やる気の波で計画が崩れがちな受験生へ――メンタルを“コントロールする”のではなく“扱える”ようになる方法

大学受験

「今日はやる気が出ない」日がある現実

昨日は集中できたのに、今日は何も手につかない。机の前に座っても、ノートを開くだけで終わってしまう。——そんな日が続くと、「自分は意志が弱いのでは」と落ち込む人も多いでしょう。
でも、それは怠けではありません。脳の正常な反応です。

人間の脳は、常に一定のパフォーマンスを維持できる構造ではありません。ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の分泌は、睡眠・食事・ストレスの影響で日々変動します。つまり、同じ時間に同じ勉強をしても「集中できる日」「全くやる気が出ない日」が生じるのは自然なことです。
メンタルの波は“欠陥”ではなく、“生理的なリズム”なのです。

問題は、多くの受験生がこの波を「想定外」として扱ってしまうことです。計画を立てるとき、いつも「やる気がある自分」を前提にしてしまう。だから気分が落ちた日に消化できないと、「遅れた」「サボった」と自己否定へ転びやすくなります。
メンタルの波を否定すると、波はより大きくなります。大切なのは、波をなくすことではなく、波を前提に設計することです。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
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メンタルの波が起こる仕組み

感情の波には、科学的な周期があります。脳科学では集中力や意欲の変動が「ウルトラディアンリズム(90〜120分周期)」の影響を受けるとされ、体温・脈拍・脳波と連動しながら一定時間ごとに“上がり下がり”を繰り返します。
つまり、1日中やる気を維持するのは、そもそも不可能です。

さらにストレスが加わると、扁桃体が過剰反応し、不安や焦りが増幅します。扁桃体が強く働くと、前頭葉(思考を司る部分)の働きが抑えられ、論理的判断が鈍くなります。落ち込んでいるときに勉強が進まないのは、“努力不足”ではなく“脳の防衛反応”なのです。

また、やる気がある日に一気に詰め込みすぎると、脳が疲弊し、翌日に反動として大きな無気力期が来やすくなります(モチベーション反転)。
だからこそ、やる気がある日ほど「翌日の疲労」を見越しておく必要があります。

「やる気の波」は人間らしさの証

計画が崩れると「自分は計画性がない」「努力が足りない」と責めがちです。
でも感情が安定している人ほど、実は“波を許している”傾向があります。心理学では感情の変動を受け止める力を「情動的柔軟性」と呼び、この柔軟性が高い人ほど回復が早いことが確認されています。つまり、成果を出す人が強いのは、落ちないからではなく**「落ちても戻れる」**からです。

また、メンタルの波は成長の証でもあります。新しい知識を整理・定着させる過程では、一時的に混乱期が訪れることがあります(認知的不安定期)。理解と迷いを繰り返す中で情報が再構築され、越えたときに実力が一段上がる。
波は“成長痛”でもあるのです。

ただし波が長期化する場合、背景に「比較」や「完璧主義」が潜んでいることもあります。「計画を完璧に守らなければ」「昨日より進まなければ」という思考は心を消耗させます。
メンタルが下がるときほど、「今の自分でもできる最小行動」を選びましょう。5分だけ英単語を見る、1問だけ解く——この“小さな再始動”が、波をなだらかに戻す鍵になります。

感情の波が学習に与える影響

メンタルの波は、集中力・記憶力・判断力のすべてに影響します。気分が落ち込んでいるときは情報処理速度が落ち、誤答が増える傾向もあります。
つまり、メンタルが下がった状態で無理に詰め込むのは効率的ではありません。

また、やる気がない日に「根性で頑張る」を続けると、脳が勉強を“苦痛”として学習してしまい、報酬系が鈍くなります。努力を我慢で支えるほど、長期的には続かなくなるのです。

一方で、気分が落ちている日にもできる勉強はあります。
暗記カードを眺める、講義動画を聞き流す、ノートを整理する——こうした「低負荷モード」の学習は、ゼロではありません。
波を「ゼロ時間」にするのではなく、「軽作業モード」として設計すれば、計画の崩壊は防げます。

波を前提にした計画術

計画が崩れる最大の原因は、「常に同じ自分でいられる」前提で立ててしまうことです。成功する計画とは、崩れることを前提に組まれた計画です。

そこで有効なのが「3段階計画法」。1日の目標を「理想(MAX)」「標準」「最低限」の3レベルに分けます。たとえば英語なら、

  • 理想:長文2題+文法50問
  • 標準:長文1題+文法20問
  • 最低限:単語帳を30分眺める

こうして幅を持たせると、メンタルが下がっても“ゼロの日”を作らずに済みます。ハードルを下げることが、継続の最大の武器です。

さらに「崩れた翌日の立て直し」も事前に決めておきましょう。
「1日遅れたら週末に90分の予備時間で回収する」など、ルール化しておけば罪悪感に振り回されません。多くの受験生は勉強そのものより、「崩れた自分を責める時間」でエネルギーを失っています。計画とは、時間だけでなく心の動きも含めた仕組みなのです。

感情を扱う具体的手法

感情を完全に抑えることはできません。でも「扱い方」は身につけられます。

① 感情の可視化(エモーショナル・ラベリング)
「今日は集中できなかった」「不安が強かった」など、ノートの端に一言書くだけで十分です。感情を言葉にすると整理が進み、思考スペースが戻ってきます。

② 行動のトリガー化
やる気がない日は、机に座る・ノートを開く・ペンを持つ——最初の“一動作”だけを目標にします。行動が先、感情は後。最初の2分動けば、脳は作業モードに入りやすくなります。

③ マインドフル休息
疲れや不安が強いときは、深呼吸を5回。いま感じていることに注意を向けるだけで、思考の渦から抜けやすくなります。1分で十分です。押し込めるより「受け止めて流す」方が回復は早いのです。

落ち込んだ日の立て直し方

落ち込んだ日は、まず「再起動の時間」を作りましょう。落ち込みを敵にせず、いったん認める。
「今日はきつい」「集中できない」——そう言葉にするだけで脳は安心します(自己共感)。

次に「できることの再定義」。
「今日は1問だけ」「単語10個だけ」「ノート1ページだけ」
最小単位の成功体験が、脳の報酬系を再点火し、前向きなモードへ戻してくれます。メンタルが低い日こそ、“再始動の練習日”です。

そして夜。自己否定を抱えたまま眠るのが一番危険です。寝る前に「今日やれたこと」を一つだけ書く。起きられた、授業を聞けた——小さくていい。
この“自己承認の儀式”が、翌日の再起動エネルギーになります。

メンタルを安定させる生活リズム

感情の波は生活習慣と直結しています。特に睡眠・食事・光の3つ。
朝日を浴びると体内時計が整い、セロトニンが分泌されます。朝食を抜くと血糖値が乱れ、イライラしやすくなる。夜更かしやカフェイン過多は不安を増やす。
つまり、メンタルを整える第一歩は特別なメソッドではなく、生活の基本動作です。

「気持ちが安定しない」と感じたときほど、スマホを早めに切り上げ、寝る前の光刺激を減らしましょう。感情を抑えるのではなく、整える。その積み重ねが“ブレに強い自分”を育てます。

まとめ

メンタルの波は、なくすものではなく「扱うもの」です。
波を前提に計画を立て、感情を見える化し、小さな行動で再起動する。これを繰り返すうちに、あなたの心は少しずつ“戻りやすく”なっていきます。
メンタルの安定とは、揺れないことではなく、揺れても立ち直れること。その力が身についたとき、計画はもう崩れにくくなるでしょう。

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