子さまの学びをどうサポートすればよいか、具体的なヒントをつかんでいただければと思います。
なぜ大学入学共通テストは変わり続けるのか
「また入試が変わるの?」と思われる保護者の方も多いでしょう。しかし、この変化には深い理由があります。社会で求められる人材像が根本的に変わったからです。
かつては「正確に覚えて、早く処理する」ことが重要でした。しかし今は、AIが計算も暗記もしてくれる時代です。企業が求めているのは、答えのない問題に向き合い、自分なりの解決策を考え出せる人なのです。実際に、経団連が発表した調査でも、企業が新卒採用で最も重視する能力として「主体性」「課題設定・解決能力」が上位に挙がっています。単に知識を蓄えているだけでは、社会に出てから通用しない時代になりつつあるのです。
私の教え子たちを見ていても、社会で活躍している卒業生ほど「なぜだろう?」「どうすればいいだろう?」と問いかける習慣を持っています。彼ら彼女らに共通しているのは、受験勉強の時期から「ただ覚える」のではなく、「理解して、自分の言葉で説明できるようにする」という姿勢で学んでいたことです。
文部科学省が掲げる「学力の三要素」――知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度――は、まさにこうした社会の要請を反映したものです。大学入学共通テストの変化は、この三要素をバランスよく測ろうという意図の表れにほかなりません。
思考力問題って、実際にはどんな問題?
「思考力問題」と聞くと難しそうですが、実は身近なテーマが多いんです。例えば、以下のような問題が出題されています。
- 国語:「SNSでの情報発信について、複数の意見を読んで自分の考えをまとめなさい」といった問題。複数の資料を読み比べ、それぞれの主張の根拠と限界を見抜く力が問われます。
- 数学:「学校祭の出店で利益を最大化するには?」のような実生活に根ざした問題。公式をそのまま当てはめるのではなく、条件を整理し、最適な戦略を導き出す力が必要です。
- 英語:複数の英文資料やグラフを読み取り、それらを統合して結論を導く問題。単語を知っているだけでは太刀打ちできません。
- 理科:実験の結果から仮説を立て、その仮説を検証するための追加実験を設計する問題。教科書に載っている実験をそのまま覚えるだけでは対応できません。
- 社会:複数の歴史的資料を比較し、当時の人々がなぜその判断をしたのかを多角的に分析する問題。年号の暗記だけでは歯が立ちません。
これらの問題に共通するのは、「唯一の正解」がないこと。大切なのは、自分なりの根拠を持って論理的に説明できるかどうかです。つまり、「正解を当てる」のではなく、「自分の考えを筋道立てて表現する」ことが求められているのです。
2026年入試で特に注目すべき変更点
2025年の共通テストから「情報Ⅰ」が新教科として加わったことは記憶に新しいですが、2026年に向けてさらに注目すべき変化があります。
- 教科横断型の出題がさらに増加:一つの題材について、複数の教科の知識を組み合わせて解く問題が増えています。例えば、環境問題をテーマに、理科の知識と社会の視点と数学の分析力を同時に問うような出題です。
- 記述式要素の実質的な拡大:共通テスト本体での記述式導入は見送られましたが、各大学の個別試験では記述・論述の比重が確実に増しています。
- 総合型選抜・学校推薦型選抜の定員拡大:国公立大学でもこれらの選抜方式の定員が増加傾向にあり、もはや「特別な入試」ではなく「主流の入試」になりつつあります。
これらの変化に対応するには、高校3年生になってから慌てて対策するのでは遅いのです。日頃からの「考える習慣」の積み重ねが、そのまま入試対策になる時代が来ています。
「答えを覚える」から「問いを立てる」勉強への転換
では、どう勉強スタイルを変えればよいのでしょうか。私がおすすめするのは以下の方法です。
①教科書を読んだら「なぜ?」を3つ見つける
例えば、歴史の授業で江戸幕府の鎖国政策を学んだとします。そこで終わりにせず、こんな問いを立ててみてください。
- 「なぜ江戸幕府は鎖国をしたの?」
- 「他の選択肢はなかったの?」
- 「現代なら同じ判断をする?」
このように問いを立てるだけで、一つの知識が何倍にも広がります。そして、その問いに対する自分なりの答えをノートに書いてみてください。最初は数行でも構いません。この習慣が、思考力の土台を作ります。
②友達と「もしも」の話をする
「もしも重力がなかったら?」「もしも戦争がなかったら歴史はどう変わった?」「もしもインターネットが発明されなかったら?」こうした対話は、一人では気づけない視点を与えてくれます。友達との何気ない会話が、実は最高の思考力トレーニングになるのです。
③日常の疑問を大切にする
「なぜコンビニは24時間営業なの?」という素朴な疑問から、経済の仕組み、労働問題、地域社会のあり方まで考えが広がります。「なぜスマホの画面は四角いの?」から、工学やデザイン思考の世界が見えてきます。日常は「問い」の宝庫なのです。
④「説明する」習慣をつける
学んだことを誰かに説明してみてください。家族でも友達でも構いません。人に説明しようとすると、自分の理解が曖昧な部分が浮き彫りになります。これが「わかったつもり」を防ぐ最も効果的な方法です。説明する相手がいない場合は、ぬいぐるみに向かって話しても構いません。大切なのは、「自分の言葉でアウトプットする」というプロセスそのものです。
総合型選抜が増える本当の理由
最近、総合型選抜(旧AO入試)で合格する生徒が増えています。これは、大学が「点数では測れない力」を重視し始めた証拠です。
先日、総合型選抜で難関大学に合格した生徒に秘訣を聞くと、「『ありたい自分』が明確だったから」と答えてくれました。「将来こんな人になりたい」「社会にこんな貢献をしたい」という想いを、具体的なエピソードとともに語れる力が求められているのです。
ここで重要なのは、総合型選抜は「勉強しなくても受かる入試」ではないということです。むしろ、深い学びと幅広い教養、そして自分自身と向き合う力が求められます。スカイ予備校では、総合型選抜対策として、志望理由書の作成指導や面接練習はもちろん、日常的な思考力トレーニングから丁寧にサポートしています。
また、総合型選抜で求められる「自分の軸」は、一般選抜の対策にも大いに役立ちます。自分がなぜその大学で学びたいのかが明確な生徒は、勉強のモチベーションが格段に高く、結果的に一般選抜でも好成績を残す傾向があります。
中学生から始める思考力トレーニング5選
「今から何ができるの?」という中学生の皆さんへ、私がおすすめする5つのトレーニングをご紹介します。
- ニュースに対して家族で意見交換:夕食の時間にテレビのニュースについて「あなたはどう思う?」と話し合うだけでOKです。正解を求める必要はありません。
- 読書後に「もし自分が主人公なら?」を考える:物語の世界に自分を置いてみることで、想像力と共感力が養われます。
- 身の回りの「当たり前」に疑問を持つ:「なぜ信号は赤・黄・青なの?」「なぜ学校は朝から始まるの?」小さな疑問が思考の出発点です。
- 異なる立場の人の気持ちを想像する:ニュースを見たとき、当事者だけでなく、関係するさまざまな立場の人の視点で考えてみましょう。
- 「なぜそう思うの?」を口癖にする:自分自身に問いかけることで、感覚的な判断から論理的な思考へとステップアップできます。
これらは特別な勉強ではありません。日常の中で「考える習慣」を身につけることが、最も効果的な思考力トレーニングなのです。そしてこの習慣は、受験だけでなく、大学での学び、そして社会に出てからも一生の財産になります。
保護者の皆さまへ ―家庭でできるサポート
保護者の皆さまにお願いしたいことがあります。それは、お子さまの「なぜ?」を大切にしてほしいということです。
お子さまが「なんで空は青いの?」と聞いてきたとき、「そういうものだから」と流してしまうのはもったいないことです。「一緒に調べてみよう」「あなたはどう思う?」と返すだけで、お子さまの思考力は大きく伸びます。
また、テストの点数だけでなく、「どう考えたか」のプロセスに注目してあげてください。たとえ答えが間違っていても、考え方が面白ければ「いい着眼点だね」と褒めてあげてください。そうした関わりが、お子さまの「考えることが好き」という気持ちを育てます。
スカイ予備校の思考力育成プログラム
スカイ予備校では、2026年入試改革を見据えた独自の思考力育成プログラムを実施しています。
- 対話型授業:一方的な講義ではなく、生徒同士のディスカッションを取り入れた授業で、多角的な思考力を養います。
- 探究学習サポート:生徒一人ひとりが自分の「問い」を持ち、それを深めていくプロセスを個別にサポートします。
- 振り返りノート:毎日の学びを「なぜ?」「だから何?」の視点で振り返るノートを活用し、思考の習慣化を図ります。
- 総合型選抜対策:志望理由書の作成から面接対策まで、「自分の言葉で語れる力」を徹底的に鍛えます。
最後に ―「考える力」は必ず身につく
30年間多くの生徒を見てきた私が確信していることがあります。それは、「考える力」は必ず身につくということです。最初は難しく感じても、毎日少しずつ続けることで、きっと「考えることが楽しい」と思える日が来ます。
かつて私の教え子に、入塾当初は「考えるのが苦手」と言っていた生徒がいました。しかし、毎日の「なぜ?ノート」を半年間続けた結果、自分から「先生、こんなこと考えたんですけど」と目を輝かせて話してくれるようになりました。その生徒は第一志望の大学に合格し、今では研究者として活躍しています。
2026年の入試改革は、皆さんにとって大きなチャンスです。「覚える勉強」から「考える学び」へのシフトを、一緒に楽しんでいきましょう。スカイ予備校は、皆さんの「考える力」を全力でサポートします。どんな小さな疑問でも、どんな些細な不安でも、いつでも相談に来てください。私たちは、皆さんの挑戦を心から応援しています。
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