志望理由書で一番多い失敗——書き始める前に絶対に考えるべき「動機の核心」とは

志望理由書で一番多い失敗——書き始める前に絶対に考えるべき「動機の核心」とは 五十嵐校長コラム

「先生、志望理由書って、どこから書き始めればいいんですか。大学のパンフレットを読んでも、自分の言葉が全然出てこなくて……」

夏の終わり、ある高3の女の子が私の元を訪ねてきたときの言葉です。手元には真っ白なA4の原稿用紙。表情は暗く、目の下にはうっすら隈ができていました。一週間、毎日机に向かってきたのに、結局一行も書けなかったと言うのです。

この言葉を聞いたとき、私の胸の奥で何かが燃え上がりました。悔しさとも、怒りとも、切なさとも言えない——けれど確かに熱い、ある感情です。なぜなら、この子の苦しみは才能のなさとも、語彙力のなさとも、まったく関係がないからです。

27年以上、毎年何百人もの受験生の志望理由書を見続けてきた私は、この状況を見た瞬間に原因がわかりました。書けない理由は「文章力」ではない。書く前の段階で、決定的に欠けているものがある。それは「動機の核心」です。

志望理由書の失敗のほとんどは、書いているときに起きるのではありません。書き始める「前」の段階で、すでに起きているのです。この記事では、スカイ予備校に毎年寄せられる志望理由書の相談から見えてきた「最大の失敗パターン」とその根本原因、そして逆転するための具体的なアプローチを余すことなくお伝えします。今まさに白紙の原稿用紙を前に途方に暮れている受験生、そして我が子の苦しむ姿を見守るしかできない保護者の方——この記事は、あなたのために書きました。

なぜ「志望理由書が書けない」のか——本当の原因

「文章が苦手だから書けない」「語彙力がないから書けない」——多くの受験生も保護者も、志望理由書が書けない原因をそこに求めます。しかし、スカイ予備校で27年以上受験生を見続けてきた私だからこそ断言できます。それは表面的な原因に過ぎません。

私が毎年確認しているデータがあります。スカイ予備校に志望理由書の相談で持ち込まれる原稿のうち、実に4人に3人——つまり75パーセント以上の生徒が、「書けていない」のではなく「書いてはいるが、何かがズレている」状態です。原稿用紙600字なり800字なり、文字数はきちんと埋まっている。ところが読んでいると、どこか空洞感がある。まるで誰かに借りてきた言葉を並べたような、薄さがあるのです。

この「ズレ」の正体が、「動機の核心」の欠如です。

多くの受験生がやっていることを正直に言います。大学のパンフレットを開いて、そこに書かれた「教育理念」「カリキュラムの特徴」「教員の専門分野」を読む。そしてそれを自分の言葉に置き換えて書く。これです。これが最大の失敗パターンです。

なぜ失敗するのか。それは「大学が魅力的だから行きたい」という論理で書かれた志望理由書は、どんなに文章が上手くても、入学審査官には「あなたでなくてもよい理由」にしか読めないからです。審査官はこの大学に何千人、何万人もの応募書類を読みます。「御校の少人数ゼミに惹かれました」「グローバルな環境に魅力を感じました」——そんな理由で始まる書類が何百枚も積まれているとき、その中の一枚が突き刺さるとしたら、それはどんな一枚だと思いますか。

答えは明快です。「この人間だからこそ、この大学でなければならない理由」が書かれているものです。

動機の核心とは何か。それは「自分の過去の経験や問いが、この学問・この大学でしか解決できない」という必然性のことです。「なぜ法学部なのか」ではなく、「自分のどんな経験・疑問・怒り・感動が、法学というフィールドを必要としているのか」。この問いに答えられない状態で書き始めるから、どれだけ頑張っても借り物の言葉しか出てこないのです。

書けないのではありません。書く前に掘り下げるべき「自分の内側」をすっ飛ばしてしまっているだけなのです。

真逆の結果になった二人——落ちた生徒と受かった生徒

具体的な話をしましょう。同じ時期に、同じ大学の同じ学部を志望した二人の生徒の話です。どちらも関東の公立高校に通う高3で、学力は互いに拮抗していました。

一人目は、ある男の子です。彼は幼いころから「人の話を聞くのが好き」で、将来は心理に関わる仕事がしたいと漠然と考えていました。志望校の心理学部への進学を決め、夏から志望理由書に取りかかりました。書いた内容はこうです。「御校の心理学部は実験設備が充実しており、フィールドワークの機会も豊富です。また少人数教育によって教員と密な関係を築けると聞き、より深く学べる環境だと感じました。将来は臨床心理士として人の役に立ちたいと思っています」。

文章は整っています。誤字もない。でも、私がこの原稿を見たとき、率直にこう伝えました。「これは大学のパンフレットを言い換えただけだ。あなたがなぜ心理学でなければならないのか、何も書かれていない」と。

彼はしばらく黙ったあと、「でも先生、自分でも理由がよくわからないんです」と言いました。それが正直なところでした。結果は不合格でした。

二人目は、ある女の子です。彼女も同じ大学の心理学部を目指していました。彼女の最初の原稿も、正直なところ一人目とほぼ同じような「大学紹介的」な内容でした。ところが私が「あなたが心理学に興味を持ったのは、いつ、どんな出来事がきっかけだったの?」と聞いたとき、彼女の表情が変わりました。

「中2のとき、仲の良かった友達が不登校になったんです。何度も声をかけたけど、どう接していいのかわからなくて。その子が最終的に別の学校に転校してしまったとき、自分の無力さが悔しくて……あのとき自分に心理学の知識があれば、違ったんじゃないかって、今でも思うんです」

私はすぐに言いました。「それを書きなさい。それがあなたの核心だ」と。

書き直した彼女の志望理由書は、冒頭からまったく別物でした。中学2年のあの冬の経験から始まり、そこで生まれた「なぜ人は心を閉ざすのか」という問いが、高校の3年間をどう変えたか。そしてその問いに向き合うために、なぜこの大学の心理学部でなければならないのか——すべてが一本の線でつながっていました。彼女は合格しました。

二人の差は文章力ではありません。学力でもありません。「自分の内側にある動機を、言語化できたかどうか」——ただその一点だけです。

保護者の方へ——「添削より先にすべきこと」

ここからは、受験生の保護者の方に直接お話しさせてください。

我が子が志望理由書で悩んでいるとき、多くの保護者がとる行動があります。「読んであげるから、書いたら持ってきなさい」——この言葉です。気持ちはわかります。何かしてあげたい。力になりたい。でも、この言葉が逆効果になることがあります。

なぜか。子どもは「書いたものを評価される」という意識を持つと、まず「正解っぽい文章」を書こうとします。親に褒められそうな、無難な内容を選びます。その瞬間に、動機の核心を掘り下げる作業が止まるのです。

保護者の方がやりがちなもう一つの間違いは、「こう書けばいいんじゃない?」と内容を提案してしまうことです。親御さんの経験や知恵から来る善意のアドバイスです。しかしそれは、本人の言葉ではありません。審査官は何百枚もの書類を読んでいます。「本人の声か、借り物の声か」は、驚くほど敏感に伝わります。

では、保護者の方に今すぐできることは何か。

それは「聞き手になること」です。具体的には、こう聞いてみてください——「あなたがその学部・その大学に興味を持ったのは、どんな出来事がきっかけだったの?」と。答えが出てこなくても、焦らないでください。「小学校のころ、中学校のころ、高校のころ、何か印象に残っていることはある?」と遡って聞いていく。評価せず、ただ聞く。その会話の中から、本人自身も気づいていなかった「動機の核心」が出てくることが何度もあります。

私、五十嵐は保護者の方に断言します。志望理由書において、親にできる最大の貢献は「添削」ではなく「傾聴」です。その一時間が、どんな高額な添削サービスよりも、お子さんの志望理由書を本物にする力を持っています。

スカイメソッドで「動機の核心」を言語化する——具体的な3ステップ

最後に、スカイ予備校が実際に生徒に対して行っている「動機の核心」を掘り下げるための具体的な指導法をお伝えします。

ステップ①「原体験の棚卸しシート」を使った遡り作業

スカイ予備校では、志望理由書の指導を始める前に必ず「原体験シート」を記入してもらいます。内容は学力や成績とは無関係です。「小学校・中学校・高校それぞれで、最も心が動いた出来事は何か」「怒りを感じた場面」「悔しかった経験」「誰かのために何かしたいと思った瞬間」——こうした問いに答えてもらうことで、本人が意識していなかった「問いの原点」が浮かびあがります。この作業なしに志望理由書を書き始めることを、スカイ予備校では一切認めません。

ステップ②「なぜ5回ドリル」で論理の糸を紡ぐ

原体験が出てきたら、次はその経験から「なぜ?」を5回繰り返す作業を行います。「なぜその経験が心に残っているのか」→「なぜそれがこの学問と結びつくのか」→「なぜこの大学でなければならないのか」→「なぜ今この問いに向き合いたいのか」→「なぜその先に自分の将来があるのか」。この連鎖が完成したとき、初めて「書く素材」が揃います。ここまでくれば、文章力が多少不足していても、書けます。むしろ書かずにはいられなくなります。

ステップ③「審査官の目線」で構成を逆算する

素材が揃ったら、最後は構成の段階です。スカイ予備校では「審査官は何を知りたいのか」という問いを常に軸に置きます。「この学生はなぜここに来たいのか(過去)」「この学部でどう学ぶのか(現在)」「学んだ先に何を実現したいのか(未来)」——この三層構造を意識して配置することで、読んだ審査官の頭の中に一本のストーリーが残る志望理由書が完成します。文字数を埋めるための文章ではなく、一文一文が必然性を持つ文章です。

スカイ予備校で27年以上受験生を見続けてきた私だからこそ断言できます。志望理由書で合格を勝ち取る生徒は、特別な文才を持った生徒ではありません。「自分の内側を正直に掘り下げ、それを論理的に言語化できた」生徒です。そしてその力は、正しいプロセスを踏めば、誰にでも引き出せます。

📲 無料LINE相談を受け付けています

この記事を読んで「うちの子のことかも」と感じた保護者様へ。スカイ予備校の公式LINEでは、校長・五十嵐が直接お悩みに回答しています。まずは気軽にご相談ください。

📲 LINE登録して無料相談する →
スカイメソッド小論文対策の動画プレゼント!
無料LINE登録で動画を受け取る