【推薦入試】尾道市立大学 経済情報学部 経済情報学科(小論文過去問題解説)

推薦入試

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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尾道市立大学 経済情報学部 経済情報学科の小論文対策

令和5年度 学校推薦型選抜(一般選抜)60分

問題 次の文章は、湯川秀樹「この地球に生れあわせて」(一九七三年)から、一部を改変のうえで引用したものである。全文を読み、あとの問いに答えなさい。

課題の要約文です。

昔は広大な自然があり、人間が行うことは大した影響を与えないと考えられていた。地球は無尽蔵の資源を持っていると思われ、生産と消費が豊かな生活をもたらすとされた。しかし、急速な生産と消費により廃棄物が増加し、環境汚染が進んでいる。物質やエネルギーの消費が拡大する中、地球の資源は無尽蔵ではない。文明国だけでなく新興国も資源を求め、これまでの生活様式では環境問題が深刻化してきている。人間は基本的な考え方を変えにくく、文化が進んでも思考は変わりにくい。猿にも文化があり、本能だけでなく学習と真似を通じて成長する。人間も初めは未熟で親や社会から学び、文化を通じて進化してきた。しかし、文化は変化が難しく、同じ生活が代々続く傾向がある。現代では他人への配慮が必要であり、地球の狭さや人口増加により共感と協力が不可欠とされる。したがって、根本的な考え方を見直し、意識的に改善する必要がある。

出典:湯川秀樹『創造への飛躍』講談社学術文庫(二〇一〇年)を一部改変して出題

問1 空欄①には「レジリエンス」を意味する共通の言葉が入る。「力」に続く二字熟語として適当と考えられるものを答えよ。

問2 傍線部②が表す現象を、四字熟語二つを組み合わせて示しなさい。

問3 傍線部③とあるが、二〇二二年の社会を前提とした場合、ここの数字はおよそいくらに改訂するべきか。

問4 空欄④に当てはまると考えられる四字熟語を答えよ。

問5 傍線部⑤について、どこが「似ている」と言えるのかを、本文の内容にそくして一〇〇字以内で説明しなさい。

問6 傍線部⑥とあるが、著者がこのように告げてから半世紀後の社会に生きる私たちには、いま、どのように「考えなおす」努力が求められているとあなたは考えるか。本文の内容をふまえ、あなた自身が重要と考える現代的課題を取り上げながら二〇〇字以内で述べなさい。

ポイント

出題意図

問1:昨今、使用頻度が高まっているカタカナ語の意味を、正しく押さえているか否かを確認する。

【解答のポイント】

・正確な語義を知らなくても、文脈に照らして適当な意味を引き出してくることができれば○。

問2:社会経済に関わりの深い基本的な熟語とその用例を、正しく押さえているか否かを確認する。

【解答のポイント】

・言葉を知ってさえいれば答えを間違うことはないはずの簡明な問いである。ただし半世紀前の日本を象徴する言葉でもあることから、現今の若年世代にとっては日常会話レベルでの馴染みが少なく、言葉の意味をかえって深くまで考えさせられたかもしれない。そこが狙いでもあった。

問3:世界情勢を左右する重要な構造的要因の一つとして、人口の趨勢がある。少子高齢化に伴う総人口減少が喧しく唱えられる日本の人口動向のみならず、増加率は漸減傾向とされるとはいえ絶対数の増大が止まらない世界の人口動向に対しても、広く関心を向けているかどうかを問う。

【解答のポイント】

・この入試直前の二〇二二年一一月半ば、世界人口が八〇億人を突破したと国連が発表した。時事にアンテナを張ってさえいれば非常に平易な問題だったかと思われる。

問4:問2同様、基本的な熟語とその用例を正しく押さえているか否かを確認する。

【解答のポイント】

・単に後発国という言葉を聞く場合も多い。ひと昔前であれば発展途上国のほうが人口に膾炙していたが、最近では開発途上国のほうが通りがよいだろう。いずれにせよ、直前の「文明国」が先進国を指していると分かれば、それとの対照により、答えはおのずと導き出される。

問5:局所だけでなく広く前後の文脈にまで目配りして、簡潔な表現の裏にある著者の「ものの見方」の特徴をつかみ取ることができるかどうかを判定する。

【解答のポイント】

・本能と文化は異なるという、この文章の核心的主張が現れている部分からの出題である。過去から連綿と受け継がれてきたものを模倣するだけでなく、それを改めていくことのできる可能性を兼ね備えたものが文化であると著者は述べている。模倣にも意図しない写し間違いがあるだろうし、全くの好奇心から何かを試してみて偶然に新しいことを発見する場合もあるだろうが、いずれにせよ決まったことの繰り返し以上のことを生み出す余地を持つものが文化と定義され、あらかじめプログラムされたものとしての本能とは明らかに対比的に捉えられている点を、押さえてほしい。

問6:現今の社会で課題となっている具体的事例として適切なものを各自で探し出し、その解決に向けた提言を自らの言葉で論述できるかどうかを問う。

【解答のポイント】

問5でも取り上げた「ものの見方」にもとづく著者の批判は、環境に対して無遠慮に負荷をかけていた半世紀前の世代のみならず、資源面での困難を知識として身につけていながらも、過去からの惰性として続いている生き方からなかなか抜け出せない私たちの世代にとってもなお有効で、いまだ古びていないこと。この点が意識できれば、あとは具体例を挙げて論じるのみである。解答が多様性に富んでいたことを、受験生諸君の鋭敏な感性が今後様々な分野で課題解決の糸口を見出していくだろう可能性を示唆するものとして、喜ばしく思う。

<尾道市立大学の公開内容からの引用>

小論文過去問題解説

問1:「力強さ」や「回復力」などが考えられます。レジリエンスは困難やストレスに対する適応力や回復力を指す言葉であり、「力」に続く二字熟語としてこれらが適切です。

問2:「生産と消費」の現象を表す言葉としては、「産消一体」や「生産消費循環」が考えられます。これらの言葉が、生産と消費が相互に関連し合っている様子を示しています。

問3:具体的な数字が本文に記載されていないため、予測が難しいですが、最新の情報や統計データをもとに現代の社会状況を把握し、それを反映させた数値を挙げる必要があります。

問4:「資源枯渇」や「持続可能性」など、地球資源に関わる概念を表す四字熟語が考えられます。これが、物質やエネルギーの消費が拡大する中での重要な視点を示すでしょう。

問5:猿と人間が「よく似ている」とされる点は、両者が文化を持っており、学習と真似を通じて成長する点です。100字以内で、この文脈から引用しつつ簡潔に説明します。

問6:著者が「考えなおす」ことへの努力を求めている背景を考察し、現代の課題に焦点を当てます。例えば、環境問題や社会の不平等など、著者の指摘した変化がもたらす具体的な影響について考え、それに対する個人や社会の取り組みに言及します。

尾道市立大学の所在地・アクセス

所在地アクセス
広島県尾道市久山田町1600-2JR山陽本線「尾道」駅からバスで20~40分
「尾道市立大学」下車
JR山陽新幹線「新尾道」駅からバスで約15分
「尾道市立大学」下車

尾道市立大学のHPはこちら

尾道市立大学の入試傾向

尾道市立大学の入試傾向については、以下のような特徴があります。

尾道市立大学は芸術文化の向上と産業の活性化に貢献する人材を育成することを目指しており、その観点から入試においては専門的な知識やスキルの習得が強調されます。

特に、美術学科など一部の学科では実技試験が行われており、これは共通テストよりも高い配点率が設定されています。実技試験においては、共通テストと同様に徹底的な対策が求められ、試験に臨む学生は作品制作やデッサン、彩色表現などの技術を向上させることが重要です。

入試科目には英語、数学、国語などが含まれており、これらの科目では基本的な知識やスキルの確認が行われます。英語の場合、前期日程で必須科目となり、出題難易度が標準レベルであることから、基本事項の確実な定着が必要です。数学や国語においても、出題範囲が広いため、幅広い勉強が求められます。

さらに、一般的な入試傾向として、共通テストと個別学力検査の結果が総合的に評価される場合があります。このため、学生はそれぞれの科目において共通テストと個別学力検査に適切に対策を講じ、トータルで高い点数を獲得する必要があります。

尾道市立大学の募集コース

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経済情報学部 経済情報学科(定員数:200人)

広い視野と柔軟な思考能力を身につけ、経済界、自治体などの地域社会に積極的に貢献できる人材を養成する。
1・2年次では、英語力やコンピュータ・リテラシーを高める教育に重点を置き、経済系、経営系、情報系の基礎科目をバランスよく学ぶ。1年次と3・4年次では、個人指導を重視したゼミナール教育により、分析能力と知的創造力を高める。
主要専門科目には、マクロ経済学、社会保障、公共経済学、情報ネットワーク、情報システム設計実習などがある。
また、コンピュータ設備によるキャンパス内外での情報ネットワークが構築されていて、研究や他大学との情報交換などに対するバックアップ体制が整えられている。

芸術文化学部(定員数:100人)

日本文学科(定員数:50人)

日本文学科では、日本語・日本文学を中心とした幅広い知識・教養を身につけ、客観的思考力や豊かな感性を磨く。日本語や日本文学についての基礎的知識を学ぶとともに、基礎演習・専門演習などの演習発表により、客観的思考力と的確な表現力を養う。

美術学科(定員数:50人)

美術学科では、画家やデザイナーなど、専門的に創作活動に携わる人材を育成。日本画・油画・デザインの3コースがある。1年次は全員、日本画・油画・デザイン・基礎実技を学び、2年次で希望するコースを選択する。
・日本画コースでは、日本画制作はもとより、デッサンや古典模写などの課題を通して、画材や素材への理解を深め造形感覚を修得していく。
・油画コースでは、さまざまな描画材料によるデッサン、ドローイングおよび油彩の実習を通じ、表現者として自立していくための基礎を学ぶ。
・デザインコースでは、充実した実習・工房設備でさまざまな技法を修得する。2年次より、グラフィックデザイン、アドバタイジング、イラストレーション、映像デザイン、造形デザイン、クラフトデザインの6つの研究室に分かれて学ぶ。

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