東京都立日比谷高等学校 推薦入試の概要
東京都立日比谷高等学校の推薦入試では、50分間の小論文試験が課されます。試験は小問1・小問2の2問構成となっており、小問1は資料読み取り型、小問2は課題解決・意見論述型というパターンが定着しています。資料を正確に読み解く力と、社会的な課題に対して自分の考えを論理的に述べる力の両方が問われます。都内トップクラスの進学校として、単なる暗記ではなく、思考力・表現力・社会への関心が厳しく評価される試験です。
出題傾向と対策(令和4〜6年度)
令和4〜6年度の出題を分析すると、明確な傾向が見えてきます。小問1は必ずグラフ・地図・統計などの資料が提示され、そこから客観的事実を読み取って記述する形式です。200字前後という字数制限の中で、資料のポイントを過不足なくまとめる要約・分析力が求められます。一方、小問2は地方問題・環境問題・地図記号など、地理・社会分野に関連したテーマが中心です。問題の指摘にとどまらず、具体的な解決策や社会的意義まで踏み込んだ論述が求められており、400字前後の字数が設定されています。
対策としては、まず日頃から新聞・ニュースを通じて社会問題への関心を高めることが不可欠です。特に地方創生・エネルギー・防災・インフラといったテーマは頻出領域です。資料読み取りの練習では、数値の変化・比較・因果関係を正確に言語化するトレーニングを積みましょう。また、小問2では「問題提起→現状分析→解決策→社会的意義」という論述の型を体に染み込ませることが合格への近道です。
令和6年度
問題
【小問1】資料を読んで、関東大震災における被害の原因について答える。(140字以上160字以内)
【小問2】地図記号を新たにデザインし、その地図記号が新たに加わることによる社会的意義について、資料を参考に述べる。(400字以上440字以内)
解答例
【小問1】解答例(約150字)
関東大震災における被害が甚大になった原因は、大きく二点に整理できます。第一に、震源地が東京・横浜などの人口密集地域に近かったことで、揺れによる建物倒壊が広範囲に及んだことです。第二に、地震発生が昼食準備の時間帯と重なり、各所で火災が同時多発的に起き、当時の木造家屋が密集する市街地で延焼が急速に拡大したことが挙げられます。
【小問2】解答例(約420字)
私が新たにデザインする地図記号は、「避難行動要支援者支援施設」を示す記号です。高齢者・障がい者・乳幼児を抱える家庭など、災害時に自力での避難が困難な方々が利用できる支援拠点を地図上に明示するものです。
デザインは、人が寄り添う姿をシンプルな線で表現し、直感的に「支援の場」であることが伝わるよう工夫します。既存の避難所記号と区別できるよう、形状に丸みを持たせた独自の輪郭を採用します。
この地図記号が加わることによる社会的意義は、主に二点あります。一点目は、地域住民が支援が必要な人々の存在と場所を日常的に意識できるようになることで、共助の意識が自然と育まれる点です。二点目は、災害発生時に支援者が迅速に対象施設へ向かえるよう、行動の指針となる点です。地図は誰もが共通して参照できる情報インフラであり、そこに支援拠点が可視化されることは、防災と共生社会の実現を地図という形で社会全体に促す大きな一歩となります。
勝てるポイント・アドバイス
小問1では、資料から読み取れる事実を「原因」という観点で整理し、複数の要因を明確に分けて述べることがポイントです。感想や推測を混ぜず、資料に根拠を置いた記述を心がけましょう。小問2は「地図記号のデザイン」と「社会的意義」の両方に言及することが必須です。意義の論述では、個人レベルではなく社会・地域全体への波及効果まで視野を広げて書くと、他の受験生と大きく差がつきます。
令和5年度
問題
【小問1】資料を読んで、ある鉄道会社の路線の中で赤字額が大きい区間について、赤字が続く理由を答える。(200字以上240字以内)
【小問2】地方が抱えている問題について事例を一つ挙げ、問題になっている点を述べるとともに、解消方法について具体的に述べる。(340字以上400字以内)
解答例
【小問1】解答例(約220字)
赤字額が大きい区間で赤字が続く理由は、主に需要と供給のアンバランスにあります。資料からは、沿線人口の減少と少子高齢化の進行により、通勤・通学利用者数が継続的に減少していることが読み取れます。また、観光需要も限定的で、季節変動が大きく安定した収益につながっていません。一方で、線路・車両の維持管理費や人件費などの固定費は路線を存続させる限り削減が難しく、収入の減少に対してコストが下がらない構造的な問題が赤字を拡大させていると考えられます。
【小問2】解答例(約380字)
私が取り上げる事例は、地方における公共交通機関の廃線・縮小問題です。人口減少が進む地方では、バス路線や鉄道路線の利用者が減少し、採算が取れなくなった事業者が相次いで路線を廃止しています。
この問題の核心は、交通手段を失った高齢者や免許を持たない住民が、通院・買い物・行政手続きなど日常生活に不可欠な外出すら困難になるという生活基盤の崩壊にあります。移動手段の喪失はさらなる人口流出を招き、地域の衰退を加速させるという悪循環も深刻です。
解消策として、私はデマンド型交通システムの導入を提案します。これは利用者が事前に予約した時間・場所に車両が向かう仕組みで、固定路線より運行コストを大幅に抑えられます。さらに、自治体が地域住民と協力してライドシェアや移動販売と組み合わせた複合的な移動支援ネットワークを構築することで、持続可能な地域交通の実現が期待できます。
勝てるポイント・アドバイス
小問1は「なぜ赤字が続くのか」という因果関係を資料から論理的に導くことが求められます。数値の変化を具体的に引用しながら、収入減・コスト維持という構造問題として整理すると説得力が増します。小問2は事例を「一つ」に絞り込むことが重要で、欲張って複数のテーマを混在させると論点が散漫になります。解消策は「誰が・何を・どのように」を明示した具体策にまとめることで、抽象論に終わらない力強い答案になります。
令和4年度
問題
【小問1】資料を読んで、再生可能エネルギー推進に向けた日本の取り組みの現状を答える。(200字以上240字以内)
【小問2】地球温暖化対策に付随して得られる効果について述べるとともに、地球温暖化対策を進めていく中で生じ得る問題について、考えを述べる。(340字以上400字以内)
解答例
【小問1】解答例(約230字)
資料から読み取れる日本の再生可能エネルギー推進の現状は、以下の通りです。総発電量に占める再生可能エネルギーの割合は年々増加しており、太陽光発電の導入量が特に顕著な伸びを示していることが確認できます。しかし、ドイツやイギリスなど欧州主要国と比較すると、再生可能エネルギーの比率は依然として低い水準にとどまっています。また、発電量が天候や季節に左右される不安定さへの対応として、蓄電設備の整備や送電網の強化が課題として残っていることも読み取れます。
【小問2】解答例(約380字)
地球温暖化対策を推進することで得られる付随的な効果として、まず大気汚染の改善が挙げられます。化石燃料の燃焼を減らすことで、二酸化炭素だけでなく窒素酸化物や微粒子状物質(PM2.5)の排出も同時に削減され、都市部における呼吸器疾患のリスク低下や生活環境の向上が期待できます。さらに、再生可能エネルギー産業の拡大による新たな雇用創出という経済的効果も見逃せません。
一方で、温暖化対策を進める中で生じ得る問題も存在します。最も重要な課題はエネルギーコストの上昇です。再生可能エネルギーへの移行には設備投資が必要であり、電気料金の引き上げは低所得世帯や中小企業に対して不均等な負担をもたらす恐れがあります。また、エネルギー集約型産業では国際競争力の低下を招くリスクもあり、経済成長と環境保全をどのように両立させるかという難しい判断が政策立案者に求められます。対策の恩恵と負担が社会全体に公平に分配される仕組みの構築が急務です。
勝てるポイント・アドバイス
小問1では、日本の「現状」を問われているため、他国との比較や課題まで触れると内容に深みが出ます。ただし資料に根拠を置くことを忘れずに。小問2は「付随して得られる効果」と「生じ得る問題」の両方を論じるという二段構成が必須です。どちらかに偏ると大幅な減点につながります。問題点の論述では、「誰にとっての問題か」を具体的に示すことで論述の解像度が上がり、採点者に強い印象を与える答案になります。
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