医学部受験生や親御さんと話していると、よくこんな言葉を聞きます。
とにかく医学部に入れれば、あとは何とかなる
医者になったら、自然と専門は決まるものだと思っていた
ですが実際には、医師になってからの進路選択は、医学部受験と同じくらい、あるいはそれ以上に悩む人が多いです。
その中心にいるのが、研修医です。
研修医は、2年間という限られた期間で、自分の専門科を決めなければなりません。
では彼らは、何を基準に志望科を選んでいるのでしょうか。

志望科選びは、情熱だけでは決まらない
学生時代に
この科が好き
この分野に興味がある
と感じることは大切です。
しかし、研修医になると、志望科選びは一気に現実的になります。
なぜなら、その科を選ぶということは、今後何十年も続く働き方を選ぶことだからです。
研修医たちは、以下のような要素を
複合的に考えながら志望科を決めていきます。
QOLは、想像以上に重要な判断材料
まず、多くの研修医が気にするのがQOLです。
・当直の頻度
・呼び出しの多さ
・休日の取りやすさ
・家庭との両立が可能か
学生時代には、忙しくてもやりがいがあればいいと思っていた人ほど、研修医になって現実を知ります。
一生この生活を続けられるかという視点は、避けて通れません。
やりがいは、続けられる形であるか
やりがいも、もちろん大切です。
・患者さんの回復を実感できる
・自分の判断が結果に直結する
・専門性を高められる
ただし、やりがいがある
=激務でも耐えられる
とは限りません。
研修医たちは、そのやりがいが長期的に続けられるものかを冷静に見ています。
上級医の働き方は、将来の自分の姿
意外と重要なのが、上級医の働き方です。
・疲れ切っていないか
・家庭を持っているか
・人生を楽しんでいそうか
研修医は、この先生みたいになりたいと思えるかどうかを、無意識に見ています。
逆に、どれだけ内容が面白くても、上の世代が全員疲弊している科は、候補から外れることも珍しくありません。
医局という存在も、現実的な要素
多くの診療科では、医局という組織が今も大きな役割を持っています。
・どんな病院に行くことになるのか
・勤務地の自由度はあるか
・人間関係はどうか
こうした点は、研修医本人だけでなく、家族にとっても重要です。
医局の雰囲気を見て、ここならやっていけそうと感じるかどうかは、志望科選びに直結します。
同期との診療科被りを気にする人も多い
意外に思われるかもしれませんが、同期との診療科被りも、判断材料になります。
・定員が限られている
・症例やポジションが競合する
・人間関係が密になる
こうした理由から、あえて被らない選択をする研修医もいます。
これは、逃げではなく、自分の立ち位置を考えた戦略です。
手技の有無は、向き不向きを分ける
手を動かすことが好きかどうか。
これは、実際に働いてみて初めて分かる人が多いです。
・処置や手術が楽しい
・細かい作業が苦にならない
逆に、考えることが好き全身管理が好きという人もいます。
手技の有無は、日々の満足度に直結するため、非常に重要なポイントです。
おいしいバイトと将来性も無視できない
現実的な話として、
収入面を考える研修医も少なくありません。
・当直バイトの有無
・専門医取得後の需要
・開業や転職のしやすさ
生活を安定させることは、医師人生を長く続けるための土台です。
将来性を見据えることは、決して打算的ではありません。
医学部受験生と親御さんに伝えたいこと
ここまで読むと、意外とシビア
現実的すぎると感じたかもしれません。
ですが、だからこそ医師は、自分の人生を自分で設計できる職業でもあります。
研修医たちは、情熱と現実の間で、何度も考え、迷いながら、志望科を決めています。
医学部受験は、選択のスタート地点
医学部受験は、ゴールではありません。
その先には、何度も訪れる選択の場面があります。
研修医の志望科選びは、その中でも特に大きな分岐点です。
だからこそ、今は勉強に集中しながらも、医師としての未来を少しだけ想像してみてほしいと思います。
その想像が、今の努力を支える力になります。



