こんにちは、スカイ予備校の校長、五十嵐です!
福島で生まれ育った真さん。夜空を見上げて宇宙に心を奪われていた少年が、やがて「見えないものを理解する」ことへの興味を深め、東北大学医学部保健学科・放射線技術科学専攻に進学しました。もともとは工学部志望でしたが、共通テストでのつまずきと向き合い、「自分は何のために学びたいのか」と問い直すなかで、理系×医療という新たな道に出会います。彼が歩んできた道のりは、決して一直線ではありません。でもその分だけ、進路に悩む受験生に大きなヒントを与えてくれます。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格125名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
東北大学 小論文 予想問題セット
スカイ予備校・五十嵐監修|予想問題3問+解答例・採点ポイント付き
空と星、そして理系へのまっすぐな興味
私は福島県で生まれ育ちました。幼い頃から星空が好きで、図鑑で星座を調べ、望遠鏡で毎晩のように天体観測をしていました。目に見えない宇宙の仕組みに触れるたびに、「もっと知りたい」と思ったことを今でもよく覚えています。
小学生の6年間は剣道に打ち込み、県大会にも出場しました。厳しい稽古を通して得た集中力や礼儀は、今でも自分の土台になっています。中高一貫の学校では陸上部に所属し、走り幅跳びで日々自分の限界に挑戦しました。部活を通して、努力が結果につながる喜びを知りました。
高校では特進コースに在籍し、部活動は原則禁止。勉強に集中する環境だったため、数学と物理に特に力を入れました。論理的に考えることが好きだった私は、特に物理が得意で、自然と理系の進路を目指すようになりました。
思いがけない壁と、そこからの進路変更
高校2年の終わりには東北大学の工学部を志望し、模試でも安定してB〜A判定を取れていました。しかし、共通テスト本番で国語が過去最低点。工学部には届かない現実を突きつけられました。
そのとき、自分が本当にやりたいことを見つめ直しました。物理が好きなこと、そして医師と看護師として働く姉たちの影響で、医療という分野にも強く惹かれていたことに気づきました。「人の命に関わる現場で、理系の知識を活かしたい」。そう思い、放射線技術科学専攻への進路変更を決断しました。
そこからは過去問演習や記述対策に全力投球。英語は特に苦手でしたが、先生に添削してもらいながら着実に力をつけていきました。不安定な時期ではありましたが、「今やるべきことに集中する」気持ちが、自分を支えてくれました。
放射線技術科学の学びと、広がる視野
合格後、東北大学での学びは想像以上に充実しています。放射線の基礎から画像診断、治療技術までを学び、実習では実際の医療機器にも触れます。座学と実技のバランスがとれていて、「人の体の中を見る」という放射線技術の奥深さに触れる毎日です。
初めての一人暮らしでは、生活リズムを整えるのに苦労しましたが、時間管理や自炊のスキルも身につきました。学外では塾講師として高校生に理系科目を教えており、「人に教えることで自分の理解も深まる」ことを実感しています。
また、医学部系のバドミントン部に所属し、専攻や学年を超えた仲間との交流を楽しんでいます。勉強だけでなく、日々の人間関係や経験が自分を成長させてくれていると感じます。
受験生へ、そして保護者の方へ伝えたいこと
医療系の道は決して楽なものではありません。でも、「人の役に立ちたい」という気持ちがあれば、どんな困難も乗り越えられると思います。自分がなぜその進路を選ぶのか、その理由を言葉にしてみてください。それが受験の苦しい時期を支えてくれるはずです。
そして、保護者の皆さまへ。受験期は子どもも不安でいっぱいです。私の両親は「あなたなら大丈夫」と、ただ信じて見守ってくれました。その言葉が、何よりの支えになりました。逆に、「どうしてこんな点数なの?」という言葉は、時に子どもを追い詰めてしまうこともあるかもしれません。
医療とは、「人を支えるための学びの連続」です。たとえ遠回りに見えても、その道の先には、自分自身が本当に納得できる未来があります。どうかその一歩を、自分の意志で踏み出してください。
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スカイ予備校・五十嵐監修の予想問題3問+解答例・採点ポイント付き
【予想問題】放射線技術科学専攻 小論文練習問題(スカイ予備校監修)
テーマ:放射線被ばくリスクの説明責任——患者への適切な情報提供
課題文
医療における放射線診断は、現代の臨床実践において不可欠な役割を担っている。X線撮影、CT検査、核医学検査など、放射線を利用した画像診断技術は疾患の早期発見や治療方針の決定に大きく貢献しており、その恩恵を受ける患者数は年々増加の一途をたどっている。一方で、これらの検査に伴う放射線被ばくのリスクについて、患者に対してどのように説明するかという問題は、医療倫理と実践の両面から重要な課題として浮上してきている。
放射線被ばくによる生物学的影響は、確定的影響と確率的影響の二種類に大別される。確定的影響とは、一定の線量閾値を超えた場合に必ず生じる影響であり、白内障や造血障害などがその例として挙げられる。一般的な診断目的の放射線検査ではこの閾値を大きく下回るため、確定的影響が問題となることはほとんどない。しかし確率的影響、すなわち発がんや遺伝的影響については、理論上は閾値のない線形モデル(LNT仮説)が採用されており、いかなる微少な線量においても確率的にリスクが存在するとされている。この考え方に基づけば、CT検査一回あたりの実効線量は数ミリシーベルトから十数ミリシーベルトに達することがあり、これによる生涯発がんリスクのわずかな上昇を完全に否定することはできない。
こうした背景のもと、患者への情報提供のあり方が問われている。インフォームド・コンセントの原則は、医療行為において患者が十分な情報を得たうえで自律的に意思決定を行うことを保障するものであり、放射線検査においてもその例外ではない。しかしながら、放射線被ばくリスクの説明は単純ではない。リスクを過度に強調すれば、患者が必要な検査を拒否し、診断の遅延や見逃しという別の重大なリスクを招く恐れがある。逆にリスクを軽視または過小に伝えれば、患者の自律的意思決定を損ない、医療への信頼を揺るがす結果になりかねない。
この問題をさらに複雑にしているのが、リスクコミュニケーションの難しさである。「100ミリシーベルトで発がんリスクが0.5%上昇する」という情報を患者に伝えたとき、その数値が日常生活のリスクと比較してどの程度のものであるかを直感的に理解できる患者は少ない。喫煙や飲酒、自動車事故のリスクと並列して説明する手法もあるが、比較対象の選択によって受け取り方が大きく変わるという問題も指摘されている。また、放射線に対する社会的なイメージ——とりわけ東日本大震災以降に高まった放射線への不安——が、科学的なリスク評価と乖離した認識を患者にもたらすことも少なくない。
放射線技術者は、この複雑な状況の中で重要な役割を担う専門職として位置づけられる。診療放射線技師は検査を直接実施する立場にあり、患者と接する機会が多い。そのため、医師による事前説明を補完し、患者の疑問や不安に応答する役割が期待される。しかしながら、現行の制度的枠組みにおいては、説明義務の主体は医師に帰属することが多く、放射線技術者が主体的にリスク説明を行うための訓練や権限のあり方については、いまだ議論の途上にある。
医療放射線の適正使用を推進するうえで、「正当化」と「最適化」という放射線防護の二原則は重要な指針を与えてくれる。正当化とは、放射線検査の便益がリスクを上回る場合にのみ実施するという原則であり、最適化とはALARA(As Low As Reasonably Achievable)の考え方に基づき、必要な診断情報を得るための線量をできる限り低減するという原則である。これらの原則を実践に落とし込むためには、医師、放射線技師、医学物理士などが連携し、患者一人ひとりの状況に応じた個別的な判断を行うことが求められる。
放射線被ばくリスクの説明責任は、単に情報を伝達するという技術的な問題にとどまらず、患者の自律性、医療への信頼、専門職の倫理的義務が複雑に絡み合った問題である。この課題に向き合うためには、科学的根拠に基づいた正確な知識と、それを患者に届けるためのコミュニケーション能力、そして医療チームとしての協働が不可欠である。放射線に関わる医療専門職を志す者は、こうした多面的な責任を深く自覚することが求められている。
設問
【設問1】設問1 課題文では、放射線被ばくリスクを患者に説明することの難しさが複数の観点から述べられている。その難しさについて、課題文の内容をふまえながら600字程度で整理・説明しなさい。
【設問2】設問2 放射線診断に伴う被ばくリスクについて患者へ適切に情報提供するために、放射線技術者(診療放射線技師)はどのような役割を果たすべきだと考えるか。課題文の内容を参考にしつつ、あなた自身の考えを800字程度で論じなさい。
※本問題はスカイ予備校・五十嵐校長が過去の出題傾向をもとに作成した予想問題です。実際の入試問題とは異なります。



