記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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福島大学 行政政策学類の小論文対策
[令和5年度 学校推薦型選抜 90分]
問題 <資料> は吉永明弘 『はじめて学ぶ環境倫理 未来のために「しくみ」を問う』(筑摩書房,2021年)の「第3章 地球温暖化はなぜ止められないのか」である。資料を読んで、下記の設問に答えなさい。
資料の要約文です。
パリ協定は、各国が自己申告した温室効果ガスの削減目標を宣言し、その達成度を国際的な監視のもとで報告することで、排出の総量を規制する国際的な協定です。ただし、自己申告だけでは実際の削減が行われない可能性があるため、各国は定期的に削減実績を報告することが義務づけられています。
環境に配慮した製品やサービスを装う「グリーンウォッシング」が存在し、認証制度の効果が疑問視されています。消費者は製品の環境への影響を検証する必要がありますが、同時に企業や生産者の責任も大きく、環境問題の解決においては生産段階での改善が重要であると主張されています。
環境問題に対処するには、消費者の個々の努力だけでなく、社会全体でのアクションが必要であり、個人主義にとどまらず、社会的な変革を促進するための努力が求められています。日本では個人主義が強く、社会的アクションが抑制されていると指摘され、個々の心がけだけで社会が変わることは難しいとの意見が述べられています。
映画『不都合な真実』の広報において、日本語版では社会的アクションに関するメッセージが省略され、個人の行動が強調される傾向があると指摘されています。一人一人が努力するだけでは社会は変わらず、社会的アクションが必要であるとの立場が述べられ、他者との連携や社会的な変革が必要だと訴えられています。総じて、テキストは環境問題に対する国際的な取り組みと、個人および企業の責任に焦点を当て、社会的アクションの必要性を主張しています。
出典: 山崎雅人 「研究者の本棚 読書の先にあるもの」数理科学 2021年5月号 No. 695 第59巻5号p.74~80株式会社サイエンス社発行 から抜粋、一部改変
(1) 傍線部①「私たちの社会はこれまで分配における公平性の問題をこの方法で回避してきた」 とはどういうことか、また、それにはどのような問題があるか、説明しなさい。
(2) 傍線部②「しかし、このパリ協定のもとでCO2の削減がうまくいくかどうかは分かりません」と筆者が述べている理由と、それに対する筆者の考える対策について、説明しなさい。
(3) 傍線部③「そのような社会」について説明した上で、そうした社会において自分たちに何ができるか、あなたの考えを述べなさい。
ポイント
出題意図
本問題は、吉永明弘 『はじめて学ぶ環境倫理 未来のために 「しくみ」 を問う』(筑摩書房,2021年) の一部を資料として用い、受験生の読解や要約の力、論理的思考力や論述力を問うものである。
資料において、筆者は、地球環境問題を資源・エネルギー・廃棄物排出量などの「分配」の問題として捉え、地球温暖化を止めるという難しい課題とどう向き合っていくべきかを論じている。 環境倫理学における「環境正義」とは「分配」の公平性を考えることであるとし、身近な例を紹介しながら、これまで行われてきた地球温暖化への対応の問題点を指摘し、大きな方向転換が必要であると述べている。
設問(1)は、資源・エネルギー・廃棄物排出量などの従来の「分配」の方法とその問題点を理解し、筆者の意図を捉えることができているか、読解力と要約力をみるものである。
設問(2) は、パリ協定の弱点を理解し、CO2削減の実現のために、どのような策を取る必要があるかを説明させるもので、読解力と要約力を問うものである。
設問(3) は、社会的アクションを起こしにくい、「一人一人主義」に頼りがちな日本の社会について、本文に則してまとめた上で、環境問題を解決するためにできることは何か、自分の考えを論理的・説得的に文章で記述させることで、読解力と要約力、論述力をみるものである。
<福島大学の公開内容からの引用>
小論文過去問題解説
(1) まず、傍線部①では自己申告と監視の仕組みが分配の公平性の問題を回避してきた手段とされています。ここで問題となるのは、各国が自らの目標を設定できるため、公平性が担保されない可能性がある点です。富裕国と途上国といった経済格差がある中で、各国が同じ基準で目標を設定できることが、公平性への疑念を引き起こす可能性があります。
(2) ここでは、パリ協定のもとでのCO2削減の見通しに対する疑念が述べられています。主な理由は、現行の政治と経済の仕組みが企業や生産者に対して寛容すぎることが影響しているとしています。筆者は、これが現行の体制が環境にやさしい変革を進めるのを難しくしていると見ています。
(3) この部分では、社会において個人が果たすべき役割に焦点が当てられています。社会的アクションの必要性が強調され、一人一人が個人的な努力だけでなく、法規制を含む社会全体でのアクションが求められています。自分たちができることは、エコな商品の選択だけでなく、企業や政府に対して環境に優しい方針を要求し、それに関する法規制を促進することです。
これらの考え方を元に、各質問に対する回答を構築することができます。質問ごとに、与えられた情報や文脈を考慮しながら、自分の意見を裏付ける根拠を明示的に示すことが重要です。
福島大学の所在地・アクセス
所在地 | アクセス |
福島県福島市金谷川1園町1-1 | JR東北本線「金谷川」駅下車、徒歩10分 |
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福島大学の入試傾向
福島大学の入試は、一般選抜が主な形式であり、大学入学共通テストが重要な要素となっています。以下に、入試傾向とその対策を簡潔にまとめます。
福島大学の入試傾向:
- 一般選抜が主で、大学入学共通テストの得点が合否に大きな影響を与える。
- 理科、数学、国語、外国語(英語)の4科目を受験し、特に大学入学共通テストの得点が合格に直結する。
対策ポイント:
- 科目ごとの徹底対策:
- 各科目に対して、基礎知識の確認と問題演習を徹底的に行う。特に大学入学共通テストの配点が高い理科や数学に焦点を当てる。
- 模擬試験の実施:
- 過去問や模擬試験を通じて、実際の試験と同じ雰囲気で対策を進める。試験時間内での問題解決力やスピードの向上を図る。
- 時間配分のトレーニング:
- 試験時間内で各科目に十分な時間をかけられるよう、時間配分のトレーニングを行う。長文読解や計算問題に対するスピードアップが重要。
- 弱点の洗い出しと克服:
- モック試験や過去問の結果を分析し、自分の弱点を特定して克服する。バランスの取れたスキル向上を目指す。
- 志望学類の要項確認:
- 志望する学類や学科ごとに入試方法が異なるため、要項を確認し対策を立てる。特に個別学力検査や小論文がある場合は重点的に対策。
総合的かつ戦略的なアプローチで、大学入学共通テストのスコア向上を図りつつ、志望学類や学科の要項を理解し、効果的な対策を進めることが入試合格につながります。
福島大学の募集コース
募集要項はこちら
入試情報はこちら
人文社会学群人間発達文化学類(定員数:260人)
人間発達文化学類では、1年次から7つのいずれかのコースに所属し、専門に関する確かな知識・技術と実践的な応用力を身につける。
教育実践コース
教育実践コースでは、学校教員として子どもの学びを支え、確実な成長を支援できる実践力を身につける。
心理学・幼児教育コース
心理学・幼児教育コースでは、人の行動・心理についての知識を得るとともに、実験・調査・観察などの科学的手法によって研究を行う心理学の分野と、乳幼児の発達を学ぶ。
特別支援・生活科学コース
特別支援・生活科学コースでは、サポートを必要とする子どもの発達支援に関する理論や、家庭・地域社会に関わる生活科学の基礎について学ぶ。
芸術・表現コース
芸術・表現コースでは、芸術の意義を理解し、音楽や美術に関わる力量を理論的、実践的に身につける。
人文科学コース
人文科学コースでは、言語や文学、地域や社会のあり方、その歴史や思想など、文化について広く深く学ぶ。
数理自然科学コース
数理自然科学コースでは、身近な自然や先端的課題のなかから数学や自然科学に関わる諸問題を見出し、それらを探究的に解決する学びを重ね、専門性を高める。
スポーツ健康科学コース
スポーツ健康科学コースでは、最新のスポーツ理論と技術を通してスポーツ技能の向上と指導力を高めるとともに、生涯にわたるスポーツライフの実現と健康福祉について学ぶ。
人文社会学群行政政策学類(定員数:205人)
行政政策学類では、前身である行政社会学部の教育・研究の実績を継承しつつ、学際的な視点から広く学ぶ。
「地方の時代」「分権化の時代」のニーズに応えることができる人材の育成を目指す。2年次から、「地域政策と法コース」と「地域社会と文化コース」の2コースに分かれて学ぶ。
・地域政策と法コースでは、法や行政の仕組みや運用の分析、政策形成プロセスの検討、自治体の取り組みや市民活動を知るフィールドワークなどを通じて、新しい地域づくりに取り組む力を身につける。
・地域社会と文化コースでは、社会調査や比較地域研究、発掘調査などを通じて地域社会をより客観的にとらえる手法を習得するとともに、新たな地域社会と文化の創造に向けた各地の取り組みを学び、新しい地域づくりの主体となる力を身につける。
なお、同学類には夜間主も設置しており、学びと仕事を両立させるための柔軟なカリキュラムを用意している。
人文社会学群経済経営学類(定員数:220人)
経済経営学類では、経済と経営の専門知識を身につけ、現代の経済社会を理解し、課題解決に実践的に取り組む人材を養成する。
経済学コース
経済学コースは、これまでの経済分析専攻と国際地域経済専攻を1つに統合したコースであり、経済社会の課題、歴史と現在と未来を考えるために、各教員が密接に協力し合って研究と教育を進める。学生にとっても、科目が選びやすくなり、経済社会をより多角的に理解することにつながる。
経営学コース
経営学コースでは、非営利組織(自治体、NPOなど)を含め、より幅広い視野で経営現象をとらえる。とりわけ、地域経済と経営、会計とファイナンス(金融)について、基礎を修めながら垣根を超えて学ぶ。経営学コースには、履修モデルとしての「地域経営モデル」と「会計ファイナンスモデル」がある。
理工学群共生システム理工学類(定員数:160人)
数理・情報科学コース
数理・情報科学コースでは、数学・数理科学、情報科学などの学びを基礎に、隣接領域への視野と実践・応用力を養う。
経営システムコース
経営システムコースでは、企業経営の効率化のための工学的手法とマネジメント手法を学ぶ。
物理・システム工学コース
物理・システム工学コースでは、物理や電気工学の知識をもとに、新たなものや技術の創出を担う研究者・開発者を育てる。
物質科学コース
物質科学コースでは、化学を基盤とした物質科学や材料工学に関する体系的な学問を習得する。
エネルギーコース
エネルギーコースでは、エネルギー資源の状況と省エネ・創エネ・畜エネの技術を幅広く学ぶ。
生物環境コース
生物環境コースでは、生態学や形態学など生物学の基礎を学び、実験などで実践力を身につけ、環境保全や生物保全などの応用に取り組む。
地球環境コース
地球環境コースでは、地球環境を構成する地形・地質・気象・水循環などを基礎から学び、自然災害の予測や防災への活用、人間活動が環境に及ぼす影響の解明につながる研究へと発展させる。
社会計画コース
社会計画コースでは、持続可能な社会の構築を目指し、文理の垣根を超えた総合的な視点から、計画的にアプローチする方法を学ぶ。
心理・生理コース
心理・生理コースでは、人間の心の働きや脳・神経系の働きに関わる基本的知識を習得し、それらの知見を科学技術に応用できる能力を身につける。
農学群食農学類(定員数:100人)
「農学専門教育」と「農学実践型教育」の2つの柱からなる「新たな農学教育」により、実践型農学を身につけ、国際化時代の食と農の課題に対して主体的、創造的に取り組んでいく地域リーダーを育成する。食品科学、農業生産学、生産環境学、農業経営学の4コースのもと、確かな専門性と学際的な思考力を養う。
◆食品科学コースでは、常に発展した解析技術を理解し、それらを食品加工技術や発酵・醸造技術に落とし込み、地域素材を生かし「新たな食産業」を生み出す人を育成する。
◆農業生産学コースでは、作物の状態を的確に解析・診断し、最適化した品種や栽培技術を開発し、「農業を実践から指導」まで幅広くできる人材を養成する。
◆生産環境学コースでは、農林業の現場を知り、環境マネジメントから地域計画まで幅広く修得し、総合力を発揮して、「自治体や農業団体をけん引」できる人材を養成する。
◆農業経営学コースでは、先進的農業生産技術を理解し、付加価値をつけた商品をどう売るか、高度なマーケティングに挑戦した上で「もうかる農業」を実現できる人を育成する。