【推薦入試】一橋大学 経済学部 経済学科(小論文過去問題解説)

推薦入試

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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一橋大学 経済学部 経済学科の小論文対策

[令和5年度 学校推薦型選抜]

設問 次の文章を読み設問に答えよ

課題文は非公開です。

出典:河北新報社説デジタル版(2022年5月31日)「勤労者皆保険」提唱 負担の負担の形、示すことが先決だ

設問
(1) 社説内に、「パートら短時間労働者が加入できる企業要件も2年後までに「従業員501人以上」から「51人以上」に緩和することを既に決めている。」とあるが、具体的には、週労働時間20時間以上働く短時間被保険者の適用拡大は、2016年10月から500人超えの企業、2022年10月から100人超えの企業、2024年10月から50人超え企業というスケジュールで段階的に行われることになっている。社説の趣旨を踏まえて、企業規模に応じて段階的に実施する理由を考え、合計200字以内で述べなさい。

(2) 設問(1)において、週労働時間20時間以上働く短時間被保険者の適用拡大が起こっていることにふれたが、その結果、企業が行う可能性のある保険料支払い逃れの方法を合計200字以内で述べなさい。

(3) あなたが設問(2)で答えたような保険料支払い逃れの行動を多くの企業がとった場合、非正規・正規労働者の賃金格差の問題にどのような変化が生じるかを理由もあわせて合計400字以内で論じなさい。ただし、仕事内容訓練に関する人的投資の側面を考慮した上で答えなさい。

(4) 企業が様々な理由から保険料支払い逃れを行うことが困難な場合、「勤労者皆保険」の導入によって、企業側の非正規雇用の仕方にどのような変化が現れると予測されますか。合計200字以内であなたの考えを述べなさい。

(5) 上記の社説や設問の解答をもとに、あなたの「勤労者皆保険」に対する意見を合計400字以内で述べなさい。

ポイント

出題意図

「勤労者皆保険」に関して、問題に掲載した社説には、被用者保険の適用対象拡大による
保険料の企業負担増加に対して危惧している記述がある。この点を正しく理解しているかを
問うのが設問1である。このように、社説では、保険料増大をそのまま受け入れることが前
提となっているのに対し、ミクロ経済学的な観点からは、このような不利な状況になった時
に、コストを減らすために、保険料の支払い逃れを行うインセンティブが企業に生じること
やその可能性、方法等に気付けることも重要である。そのため設問2は、そのような可能性
に気付けるかを問う問題になっている。労働時間を19.5時間など20時間より少なくする
ことで、短時間労働者に該当しないようにすることなどが理論的には可能である。
設問3では、その先のImplicationとして、企業がこのような行動をとった場合の、賃金
格差がどのようになる可能性があるかまで発展的に考察できるかを確認する問題である。設
問2のように労働時間を短くすることで保険料逃れをした場合、そのような労働時間で働
く非正規労働者が増えることになるが、その労働時間の短さでは、なかなか正規労働者と同
内容の仕事を任すことや、同じ程度の人的資本投資を行うインセンティブを企業側はもちに
くくなり、そのような要因が、非正規・正規労働者の賃金総支給額の格差だけでなく、1時
間当たりの賃金率の格差にも寄与しかねない。一方で、雇用される非正規労働者の母集団に
も変化が生じると考えられる。つまり、被用者保険の適用対象が非正規にまで拡大すること
により、企業は、保険料を支払ってでも雇いたいと思えるような非正規のみを雇うことにな
るため、これまでよりも一層有能な非正規にしぼって雇用をするようになる可能性がある。
このような要因は、統計値としては、非正規・正規労働者の間の賃金率格差を縮小させるよ
うな方向に作用すると考えられる。
設問4では、もしも上記のような保険料逃れが困難な場合、企業にとって非正規雇用が、
以前よりコストがかかるものになるため、非正規労働者の雇用に消極的になる可能性を指摘
できるかを問うている。
設問5では、様々な経済主体間で利害が異なる可能性を理解した上で、政策を評価する力、
また、懸念点の克服法を検討し、社説や解答で与えられた情報を踏襲した上で、矛盾のない
議論を発展させる力を総合的に判断する。

<一橋大学の公開内容からの引用>

小論文過去問題解説

設問1:

  1. 社説の趣旨の理解: 社説がなぜ「勤労者皆保険」の要件を段階的に緩和する必要があると主張しているのかを理解します。
  2. 企業規模に応じて段階的に実施する理由: 段階的な実施がなぜ必要かを考えます。例えば、中小企業が急激な変更に対応するのが難しいことや、経済的負担を最小限に抑えるためなどが考えられます。

設問2:

  1. 週労働時間の拡大と保険料支払い逃れの可能性: 週労働時間の拡大が企業にとってどのような影響をもたらすかを考え、それに伴う保険料支払い逃れの方法を考察します。例えば、労働時間を19.5時間に抑えることで適用対象外とするなど。

設問3:

  1. 保険料支払い逃れの影響: 企業が保険料支払い逃れを行った場合、非正規・正規労働者の賃金格差がどのように変化するかを検討します。賃金格差の拡大が生じる理由や、仕事内容訓練に関する人的投資の制約がどのように影響するかを含めて考察します。

設問4:

  1. 保険料支払い逃れが困難な場合の企業側の変化: 企業が保険料支払い逃れが難しい場合、非正規雇用に対する姿勢がどのように変わるかを予測します。コストがかかるため、非正規雇用に対する消極的な傾向が生じる可能性を考慮します。

設問5:

  1. 政策評価と懸念点の克服法: 提供された社説や設問の解答を元に、「勤労者皆保険」に対する意見を述べます。利害関係者の視点から政策を評価し、懸念点に対する解決策や克服法を提案します。論理的かつ矛盾のない議論を構築します。

このように、各設問に対して文脈を理解し、論理的な考察を行いながら要点を的確に述べることが求められます。

一橋大学の所在地・アクセス

所在地アクセス
東京都国立市中2-1JR中央線「国立」駅下車、徒歩約10分

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一橋大学の入試傾向

一橋大学の入試は高い難易度が特徴で、特に2次試験の難易度が他大学に比べて高いとされています。数学は文系ながら東大・京大と匹敵する難易度があり、基礎力や記述力が求められます。大学入学共通テストの配点は低めですが、第一段階選抜においてはその得点が合否に影響を及ぼすため、注意が必要です。

対策としては、まず基本的な知識を確実に身につけることが不可欠です。高校の教科書や参考書、過去問を徹底的に勉強し、問題の傾向や難易度を把握します。特に数学においては文系でも高度な問題が出題されることから、充実した対策が必要です。

記述力の向上も重要であり、論述形式の問題に対するスキルを高めるためには模擬試験や過去問の解答、添削を通して反復練習を行うといいでしょう。

大学入学共通テストにおいても幅広い対策が必要です。基礎的な問題に確実に対応できるよう、計画的な学習スケジュールをたて、徐々に難易度を上げながら段階的に準備を進めることが成功の鍵となります。一橋大学の入試に臨む際には、着実な基礎固めと継続的な実力向上が求められます。

一橋大学の募集コース

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商学部(定員数:258人)

現代の社会を構成する企業と市場に関連した現実の諸現象について、経営学・会計学・マーケティング・金融の主要4分野を中心に学ぶとともに、経済学・歴史学・社会学・心理学・政治学といった幅広い隣接社会科学の知見も活用して深く考察できる能力を涵養する。このような学修の過程を通じて、高度な専門知識と深い思考力を持ち、社会をリードする人材の育成を目指している。専門教育は主として、経営学・会計学・マーケティング・金融の4つの分野で構成している。
 経営学分野では、「経営戦略論」「経営組織論」「企業と倫理・社会」などの履修を通じて、企業が行うヒト・モノ・カネに関する意思決定の理論と実践を学ぶ。
 会計学分野では、「財務会計」「管理会計」「財務諸表分析」などの履修を通じて、企業活動に関する情報の作成・利用と、その社会的影響を学ぶ。
 マーケティング分野では、「マーケティング・マネジメント」「消費者行動」「流通」などの履修を通じて、顧客ニーズにあった製品を作り、その魅力を発信し、顧客へ届けるプロセスについて学ぶ。
 金融分野では、「コーポレート・ファイナンス」「資産価格論」「マクロ金融論」などの科目履修を通じて、資金調達・投資・利益還元といった企業による財務的意思決定のあり方と、企業を取り巻く金融に関わる問題を学ぶ。
 カリキュラムは、学部4年間で必要とされるビジネス教育の科目を体系的に配置し、大学院修士課程のMBA(経営学修士)コースとのスムーズな接合も念頭に置いている。なお、入学後に一定の成績を満たすと、修士課程までを5年間で修了できる「5年一貫プログラム」を受講することができる。
 1年次から4年次までゼミナールを必修とし、学生全員が少人数できめ細やかな教育を受けられる体制を整備している。1年次の導入ゼミでは、社会科学の入門をかねて、学問に取り組む姿勢を修得する。2年次の前期ゼミでは、社会的課題を学術的に探求することで、専門教育に向けた基礎を固める。3・4年次の後期ゼミでは、自ら選択した専門領域で本格的な学習・研究に取り組み、卒業論文を作成する。
 また、特定の領域をより深く学ぶために、2年次から履修できる「渋沢スカラープログラム」と「データ・デザイン・プログラム」という2つのサブプログラムを開設している。
 「渋沢スカラープログラム」では、英語による専門教育と海外留学を組み合わせてグローバルに活躍するための基盤を構築する。
 「データ・デザイン・プログラム」では、データサイエンスとデザイン思考を学び、新たな社会で必要とされる能力を育む。

経営学科

商学科

経済学部 経済学科(定員数:258人)

系統立てた積み上げ式のカリキュラムを特徴としている。学部導入科目として、「経済学入門」「統計学入門」「経済史入門」の3科目がすべて必修科目になっている。
 続く学部基礎科目では、「基礎ミクロ経済学」「基礎マクロ経済学」「基礎計量経済学」の3科目のうち、任意の2科目が必修となっている。
 導入・基礎科目のあとに履修する学部発展科目は、より専門的レベルの科目からなり、各分野の科目が豊富に提供されている。このうち、一部は英語でも開講されている。
 3・4年次のゼミと、卒業論文を必修とし、意欲のある学生は、大学院の授業科目を履修することもできる。
 学部入学から5年間で修士号取得を可能にする「5年一貫教育システム」、英語で経済学や各国経済事情を学ぶことを主眼とする「グローバル・リーダーズ・プログラム」、法学部開講科目も系統的に履修する「法学副専攻プログラム」が設けられている。海外長期留学・短期研修の機会も多い。

法学部 法律学科(定員数:159人)

 単一の学科で法学と国際関係という2分野の教育が行われるという特徴がある。法曹志望の学生は、2年次に法曹コースへの登録申請を希望することができる。このコースは、一橋大法科大学院と連携して、人権・国際・ビジネス分野に強い法曹育成のための一貫教育を行っている。法曹コースに登録し、一定の成績要件を充足する学生は、一橋大法科大学院の一貫型選抜試験(法律科目の論述式試験免除)の受験資格を与えられる。その際に、早期卒業制度により法学部を3年間で卒業していると、最短5年で法科大学院まで修了することが可能となる。
 法曹コースのほかに法学コースと国際関係コースが置かれている。法曹コース登録者以外の学生は、3年次の後期課程進学時にいずれかのコースを任意に選択し、履修要件に従い法学または国際関係学の一方を重点的に履修することになる。将来の進路を意識するならば、法学コースは法律専門職・官公庁・私企業志望者向き、国際関係コースは外交官や国際公務員・海外展開する企業などへの就職を希望する学生向きといえるが、必ずしもそれに制約されない。
 また、経済学部開講科目も系統的に履修する経済学副専攻プログラムや、高い専門性を持ちつつジェネラリストとしてグローバルに活躍するリーダーの育成を目的とする、「法学部グローバル・リーダーズ・プログラム(GLP)」も置かれている。

社会学部 社会学科(定員数:220人)

社会学部といっても、狭義の“社会学”だけを教える学部ではなく、哲学・思想、心理、教育、スポーツ、人類学、歴史など、社会のあり方にせまる多様な学問分野を提供している。他大学では法学部に置かれている政治学や、経済学との関係の深い社会政策も学ぶことができる。
 必修科目は、「社会研究の世界」「社会科学概論I・II」の3つの講義とゼミの計4つだけで、非常に自由度が高いカリキュラムとなっている。
 また、カリキュラムの重要な柱であるゼミの選択は、自分自身の興味関心に従って3年次に行う。3・4年次の2年間を通して同じ教員のもとで研究し、卒業論文を完成させる。広い視野に支えられた多面的な応用力、深い思考力、問題を発見し解決する能力などを身につけられる。さらに興味や関心に応じて、海外の大学への留学、国内他大学との単位互換制度を生かすこともできる。

ソーシャル・データサイエンス学部 ソーシャル・データサイエンス学科(定員数:60人)

 2023年新設の学部。
 社会科学とデータサイエンスが融合するソーシャル・データサイエンスの分野の考え方を修得し、社会に存在する課題を解決できるソーシャル・データサイエンスのゼネラリストの育成を目指す。
 ビジネス・イノベーションに関わる経営学・経済学および社会課題解決に関わりの強い法学・政治学などを系統的に学び、社会科学、データサイエンスの体系的な知識を修得することができる。さらに企業や政策機関から提供されたデータをもとに解決策を検討するPBL(Project Based Learning)演習やゼミナールを通じてビジネスの革新や社会問題の解決に対する方策を提案・実行する経験を積むことができる。
 学部導入科目、学部基礎科目では、社会科学とデータサイエンスの基礎知識を身につけ、ソーシャル・データサイエンスの概論や、社会課題に対してデータサイエンスの手法を実践する上での倫理や法を学ぶ科目を履修する。また、統計学や回帰分析を実践的に学び、機械学習や人工知能をプログラミングと並行して手を動かしながら修得することができる。
 学部発展科目では、ビジネス・イノベーション分析科目から「データに基づく経営意思決定」「マーケティングサイエンス」、社会課題解決科目から「エビデンスに基づく科学技術政策」「持続的発展のためのデータ分析」などを学ぶ。それにより、提案力・実践力を身につけることができる。

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