「どこにも受からない」と泣いていた彼女が、指定校推薦でGMARCHに合格するまで

「どこにも受からない」と泣いていた彼女が、指定校推薦でGMARCHに合格するまで 五十嵐校長コラム

「先生、私、どこにも受からないと思います」

Aさんが私の前でそう言ったのは、高校3年生の7月だった。目を赤くして、制服の袖をぎゅっと握りしめながら。成績表を机に置いて、俯いたまま動かない。私はその瞬間、彼女の顔ではなく、その成績表をじっと見た。

数字だけ見れば、確かに厳しかった。評定平均は3.4。GMARCHの指定校推薦枠を狙うには、一般的に3.8〜4.0以上が必要とされている学校が多い。「難しいかもしれない」と思いかけた。しかし私はすぐにその考えを打ち消した。27年間、受験の現場を見てきた経験から、私は一つのことを確信している。数字は現時点のスナップショットに過ぎない。問題は、そこからどう動くかだ。

逆境――「指定校推薦なんて無理」と言われた生徒

Aさんは地方の公立高校に通う、どこにでもいる女子生徒だった。部活はバドミントン部。3年生になってから受験を意識し始めたが、1・2年生のうちに定期テストをおろそかにしてきた代償は大きかった。評定平均3.4という数字は、正直に言えばそのツケだ。

彼女の高校には、明治大学と法政大学の指定校推薦枠があった。しかし担任の先生には「あなたの評定では厳しい」と言われていた。保護者のお母さんも、面談で「先生に無理と言われたので、もう一般入試の準備をさせようと思っています」と私に話していた。

私はそのとき、正直に言った。「お気持ちはわかります。でも、私はまだ諦めていません」と。

なぜか。指定校推薦は、評定平均だけで決まるわけではないからだ。多くの高校では、校内選考において「評定平均+その他の要素」で候補者を決める。その「その他の要素」に、まだ伸びしろがあると私には見えていた。

転機――「評定を上げる」ではなく「学校に選ばれる生徒になる」

私がAさんに最初に言ったことは、「評定を上げよう」ではなかった。

「Aさん、あなたが明治や法政の指定校推薦をもらうために必要なのは、点数を上げることじゃない。あなたの高校の先生に『この子を推薦したい』と思ってもらうことだ」

彼女は少し驚いた顔をした。当然だ。多くの受験生は、指定校推薦=評定点数勝負だと思い込んでいる。しかしそれは半分しか正しくない。

指定校推薦の校内選考は、担任・学年主任・進路指導の先生方が関わる。彼らが見るのは数字だけではない。「この生徒は大学に行って恥ずかしくない行動をしてくれるか」「推薦状を書いてあげたいと思える生徒か」という、人間的な信頼感も大きく影響する。27年間で見てきた現場だからこそ断言できます。評定が多少低くても、先生方の信頼を勝ち取った生徒が推薦枠を取ることは、決して珍しくない。

私はAさんに、具体的な行動を提案した。

まず、3年生の1学期の定期テストで過去最高の点数を出すこと。評定3.4から劇的に上がらなくても、「直近で本気を出した」という事実が先生の印象を変える。次に、進路指導室に自分から足を運んで、先生と話す機会を作ること。そして、志望理由書の準備を人より早く始めること。

Aさんは黙って聞いていた。そして「やってみます」と言った。あの日の彼女の声のトーンは、今でも覚えている。小さかったが、震えていなかった。

合格――彼女が手にしたのは「枠」ではなく「自信」だった

7月から9月にかけて、Aさんは変わった。

定期テストの結果は、正直に言えば劇的ではなかった。評定平均は3.4から3.6に上がった程度だ。数字だけ見れば、まだ「推薦をもらえるライン」には届いていなかった。しかし彼女が変えたのは、数字ではなく姿勢だった。

進路指導の先生のところに週2回足を運び、大学で学びたいことを自分の言葉で話し続けた。志望理由書の下書きを何度も持ってきた。私のところにも毎週来て、「なぜ自分がその大学で学ぶ必要があるのか」を一緒に掘り下げた。

9月の校内選考の結果が出た日、Aさんから電話がかかってきた。

「先生、法政大学の推薦、もらえました」

声が震えていた。今度は、嬉しくて。

後から進路指導の先生に聞いた話では、選考の場で「Aさんは自分から動いてきた。大学でもやっていける」という声が上がったという。評定だけで見れば他に上の生徒もいたが、「推薦したい生徒」として選ばれたのはAさんだった。

私はこのとき、改めて確信した。指定校推薦は「成績優秀者に与えられる褒美」ではない。「この生徒を大学に送り出したい」という先生の意志が形になったものだ。だから、先生に「この子を推したい」と思ってもらえる生徒が、枠を手にする。

この話から、受験生に伝えたいこと

Aさんのケースは、決して特別ではない。私がこれまで見てきた中で、同じような逆転劇は何度もあった。

評定が足りないと言われた生徒が推薦をもらった。「あなたには無理」と言われた生徒がGMARCHに進んだ。その生徒たちに共通していたのは、「諦めなかった」という精神論ではない。もっと具体的なことだ。自分が選ばれるために何をすべきかを考え、動いた。それだけだ。

指定校推薦でGMARCHを目指す生徒に、私は必ずこう言う。「評定を上げることと、先生に信頼されることを、同時に進めなさい」と。どちらか一方では足りない。両方が揃ったとき、初めて枠が見えてくる。

そして、もう一つ。

指定校推薦は「楽な道」だと思っている受験生が多い。確かに、一般入試と比べれば試験の形式は違う。しかし「楽」ではない。校内選考という、ある意味で一般入試より見えにくい競争がある。そこで勝つために必要な準備を、早い段階から始めた生徒が合格をつかむ。

Aさんは今、法政大学で経営学を学んでいる。先日、近況報告のメッセージが来た。「ゼミの発表で先生に褒められました」と書いてあった。私は読みながら、7月のあの日、泣きながら成績表を持ってきた彼女の顔を思い出した。

人は、動けば変わる。それだけは確かだ。

スカイ予備校では、指定校推薦の対策も一緒に考えます

スカイ予備校では、指定校推薦を目指す生徒の相談を随時受け付けています。「評定が足りるか不安」「志望理由書の書き方がわからない」「校内選考に向けて何をすればいいか」――そういった具体的な悩みに、現場の経験をもとに一緒に向き合います。

一度、話しに来てください。Aさんと同じように、あなたの話を聞くところから始めます。

【五十嵐より追記】
(この記事を読んで思い出したこと、追加で伝えたいことをここに記入してください)
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