私立大学のほとんどで導入されている総合型選抜(旧AO入試)。近年では国立大学や公立大学でもその導入が進んでおり、文部科学省の方針に大きな変化がなければ、今後もさらに増加していくものと考えられています。
そして、総合型選抜(旧AO入試)を実施する多くの大学で行われるのが面接試験です。面接試験の目的は、受験生がどんな人物なのか、大学の求める人物像に合致しているのか、どれだけ学びたいという意欲があるのかを確かめることにあります。
この記事では、総合型選抜(旧AO入試)の面接について気になることを、わかりやすく説明していきます。どのような準備をしたらよいのか、まずは知ることから始めましょう!
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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総合型選抜(旧AO入試)の面接の流れ
面接の流れはどのようなものでしょうか。細かな違いはあるものの、どの面接もだいたい次のような流れで進んでいきます。
それぞれの場面で気をつけたいマナーについては、このあと詳しく説明していきます。
総合型選抜(旧AO入試)の面接で気をつけたいマナー
「人は見た目が9割」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。会話の印象を決める要因の9割は視覚・聴覚情報である、という法則のことです。これは入試面接においても同じことと言えるでしょう。すなわち、しぐさや振る舞いといったマナーがとても重要になってくるのです。
面接の流れに沿って、マナーを確認していきます。これから先ずっと役立つことですので、この機会に身につけてしまいましょう!
受付
ここから面接は始まっていると心得ましょう。まずはあいさつをして、名前を伝えます。そして面接で来校したということ伝えましょう。 係の人の誘導に従って面接会場に向かいます。
控室
自分の順番が来るまで静かに座って待ちましょう。控室での様子も見られていることがあります。足を組んだり歩き回ったりせず、姿勢を正して椅子に座りましょう。スマホの電源は切っておきます。
入室
名前が呼ばれたら大きな声で返事をして、面接室のドアをはっきりと2〜3回ノックします。
中からの返事を確認したら、「失礼します」と言ってドアを開け、面接室に入ります。この時ドアは両手で開け閉めしましょう。
中に入ったら、面接官に向かって笑顔で「失礼します」とあいさつしてから、お辞儀をします。 マナーの基本は、言葉を言ってからお辞儀をする「分離礼」です。
お辞儀の後で「◯◯高等学校から参りました◯◯です。よろしくお願いします。」と自己紹介をしましょう。
着席
着席を促されてから、「失礼します」と言って、席に座ります。背筋を伸ばし、視線をまっすぐ前に向け、速やかに歩いて席に向かいましょう。
荷物は椅子の横側に置きます。置き場所の指定があるときは指示に従います。
座る姿勢は、背筋を伸ばし、椅子に浅めに腰かけるようにします。男子は両脚を肩幅程度に開き、両手を軽く握って膝の上に置きましょう。女子は膝をそろえて座り、手は左手を上に重ねて膝の上に置くと上品な印象になります。
質疑応答
質問をよく聞き、面接官の目を見て答えましょう。真剣でありながらもにこやかな表情で答えられることが理想です。話すときに髪や顔を触るなどの癖がある人は、意識して癖を抑えるようにしてください。
緊張すると早口になりがちです。少しゆっくり目に話すよう心がけましょう。話し言葉や若者言葉は使わず、敬語を適切に使いましょう。
質問が理解できなかったときは、「恐れ入りますが、もう一度質問を伺えますでしょうか?」と聞き直します。質問がわからないまま答えるのはNGです。 質問に答えられないときは、考える時間をもらうか、正直に答えられない旨を伝えましょう。
退室
面接の終了が告げられたら、座ったまま「ありがとうございました」と言って、お辞儀をします。
椅子の横に立ち、「失礼いたします」とあいさつをして、再びお辞儀をします。
出口まで進んだら、面接官の方に向き直って、最後にもう一度「失礼いたします」とあいさつをしてから退室しましょう。ドアは両手で開け閉めします。
以上が気をつけたい入試面接のマナーとなります。普段やり慣れないことも多く、間違えずにできるか不安になりますよね。でも、もし少々おかしな振る舞いをしてしまっても大丈夫! 面接官は受験生が緊張していることを理解しています。ミスは気にせず、面接官に敬意を払う気持ちで面接に臨みましょう。
学校や塾で先生と一緒に練習して、当日あたふたすることのないようにしましょう。
総合型選抜(旧AO入試)の面接ではどのようなことを質問される?
面接のマナーについては理解できたでしょうか。続いて、面接で質問される内容について見ていきましょう。
よく聞かれる質問
よく聞かれるこれら4つの質問について、質問の意図や受かる回答のポイントを確認していきましょう。
志望動機
「あなたはなぜこの学部を選んだのですか」
「なぜ他の大学ではなく、我が校を選んだのですか」
「本学を訪れたことはありますか。また、その印象を教えて下さい」
必ずと言っていいほど問われるのが、志望動機についてです。この質問によって、面接官は受験生の目的意識や入学への意欲・熱意を確かめようとしているのです。
自分のやりたいことや興味のあることは何なのか、そのために大学では何を学びたいのかということについて、深く掘り下げて考えておく必要があります。また、他の大学ではなくなぜその大学で学びたいのかということを答えられるように、学校研究も必要となるでしょう。
入学後の抱負
「入学後、どのような学生生活にしたいか教えてください」
「興味のある教員や入りたいゼミナール・研究室を教えてください」
「将来はどのような職業に就きたいのですか」
「あなたの10年後のビジョンについて、教えてください」
大学は学びの場です。したがって、入学後の抱負についての質問には、受験生の勉学への意欲を確認したいという意図があります。
志望学部や学科のカリキュラムやゼミナールについて触れる、そこで学ぶことによって取得できる資格について触れるなど、自分なりの具体性や将来のビジョンを盛り込んだ内容にできると良いでしょう。
高校生活について
「高校生活で力を入れたことは何ですか」
「出身高校の紹介をしてください」
力を入れたことについての質問では、成し遂げた結果の大小よりも、受験生がその時どのように動き主体的に行動したのかが見られています。さらに、そこで得たことを大学での学びにどのように活かしていくかということまで結びつけて話ができると良いでしょう。
出身高校の紹介では、理念・建学精神、部活動、進学実績、立地などを挙げることが多いと思われますが、それだけでは独自性に欠ける印象です。出身高校ならではの事例を探し、その活動から自分が何を学んだのかも述べて、さりげなく自己アピールしましょう。
具体的なエピソードや事例をもとに、そこで自分が何を学んだのかを盛り込むことがポイントです。
自己PR
「あなたの長所を教えてください」
「自己PRをしてください」
受かる自己PRのポイントは、「何をやってきたか」、「何ができるか」、「今後どうしていきたいか」の3つが入っていることです。
長所、特技、取得した資格や検定はもちろん、学校の勉強や部活でも構いません。具体的なエピソードを挙げて、あなたがしてきた努力や困難に立ち向かったこと、その過程で成長できたことや身についたこと、それを活かして大学ではどうしていきたいかということを、アピールしましょう。
自分が大学の求める人物像と合致しているということを積極的に述べていきましょう。
変わった質問
入試面接では、これまで見てきたような王道の質問とは全く異なる、変わった質問がされることもあるようです。
「自分を色に例えると何色ですか」
「自分を動物に例えると何ですか」
「無人島に何か一つ持っていくとしたら何ですか」
といったような質問です。ただでさえ緊張している時に突然こんな質問をされたら戸惑ってしまいますよね。
では、面接官がわざわざ変わった質問をする理由は何なのでしょうか。それは、想定外のことに対する受験生の瞬発力、柔軟性、適応力、対応力を見たいからです。
勉強とは直接関係のない質問への回答から、受験生の全般的な物事の考え方を探ろうとしているという深読みもできなくはありません。しかし、先に挙げたような質問の場合、正解・不正解があるわけではありませんから、落ち着いて自分の言葉で答えることに努めましょう。
質問はありますか?と聞かれた時の答え方
これまで、面接官からの質問について見てきましたが、面接の最後に「何か質問はありますか」と逆に尋ねられることがあります。特にないと答えがちですが、せっかくの自己アピールのチャンスなので、活用しましょう。
「先生方のおすすめの講義や研究室は何でしょうか」
「私の志望動機について、先生方のご意見を伺いたいです。ご意見をもとに、さらに深く考えたいです」
「ゼミはどのように進んでいくのでしょうか」
「先生方のご専門と、その面白さについて教えてください」
慌てないように、あらかじめいくつか用意しておくと良いでしょう。
これが出れば合格?見逃したくない面接の合格サイン
ここまで、総合型選抜(AO入試)の面接の流れ、マナー、質問内容について見てきました。面接の最中はベストを尽くすのみですが、うまくいっているのかどうかはやはり気になりますよね。これが出れば合格?というような面接の合格サインはあるのでしょうか。
- 会話が違和感なくスムーズに続く
- 話が盛り上がる
- 最後まで目を見て話を聞いてくれる
といったものが、面接における合格サインと言われているようです。面接官の反応に一喜一憂したくなるところですが、まずは相手の話をよく聞いて答えるという対話の基本を、最後まで気を抜かずやっていくことに専念しましょう。
合格サインは、参考程度に知っておくと、面接中のモチベーション維持に役立つかと思います。
まとめ
今回は、総合型選抜(旧AO入試)の面接の流れ、マナー、質問内容、合格サインについて説明してきました。面接には時間をかけた事前の準備が必要であることがお分かりいただけたでしょうか。
品格ある振る舞いで面接官に良い印象を与え、深く吟味された自分の言葉で具体的な話ができるようにしましょう。そうすれば、自ずと結果はついてくるはずです!
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