現代の受験生にとって、SNSは便利な情報源である一方、知らず知らずのうちに心を揺さぶる存在でもあります。模試で自己ベストを出しても、SNSを見ると落ち込むことがありますよね。今回は、SNSとの付き合い方と、受験期に心を折られずに学習を続けるための工夫についてお話しします。知識だけでなく、心の扱い方も大切にすることが、受験成功への近道です。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。
高1から入会者は国公立大学合格率93%
高2から入会者は国公立大学合格率86%
高3の4月から入会者は国公立大学合格率73%。
スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
SNSの弊害
SNSは他人の“良いとこ取り”の連続です。つい自分と比べてしまい、気持ちが沈むこともあります。心理学では、社会的比較理論として、人は自分の位置を知るために他者と比べる傾向があるとされています。受験期は評価が数値化されるため、比較が加速しやすいのが実情です。
重要なのは「どれだけ使うか」より「どう使うか」です。受け身で眺めるだけのSNSは落ち込みやすいですが、学習仲間とやりとりしたり質問したりする能動的な使い方は、自己効力感の向上につながります。
心のしくみ
SNS比較で心が揺れるとき、次の心理プロセスが同時進行しています。
- 上向き比較→妬み
他人の成功や楽しそうな投稿を見ると満足度が下がります。 - 数字による比較
“いいね”やシェア数が心を揺さぶることがあります。 - 比較の対象による影響
外見や能力の比較は自己評価を下げやすく、受験成績も同様の影響を受けます。 - 比較の活用
現実的な手本として比較すると、動機づけに変えられます。「次に真似できる一手」を見つけることが鍵です。 - 心を守るスキル
認知再評価やセルフ・コンパッションで、ネガティブ感情を和らげられます。
心を折らないための対策
タイムラインの再設計
- 学習記録や質問投稿を優先フォロー
- 外見や華やかな投稿はミュート
- 通知は1日2〜3回にまとめる
短期リセットの定例化
- 模試翌週はInstagramを5日間休む
- 入試直前2週間は写真系アプリ30分/日まで
比較の“質”を変える
- 行動が具体化された手本に注目
- 能動的学習情報を取り入れる
メンタルベースの強化
- 認知再評価:事実と解釈を分けて現実的に再評価
- セルフ・コンパッション:小さな成功を認める
- 夜に“今日できた小さな行動3つ”を書き出す
数字との距離を取る
- いいね数やシェア数は非表示にして心を守る
保護者の関わり方
- 「比較で落ち込むのは普通」と伝える
- 能動的な使い方を提案し、できた行動を一緒に拾う
外見関連のフィード整理
- 理想化された画像は上向き比較を誘発
- 学習・睡眠・運動のルーティンに注意を向ける
“やる気の炎”の安全な燃やし方
- 道筋を具体化
- 自分の価値が結果だけで決まらないことを確認
- 週1回の3分ジャーナルで“自分らしさ”を思い出す
まとめ
SNS比較で心が折れるのは自然な反応です。大切なのは“管理されていない比較”に振り回されないこと。
- 受け身スクロールを減らし、能動交流を増やす
- 数字から距離を取り、比較を学習に変える
- 認知再評価とセルフ・コンパッションで心にクッションを作る
今日からできる小さな一歩は、通知まとめ設定・手本アカウントフォロー・寝る前の1分ジャーナル。完璧を目指さず、現実的に進めましょう。