【推薦入試】一橋大学 社会学部 社会学科(小論文過去問題解説)

推薦入試

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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一橋大学 社会学部 社会学科の小論文対策

[令和5年度 学校推薦型選抜]

設問 自由と不自由のあいだの不可分な関係について多面的にとらえ、論じなさい。(1200字以内)

ポイント

出題意図

自由と不自由は互いに相容れない正反対のものと捉えられがちですが、そうした見方には収まらない両者の複雑で多様な関係のありようを見逃すべきではありません。たとえば、自由な振る舞いは多くの場合、自由を縛る一定のルールや秩序のもとで初めて可能となり、また評価されます。サッカー選手が縦横無尽な動きで対戦相手を出し抜くためにはまずもってサッカーのルールが共有されている必要がありますし、祭りでの無礼講は祭りが社会秩序のうちに位置付けられ、その秩序を脅かさない限りで許容され、またときに期待されることになります。ここでは自由を縛るという意味での不自由が、自由の前提条件となっているといえるでしょう。また、自由が不自由を生みだすことも少なくありません。たとえば、経済的な自由競争は能力主義の徹底や最適な価値秩序の創造をもたらすなどとされる反面で、競争
からの脱落者を生みだし、そうした人々の活動を特定の方向に追いやる側面もあわせもっています。こうした負の側面が行き過ぎた場合には、競争の原理そのものの再考が促され、その自由なあり方に一定の制限が導入されることになるでしょう。反対に、不自由が自由を生みだすこともあります。しばしば私たちは自由に制約があるときにはじめて自由を強く意識します。たとえば、女/男の対からなる伝統的異性愛規範は、少なからぬ人々にとってたいへん抑圧的なものとなりえますが、一方でその規範への違和感こそがレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、その他無数の性指向や性自認を生みだしてきました。
規範からの「ずれ」が新たな自由の輪郭を形づくるという点で、不自由は自由の母体となっているのです。
本設問は、以上に例示したような自由と不自由の密接不可分な関係を多面的に捉える洞察力、それを分析する思考力、思考を整理し説得的に提示する発信力を評定することを意図しています。

<一橋大学の公開内容からの引用>

小論文過去問題解説

自由と不自由の関係を多面的かつ包括的に理解し、論じる必要があります。

  1. 相互依存性と相補性の視点:
    • 自由と不自由は相互に影響し合い、その関係性は単純な対立だけではなく、相補的な側面も持っている。自由があるからこそ、不自由が生まれ、逆に不自由が新たな自由を創出することがある。
  2. 自由を維持するための制約と秩序:
    • 自由な行動や振る舞いが成り立つためには、一定のルールや秩序が必要である。例えば、スポーツの場での自由な競技は、共有されたルールに基づいて初めて意味を持つ。
  3. 経済的自由と競争の二面性:
    • 経済的な自由競争が能力主義を促進し、最適な価値秩序を生み出す一方で、競争からの脱落者や不平等も生む。この状況が行き過ぎれば、再考や調整が必要となる。
  4. 不自由から生まれる新たな自由:
    • 伝統的な規範や制約がある中で、それに異議を唱えることが新たな自由を形成する。例えば、性的な規範に対する異議が多様性を生む。
  5. 自由と不自由の相対性:
    • 自由と不自由は主観的であり、状況や文脈によって捉え方が変わる。ある制約が一方にとっては不自由でも、他方にとっては自由である可能性がある。
  6. 不自由が自由の母体となる:
    • 不自由があることで初めて、それに対する反発や異議が生まれ、新たな自由が形成される。規範からの「ずれ」が新たな自由の可能性を示唆する。

このような多面的かつ論理的な視点から、自由と不自由の関係を分析し、具体的な例を交えて論じることが求められます。設問の意図に従って、自らの意見や洞察をしっかりと述べ、論理的な構成で論じることが重要です。

一橋大学の所在地・アクセス

所在地アクセス
東京都国立市中2-1JR中央線「国立」駅下車、徒歩約10分

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一橋大学の入試傾向

一橋大学の入試は高い難易度が特徴で、特に2次試験の難易度が他大学に比べて高いとされています。数学は文系ながら東大・京大と匹敵する難易度があり、基礎力や記述力が求められます。大学入学共通テストの配点は低めですが、第一段階選抜においてはその得点が合否に影響を及ぼすため、注意が必要です。

対策としては、まず基本的な知識を確実に身につけることが不可欠です。高校の教科書や参考書、過去問を徹底的に勉強し、問題の傾向や難易度を把握します。特に数学においては文系でも高度な問題が出題されることから、充実した対策が必要です。

記述力の向上も重要であり、論述形式の問題に対するスキルを高めるためには模擬試験や過去問の解答、添削を通して反復練習を行うといいでしょう。

大学入学共通テストにおいても幅広い対策が必要です。基礎的な問題に確実に対応できるよう、計画的な学習スケジュールをたて、徐々に難易度を上げながら段階的に準備を進めることが成功の鍵となります。一橋大学の入試に臨む際には、着実な基礎固めと継続的な実力向上が求められます。

一橋大学の募集コース

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商学部(定員数:258人)

現代の社会を構成する企業と市場に関連した現実の諸現象について、経営学・会計学・マーケティング・金融の主要4分野を中心に学ぶとともに、経済学・歴史学・社会学・心理学・政治学といった幅広い隣接社会科学の知見も活用して深く考察できる能力を涵養する。このような学修の過程を通じて、高度な専門知識と深い思考力を持ち、社会をリードする人材の育成を目指している。専門教育は主として、経営学・会計学・マーケティング・金融の4つの分野で構成している。
 経営学分野では、「経営戦略論」「経営組織論」「企業と倫理・社会」などの履修を通じて、企業が行うヒト・モノ・カネに関する意思決定の理論と実践を学ぶ。
 会計学分野では、「財務会計」「管理会計」「財務諸表分析」などの履修を通じて、企業活動に関する情報の作成・利用と、その社会的影響を学ぶ。
 マーケティング分野では、「マーケティング・マネジメント」「消費者行動」「流通」などの履修を通じて、顧客ニーズにあった製品を作り、その魅力を発信し、顧客へ届けるプロセスについて学ぶ。
 金融分野では、「コーポレート・ファイナンス」「資産価格論」「マクロ金融論」などの科目履修を通じて、資金調達・投資・利益還元といった企業による財務的意思決定のあり方と、企業を取り巻く金融に関わる問題を学ぶ。
 カリキュラムは、学部4年間で必要とされるビジネス教育の科目を体系的に配置し、大学院修士課程のMBA(経営学修士)コースとのスムーズな接合も念頭に置いている。なお、入学後に一定の成績を満たすと、修士課程までを5年間で修了できる「5年一貫プログラム」を受講することができる。
 1年次から4年次までゼミナールを必修とし、学生全員が少人数できめ細やかな教育を受けられる体制を整備している。1年次の導入ゼミでは、社会科学の入門をかねて、学問に取り組む姿勢を修得する。2年次の前期ゼミでは、社会的課題を学術的に探求することで、専門教育に向けた基礎を固める。3・4年次の後期ゼミでは、自ら選択した専門領域で本格的な学習・研究に取り組み、卒業論文を作成する。
 また、特定の領域をより深く学ぶために、2年次から履修できる「渋沢スカラープログラム」と「データ・デザイン・プログラム」という2つのサブプログラムを開設している。
 「渋沢スカラープログラム」では、英語による専門教育と海外留学を組み合わせてグローバルに活躍するための基盤を構築する。
 「データ・デザイン・プログラム」では、データサイエンスとデザイン思考を学び、新たな社会で必要とされる能力を育む。

経営学科

商学科

経済学部 経済学科(定員数:258人)

系統立てた積み上げ式のカリキュラムを特徴としている。学部導入科目として、「経済学入門」「統計学入門」「経済史入門」の3科目がすべて必修科目になっている。
 続く学部基礎科目では、「基礎ミクロ経済学」「基礎マクロ経済学」「基礎計量経済学」の3科目のうち、任意の2科目が必修となっている。
 導入・基礎科目のあとに履修する学部発展科目は、より専門的レベルの科目からなり、各分野の科目が豊富に提供されている。このうち、一部は英語でも開講されている。
 3・4年次のゼミと、卒業論文を必修とし、意欲のある学生は、大学院の授業科目を履修することもできる。
 学部入学から5年間で修士号取得を可能にする「5年一貫教育システム」、英語で経済学や各国経済事情を学ぶことを主眼とする「グローバル・リーダーズ・プログラム」、法学部開講科目も系統的に履修する「法学副専攻プログラム」が設けられている。海外長期留学・短期研修の機会も多い。

法学部 法律学科(定員数:159人)

 単一の学科で法学と国際関係という2分野の教育が行われるという特徴がある。法曹志望の学生は、2年次に法曹コースへの登録申請を希望することができる。このコースは、一橋大法科大学院と連携して、人権・国際・ビジネス分野に強い法曹育成のための一貫教育を行っている。法曹コースに登録し、一定の成績要件を充足する学生は、一橋大法科大学院の一貫型選抜試験(法律科目の論述式試験免除)の受験資格を与えられる。その際に、早期卒業制度により法学部を3年間で卒業していると、最短5年で法科大学院まで修了することが可能となる。
 法曹コースのほかに法学コースと国際関係コースが置かれている。法曹コース登録者以外の学生は、3年次の後期課程進学時にいずれかのコースを任意に選択し、履修要件に従い法学または国際関係学の一方を重点的に履修することになる。将来の進路を意識するならば、法学コースは法律専門職・官公庁・私企業志望者向き、国際関係コースは外交官や国際公務員・海外展開する企業などへの就職を希望する学生向きといえるが、必ずしもそれに制約されない。
 また、経済学部開講科目も系統的に履修する経済学副専攻プログラムや、高い専門性を持ちつつジェネラリストとしてグローバルに活躍するリーダーの育成を目的とする、「法学部グローバル・リーダーズ・プログラム(GLP)」も置かれている。

社会学部 社会学科(定員数:220人)

社会学部といっても、狭義の“社会学”だけを教える学部ではなく、哲学・思想、心理、教育、スポーツ、人類学、歴史など、社会のあり方にせまる多様な学問分野を提供している。他大学では法学部に置かれている政治学や、経済学との関係の深い社会政策も学ぶことができる。
 必修科目は、「社会研究の世界」「社会科学概論I・II」の3つの講義とゼミの計4つだけで、非常に自由度が高いカリキュラムとなっている。
 また、カリキュラムの重要な柱であるゼミの選択は、自分自身の興味関心に従って3年次に行う。3・4年次の2年間を通して同じ教員のもとで研究し、卒業論文を完成させる。広い視野に支えられた多面的な応用力、深い思考力、問題を発見し解決する能力などを身につけられる。さらに興味や関心に応じて、海外の大学への留学、国内他大学との単位互換制度を生かすこともできる。

ソーシャル・データサイエンス学部 ソーシャル・データサイエンス学科(定員数:60人)

 2023年新設の学部。
 社会科学とデータサイエンスが融合するソーシャル・データサイエンスの分野の考え方を修得し、社会に存在する課題を解決できるソーシャル・データサイエンスのゼネラリストの育成を目指す。
 ビジネス・イノベーションに関わる経営学・経済学および社会課題解決に関わりの強い法学・政治学などを系統的に学び、社会科学、データサイエンスの体系的な知識を修得することができる。さらに企業や政策機関から提供されたデータをもとに解決策を検討するPBL(Project Based Learning)演習やゼミナールを通じてビジネスの革新や社会問題の解決に対する方策を提案・実行する経験を積むことができる。
 学部導入科目、学部基礎科目では、社会科学とデータサイエンスの基礎知識を身につけ、ソーシャル・データサイエンスの概論や、社会課題に対してデータサイエンスの手法を実践する上での倫理や法を学ぶ科目を履修する。また、統計学や回帰分析を実践的に学び、機械学習や人工知能をプログラミングと並行して手を動かしながら修得することができる。
 学部発展科目では、ビジネス・イノベーション分析科目から「データに基づく経営意思決定」「マーケティングサイエンス」、社会課題解決科目から「エビデンスに基づく科学技術政策」「持続的発展のためのデータ分析」などを学ぶ。それにより、提案力・実践力を身につけることができる。

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