勉強時間の捻出が難しい受験生へ――時間を“増やす”のではなく、“濃く使う”という考え方

大学受験

「時間が足りない」という焦り

時計の針が進むたびに、「あと何時間あるだろう」と考えてしまう。
勉強しても終わらない、気づけば夜になっている——そんな日々を送る受験生は少なくありません。特に受験期の後半になると、「このままで間に合うのか」という不安が、勉強への焦りを生みます。

しかし、「時間が足りない」と感じること自体は、真剣に努力している証拠でもあります。焦るほどに、目標との距離を意識できているということです。
ただし、この焦りを放置すると、思考が「量の焦燥」に偏り、無計画な詰め込みに走りがちになります。時間が足りないときこそ、立ち止まって「時間の使い方の構造」を見直すことが大切です。

人間の脳は、1日に集中できる時間が限られています。学習心理学の研究では、平均的な集中の持続時間は約50分、深い集中を維持できるのは1日4〜5時間が限界とされています。
つまり、「時間が足りない」と感じているとき、実は“使える時間の上限”を超えて戦っている可能性もあるのです。焦るよりも、“限界を前提に設計する”方が、現実的だといえるでしょう。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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「勉強時間=努力量」ではない

多くの受験生が陥りがちな誤解に、「勉強時間=努力の価値」という思い込みがあります。
確かに長時間机に向かうことは立派な努力です。しかし、時間の長さがそのまま成果につながるわけではありません。結果を左右するのは、集中の質と時間の濃度です。

スタンフォード大学の研究では、1時間の高集中学習は、3時間の惰性的学習に匹敵する効果を持つと報告されています。これは「深度学習理論」と呼ばれ、集中の深さが記憶定着と理解度を大きく左右するという考え方です。

また、「集中できない自分」を責めすぎるのは逆効果です。集中力は意志ではなく、条件の管理によって生まれます。
たとえば、勉強前にSNSを開くと、脳が強い報酬刺激を受け、再び集中モードに入るまで約15分かかるといわれています。
勉強時間を増やす前に、「集中を削る習慣」を減らす。これが、時間を生み出す最短ルートです。

時間が足りない原因は「設計」にある

「1日8時間勉強しているのに成績が上がらない」——そんな場合、問題は時間の総量ではなく、時間配分の誤差にあります。

ここで有効なのが、「メタ認知的時間管理」です。
自分が何に、どれだけ時間を使っているのかを記録・分析する方法で、学習を

  • インプット(読む・聞く)
  • アウトプット(解く・書く)
  • 整理(復習・分析)

の3つに分けて比率を確認します。理想は、アウトプット:インプット=6:4
知識は“使うことで定着する”ため、インプット過多になっている場合は、学習構造の再設計が必要です。

やることが多すぎて混乱しているときは、「やらないことリスト」を作るのも効果的です。
すべてに手を出すより、「合格に直結する範囲」に絞る。これは心理学でいう「選択的集中」であり、脳の効率を高める戦略でもあります。

限られた時間を最大化する脳の使い方

学習効率を左右するのは、「覚醒度」「報酬感」「休息リズム」の3要素です。

まず重要なのが、学習開始時間を固定すること
毎日同じ時間に勉強を始めることで、脳は条件反射的に集中モードへ入りやすくなります(時間条件付け)。

次に、勉強後の「見える成果」。
チェックリストや到達ページ数の記録など、小さな達成を可視化すると、ドーパミンが分泌され、学習意欲が維持されます。

そして見落とされがちなのが、休息です。
理想は「50分勉強→10分休憩」。この10分間はスマホではなく、歩く・伸びるなどの軽い動きが脳の回復を促します。
学習と休息は、セットで設計すべきものなのです。

時間を“濃くする”学習術

限られた時間を有効に使う方法として、「ポモドーロ学習法」は有効です。
25分集中→5分休憩を1セットとし、集中の波を安定させます。

また、起床後2〜3時間の「朝のゴールデンタイム」は、思考力・記憶力が最も高まる時間帯です。
暗記や読解、論述などの高負荷学習は朝に、夜は復習と整理に回すことで、理解効率は大きく向上します。

ただし、効率を追いすぎると「理解したつもり」で止まる危険もあります。
1日30分だけでも、間違いノートの確認や声に出した説明の時間を設けることで、記憶の定着は飛躍的に高まります。

勉強計画は「余白」で強くなる

計画を立てるときは、必ず余白(バッファ)を入れましょう。
8時間勉強するなら、予定は6時間分に留め、残りを誤差吸収用に。余白のある計画こそ、継続可能な計画です。

また、科目ごとの「時間価値」を意識することも重要です。
短時間で点数につながる単元に投資する。限られた時間で最大のリターンを得るには、投資効率の視点が欠かせません。

時間の焦りを希望に変える

焦りは敵ではありません。それは、本気で目標に向かっている証拠です。
「今日は30分だけ進める」「復習だけでも終える」。小さな行動でも、積み重なれば確かな自信になります。

限られた時間で工夫し、積み上げた経験は、合格後も必ずあなたを支えます。
時間を言い訳にせず、柔軟に、賢く使う力——それこそが、真の受験力です。

まとめ

勉強時間が足りないと感じたときこそ、見直すべきは「設計」です。
量ではなく濃度、完璧さではなく柔軟性、努力ではなく持続性。
時間は有限でも、その使い方は無限です。焦る自分を否定せず、今日という一日を、最も“濃く”使っていきましょう。

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