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東京海洋大学海洋生命科学部、海洋資源環境学部の概要
海洋生命科学部
海洋生命科学部は、海洋生物資源学科、食品生産科学科、海洋政策文化学科で構成される学部です。生物資源、食品生産、政策文化という関連がなさそうな教育研究分野の3学科ですが、海洋・水圏の生命科学や水産およびそれらに関わる人の営みなどで強いつながりを有し、各分野がお互いを刺激し合うことで特色ある学部になっています。
海洋生物資源学科では、海洋生物の安全・持続的利用に関する教育研究を行っており、水中に暮らす生物を総合的に理解して、これらを守りながら持続的に利用する方法を教育研究しています。
食品生産科学科では、食の安全・安心・おいしさに関する多くの教育研究を行っており、持続可能な食資源確保を念頭に食資源を余すことなく利用する技術開発や研究を行っています。
海洋政策文化学科では、海洋の保全と人間生活の豊かさを両立させることを目標に、多種の学問分野からアプローチした教育研究を行っています。
現在、世界は気候変動、エネルギー問題、食糧不足、地域紛争など多くの問題を抱えています。海洋生命科学部はこれらの問題に対し、「持続可能な海洋の利用と管理」という切り口で向かい合い、よりよい社会の実現に取り組んでいます。
*(参照)大学の公式HP→ 東京海洋大学海洋生命科学部
海洋資源環境学部
海洋資源環境学部は、海面及びその上を覆う大気から海底、海底下までの総合的な海洋科学・海洋生物学に関する理解を基盤に、再生可能エネルギー・海底資源の利用、海洋環境の保全・修復等の分野を教育・研究する、海洋環境科学科と海洋資源エネルギー学科で構成されています。
本学部では、海洋環境保全と海洋資源利用の両立、海の環境保全と資源・エネルギー探査・開発・利用についての教育・研究を進めています。また、海の現場で活躍するための実地訓練・安全教育、実験、実習を重視しています。これらの特色ある教育・研究から、海の平和的かつ積極的な開発・利用と環境保全の調和を図り「新たな海洋国家」の実現に貢献でき、かつ国際的にも活躍できる人の育成を行っています。さらにSDGsの一つである「持続可能な開発のために海洋・ 海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことを実践し、国内外でリーダーとして活躍できる人を育てるために「質保証」を伴う統合的で実践的なカリキュラムを備えています。
グローバルな課題へ挑戦し、先進的な研究に取り組んでいる海洋資源環境学部で共に学び、研究をすることで海のスペシャリストを目指す皆さんを待っています。
*(参照)大学の公式HP→ 東京海洋大学海洋資源環境学部
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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後期 海洋生命科学部、海洋資源環境学部
2022年 120分 1190字ほか 300点/900点(文、資)
Ⅰ [文章] (出典)生源寺眞一著「新版 よくわかる食と農のはなし」(家の光協会,2009年)
問1 下線(1)「この1戸の農家自身が被る放牧地のダメージ金額は約9900円にとどまる」にある約9900円はどのようにして求められたのか、導出する数式を示しなさい。(配点:20点)
問2 ハーディンは1988年に発表した論文において、自身が1968年に発表した論文について「私の論文のタイトルは『管理されざるコモンズの悲劇』とすべきであった」と述懐している。ハーディンは、どのような事実に接し、このように述懐したと考えられるか、本文中の言葉を用いて60字以内で説明しなさい。(配点:30点)
問3 下線(2)「ハーディンの論文自体は、地球全体をコモンズと見立てて.増え続ける人口問題の本質に肉薄したものである」にあるように、ハーディンが論じた「コモンズの悲劇」のメカニズムは、より広域な問題にも当てはまる。このメカニズムを元に、工場の排煙による大気汚染を例にして、都市における環境問題が発生する理由を180字以内で説明しなさい。(配点:40点)
問4 この文章は、農業・農村について書かれたものであるが、その内容は、日本の漁業・漁村についても当てはまると考えられる。しかし、コモンズとしての漁場における水産資源については、その管理が必ずしも十分でないとの批判もある。本文の内容をふまえ、地域資源の特質やコモンズの性格、および行政の役割に注目しながら、「この文章の内容は、どういう点で日本の漁業・漁村についても当てはまるのか」また、「コモンズとしての漁場における水産資源の管理を今後十分なものとしていくためには、どのようにすればよいのか」について,あなたの考えを400字以内で述べなさい。(配点:60点)
Ⅱ [文章・資料] (出典)クヌート・シュミット=ニールセン著(沼田英治・中嶋康裕監訳)『動物生理学 環境への適応』(東京大学出版会,2007年)、グラフ、計3点
問1 図1で調べられている淡水魚Aの採集場所は、地球の北半球と南半球のどちらであるかを、理由を含めて100字以内で記述しなさい。(配点:30点)
問2 淡水魚Bを10Cで順化した場合、上限および下限致死温度を図2から読み取り、理由を含めて150字以内で記述しなさい。(配点:40点)
問3 図3の淡水魚CとDの温度耐性の特徴から、両者の実際の生息環境や場所をそれぞれ推測して150字以内で記述しなさい。(配点:40点)
問4 南方系の海水魚のうち、回遊性が無い魚、泳力の乏しい椎魚や卵などが、黒潮に乗って房総半島沿岸などに流れ着く事象が知られている。しかし、流れ着いたほとんどの魚が1年以内に死亡してしまう。これらの魚が死亡する主な理由を推測し、150字以内で記述しなさい。(配点:40点)
2021年 120分 1340字ほか 300点/900点(文、資)
Ⅰ [文章] 文章1=(出典)ジェームズ・プロセック著「浮遊性の藻頼が育む『地球上でここだけの海』」(『ナショナルジオグラフィック日本版』,2019年6月号)、文章2=(出典)松岡由希子著「海を覆い尽くす⋯⋯アフリカからメキシコ湾までつづく巨大な藻のベルトが出現」(「ニューズウィーク日本版オンライン」,2019年7月10日付)
問1 サルガッソ海の生き物にとってのサルガッサムの特徴を、文章1より120字以内で抜き出しなさい。(配点:20点)
問2 漂着したサルガッサムの問題点を、文章2より120字以内で抜き出しなさい。(配点:20点)
問3 文章1と2におけるサルガッサムに対する見解の相違点について、200字以内で述べなさい。(配点:40点)
問4 サルガッサムが大量に発生しないためにとのような対策をとるべきか、また、大量に漂着してしまったサルガッサムをどのように有効利用すべきか、あなたの考えを400字以内で述べなさい。(配点:70点)
Ⅱ [資料] 図1=(出典)「気候変動監視レボート2014年」(気象庁)グラフ、図2=(出典)町村尚ほか共著『工学生のための基礎生態学』(理工図書,2017年)模式図2点計4点。
問1 図1の1)と2)それぞれについて、変化の傾向を10年あたりの日数変化で求めなさい。(配点:10点)
問2 問1で解答した図1の1)と2)の変化の傾向について、その理由を100字以内で説明しなさい。(配点:30点)
問3 図2において、環境温度の上昇によって、生物群A〜Dは、それぞれどのように変化したかを読みとり、200字以内で説明しなさい。(配点:50点)
問4 図1と2は、陸上における変化だが、海においても同様の変化が起きているか明らかにしたい。そのために、どのような調査が考えられるか200字以内で述べなさい。(配点:60点)
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2020年 120分 1360字ほか 300点/900点(文、資、教)
Ⅰ [文章] (出典)今村知明著「食品不信社会」(中央法規出版,2008年)
問1 本文中では、リスクとハザードはどのように定義されているか、60字以内で説明しなさい。(配点:20点)
問2 ゴースト効果について、本文中のBSEの例を用いて250字以内で説明しなさい。(配点:50点)
問3 本文で述べられている消費者の不安を増大させないために、どのような方策が考えられるかあなたの考えを400字以内で述べなさい。(配点:80点)
Ⅱ [文章・資料] 文章=(出典)「平成30年版環境白香·循環型社会白書・生物多様性白書」(環境省,2018年)、文章2=(出典)マティス・ワケナゲル、ウィリアム・リース共著「エコロジカル・フットプリント』(合同出版社,2004年)、資料=(出典)Global FootprintNetworkのウェブページ、グラフ、表の計2点。
問1 本文中の①から③に入る数式を答えなさい。(配点:15点)
問2 図を見て、1961年から2016年までの世界人口1人あたりのエコロジカル・フットプリントとバイオキャパシティの推移を比較し、その特徴を150字以内で説明しなさい。なお、エコロジカル・フットプリントをEF、バイオキャパシティをBCと省略して解答してもよい。(配点:30点)
問3 表を見て、土地の種類ごとにエコロジカル・フットプリント
とバイオキャパシティを比較し、その特徴を200字以内で説明しなさい。(配点:40点)
問4 間2の図と問3の表の特徴を踏まえて、日本で私たちが今後も社会経済活動を続けていくために、あなたの身の回りでどのようなことができるのか、あなたの考えを300字以内で述べなさい。(配点:65点)
2019年 120分 1420字 300点/900点(文、資)
Ⅰ [文章] (出典)朝日新聞,2017年10月22日の記事
問1 下線部の「そういった魚」とはどのような魚なのか、本文中に記述されていることを130字以内で要約しなさい。(配点:30点)
問2 海洋中にマイクロプラスチックが存在している理由を、文章中の表現を用いて150字以内で説明しなさい。(配点:30点)
問3 マイクロプラスチックによる海洋汚染の現状と今後の動向について、本文中に記述されていることを170字以内で要約しなさい。(配点:40点)
問4 日本周辺を含む東アジアの海域では多くのマイクロプラスチックが浮遊している。海洋のマイクロプラスチックの増加への対策について、あなたの考えを350字以内でまとめなさい。(配点:50点)
Ⅱ [文章・資料] 文章、グラフ。
設問 文章を読み、間1から問4に答えなさい。なお、解答する際には、図中の用語(略語)を使用してもかまわない。
問1 図中の「O2分圧」、「NBの場合のCO2分圧」、および「HVの場合のCO3分圧」について、以下の(1)と(2)に答えなさい。(1)血液中の酸素ガス分圧の時間経過にともなう変化について、50字以内でまとめなさい。(配点:10点) (2) 素潜り前の呼吸が通常であった場合、およびハイパーベンチレーションであった場合の血液中の二酸化炭素ガス分圧の時間経過にともなう変化について、90字以内でまとめなさい。(配点:20点)
間2 素潜りを開始したのち、「強く呼吸を再開したいと感じ始める」とき、および「意識喪失が生じ始める」ときとは、それぞれどの程度のガス分圧を指すのか、図より読み取り80字以内で記述しなさい。(配点:20点)
問3 素潜り前にハイパーベンチレーションを行った場合、素潜り開始から最初に呼吸を強く再開したいと感じるまでの時間は、素潜り前の呼吸が通常であった場合よりも長くなる。この理由を200字以内で説明しなさい。(配点:40点)
問4 ヒトは、血液中の二酸化炭素ガス分圧および酸素ガス分圧とによって、強く呼吸を再開したいと感じる2つのシステムを有している。素潜り前の呼吸が通常であった場合のみを想定し、これらのシステムをあわせ持つ利点について、200字以内で説明しなさい。(配点:60点)
2018年 120分 1220字 300点/900点(文、資)
Ⅰ [文章](出典)シルビア・アール著(古賀祥子訳)『ワールド・イズ・ブルー 乱獲汚染,絶滅一母なる海に迫る危機』(日経ナショナルジオグラフィック社。2010年)
問1 下線部(1)について、本文で述べられている「そうしたものの重要性」とは何か、100字以内で説明しなさい。(配点:40点)
問2 下線部(2)では、「予防原則」 という言葉が使われている。著者は、どのような意味でこの言葉を使っていると考えられるのか、本文の説明をふまえて150字以内で述べなさい。(配点:50点)
問3 深海底の採掘活動によって失われる可能性があるものにはどのようなものがあるか、具体例をひとつ挙げなさい。また、それを保護し、環境と調和する開発をするためにはどのような措置が必要となるか、あなたの考えを400字以内で述べなさい。(配点:60点)
[文章・資料] (出典)山下洋著「放流技術と生態」(「ヒラメの生物学と資源培養」恒星社厚生閣,1997年)
問1 図をみて、放流時のヒラメの体長と回収率の関係を120字以内で述べなさい。なお、放流した場所、季節、および方法はすべての体長のヒラメで同一であったものとする。(配点:30点)
問2 回収率が図のような結果になった理由について、本文の説明をふまえて250字以内で考察しなさい。なお、放流される前の人工的な飼育環境は、様々な点で放流後の環境と異なることに留意すること。(配点:60点)
問3 問2で回答した理由が正しいことを証明するには、どのような実験や調査を行って、どのような結果を得たらよいか、200字以内で具体的に説明しなさい。(配点:60点)
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東京海洋大学海洋生命科学部、海洋資源環境学部への志望理由書や面接対策として理解を深めておくと良い事柄など
東京海洋大学海洋生命科学部や海洋資源環境学部への志望理由書や面接対策において考慮すべきポイントを以下に示します。
志望理由書のポイント:
- 専攻に対する興味と関心:
- なぜ海洋生命科学部や海洋資源環境学部を選びたいのか、その専攻に対する興味や関心を具体的に述べましょう。例えば、特定の研究分野やプロジェクトに引かれた理由を説明します。
- 関連する経験や実績:
- これまでの学業や研究、ボランティアなどで得た経験や実績を挙げ、その経験がなぜ専攻に適しているかを示します。具体例を交えることで説得力が増します。
- 将来の展望:
- 入学後の将来の目標やキャリアについて述べましょう。卒業後にどのような分野で活躍したいのか、そのために必要なスキルや知識を学びたいと考えていることを具体的に示します。
- 大学とのマッチング:
- 東京海洋大学の海洋生命科学部や海洋資源環境学部が持つ特徴や教育方針と、自身の志向や価値観がどのように一致しているかを強調します。大学に入学することでどれだけ成長できるかを示すと良いでしょう。
面接対策のポイント:
- 自己紹介の準備:
- 簡潔かつ分かりやすく、自分の学歴や興味を伝える自己紹介を用意します。これを基に面接が進行することがあります。
- 専攻に関する知識:
- 東京海洋大学の海洋生命科学部や海洋資源環境学部に関する基本的な知識を把握しておくことが重要です。学科の特徴や取り組んでいる研究テーマについて調査しておきましょう。
- 関連する質問への備え:
- 自分の志望動機や経験に関連する質問に備えておきます。なぜその専攻を選んだのかや、今までの研究やプロジェクトの中での学びについて考えておきましょう。
- 積極的な姿勢をアピール:
- 自分が専攻でどれだけ成長できるか、そして大学や専攻にどれだけ貢献できるかをアピールします。積極的な姿勢や学びたい意欲を強調します。
- 質問への適切な反応:
- 面接官の質問に対して冷静かつ適切に答えることが求められます。質問が理解できない場合は、遠慮せずに確認する姿勢も大切です。
志望理由書や面接では、自分の個性や熱意を伝えることが重要です。具体的な経験や将来の展望を示し、なぜ東京海洋大学の海洋生命科学部や海洋資源環境学部に入学したいのかを明確に伝えるよう心がけてください。
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まとめ
過去問題における傾向を把握しながらも、それらの問題と関係性の深い事柄についても調べるのが良いでしょう。また、出題の題材として、一見、全く違う分野の問題だと思えるような題材が取り上げられることにも気づいたのではないでしょうか? 他分野のことがらに関しても見聞を広げるのはもちろん意義がありますが、それよりも、共通のテーマや意味合いを見つけることに意識を注ぎましょう。「抽象度を上げて、応用する」という感覚です。志望の学部や学科が扱う分野に関わりの深いテーマはもちろん、時事情報なども関連させて考えを深めるとより良いでしょう。