【推薦入試】岐阜大学 医学部 医学科 小論文過去問題と概要

小論文過去問題

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。

2020年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となる。過去3年間で国公立大学合格85名。

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スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします

小論文過去問題

R6年度 学校推薦型選抜Ⅱ 制限時間150分

医学部 医学科

1 以下の文章を読み、問に答えよ

出典: 「人生案内」『読売新聞』2023年7月14日付け朝刊より

問 父は「絶縁」と言っているが、回答者は「縁を切ったままとはいかないでしょう」と答えている。その理由を記せ。

2 以下の文章を読み、問に答えよ

出典:小倉真治著『組織論からみた病院経営』へるす出版 2019年より一部改変

問 あなたがリーダーとして統括している病院のある部署に対し、患者から、「外来の待ち時間が長すぎる。何時間待てば診てくれるのか」というクレームがきました。その原因として、「患者を待たせてしまうのは、我々の部署は人員が十分に足りていないことが原因だ」という人もいれば、「私はちゃんと診ているが、ある先生の診察時間が長すぎるのが原因ではないか」という人もいます。部署のリーダーであるあなたが、この文章に記したリーダーとして必要とされるどの能力を使って問題を解決すべきか、また、今後同様のクレームを受けないためには、どのような組織を目指すべきなのか、あなたの意見を記せ。(300字以内)

3 以下の文章を読み、問に答えよ

問1 「コントロール可能性の認知 (コントロール幻想バイアス)」 の実例について、思いつくものを記せ。(20字以内)

問2 医師として、患者と相談して治療方針を決定する際に気を付けるべきことは何か、あなたの考えを記せ。(250字以内)

4 以下の文章を読み、問に答えよ

出典: エイミー・C・エドモンドソン著 野津智子訳『チームが機能するとはどういうことか』英治出版 2014年より一部改変

問1 このチームの問題点について、記せ。(100字以内)

問2 あなたがローシャの立場であったとして、解決策を記せ。(200字以内)

5 以下の文章を読み、問に答えよ

出典:落合陽一・山口周・野口悠紀雄・井上智洋・深津貴之・和田秀樹・池田清彦著『ChatGPTは神か悪魔か』 宝島社新書 2023年より一部改変

問1 生成系AIについて、今後、医療分野において、どのような使用が予測されるか、あなたの考えを記せ。(200字以内)

問2 生成系AIの進化により、医療分野においても医師の価値や役割が変化することが予測される。AI時代の医師に求められる役割について、これまで医師が担ってきた役割と対比しながら、あなたの考えを記せ。(200字以内)

6 以下の文章を読み、問に答えよ

出典:モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会編「医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」

文部科学省ホームページURL:https://www.mext.go.jp/content/20230207-mxt_igaku-000026049_00001.pdf(令和5年11月27日)より一部改変

問 文章中の医学生への求めに応えるには、「自己学修」の習慣化が必要と思われる。医学における自己学修の重要性と、具体的な方法・戦略について自らの考えを記せ。(600字以内)

出題のねらいと解答のポイント

1は、記事の内容をもとに、回答者の思いを推測する。この『読売新聞』の「人生案内」は、2022年から3年連続で出題されている。

2は、「指導者に求められる資質」の中にある能力を意識し、組織としては「機能体組織」を念頭に論述する。

3は、コントロール可能性の認知には、メリットもあることを踏まえて解答する。

4は、チームの問題点を踏まえ、それをメンバー1人の行動によっていかに変えていくかを意識して解決策を考えるとよい。

5は、弁護士の業務について述べられている。課題文の展開に即して、医師について考えるとよい。

6は、自己学修の重要性と、具体的な方法・戦略についてバランスよく論じる。600字の論述字数は、例年に比べて多い。

解答例

1 相談者は2人きょうだいであり、「両親の老後は、2人で面倒をみていく必要がある。しかし、相談者は結婚して夫の姓となり、すでに家を出ており、また主婦であるため、夫の収入に頼っている。日本では、その家の娘が結婚して家を離れた場合、基本的には残った者が家を継ぎ、親の面倒を見るのが一般的である。もしも弟が定職に就き一定の収入がある場合、たとえ弟が姓を変えて家を出たとしても、主婦である相談者と比較して、やはり金銭的なサポートが可能なのは弟の方である。回答者は、現状はこの相談者も両親と共に弟と対立しているが、いずれは父もこの相談者も、この弟に金銭的なサポートを頼ることになるだろうと想像しているから。

2 まず、自己制御の能力を用いて外来の待ち時間を短縮させる基本方針を設定し、原因とみられる人員不足や診察時間の長さがどの程度影響しているのか、知力を用いて確認する。その上で、改善できそうな項目について、説得力を用いてメンバーに伝え相談する。そして、変更したことを持続していく力が求められる。今後、同様の事態とならないためには、メンバーがそれぞれの過ごしやすさを追求する共同体組織よりも、目標に対してチームとして組織全体でまい進する機能体組織を目指すべきだ。病院における目標とは患者の快復や健康の維持といった利益の追求であり、そのために医師やスタッフが連携して病院を運営していかなくてはならない。

3 

問1 宝くじを高額当選者が出た売り場で買うこと

問2 コントロール幻想バイアスは、生活に主体性を生み出す効果もあり一概に否定されるものではない。しかし、科学的根拠のない民間療法を選択しようとしたり、標準治療を選択しない場合のリスクを低く判断したりする可能性がある。したがって医師は、患者に主体性を持って治療方針を決定してもらうため、自ら有効だと思う方針を結論先行で断定的に提示してはならない。最終的な着地点を意識しながらも、患者がそれぞれの治療法のリスクを理解し、自分にとって最善と思われる治療方針を決定する過程を、ともに連る姿勢を心がけるべきだ。

4

問1 メンバーが、トップははるかに地位の高い人物という認識を持ち、意見を具申することをためらって重要な情報が伝わらない点。また、否定的な発言が敬遠され、メンバーが自らの評価を気にして保身に走っている点。

問2 まず、衛星写真の許可をとり、問題が発見できれば上司のキャリアにとってもメリットがあることを伝える。また、直属の上司以外に自分の思いを共有してくれそうな人物を探し、一人で声をあげるのではなく、別部署からも声があがるようにする。そして、定例会議で唐突に発言しようとするのではなく、それまでに衛星写真を含む情報が揃っている状況をつくり、その上で自らの意見を発言し、会議全体の合意を得る努力をする。


5

問1 まず、病理診断の分野でAIによる分析が使用される可能性がある。また、検査画像などからどの
術式を取るとよいか、その優先順位を割り出すなどして、医師の判断を補助する役割も期待される。さらに、受付において簡単な診察をAIが行い、あらかじめ医師に可能性を提示して診察時間の効率化を図ることや、カメラ映像などで行動観察を行い、認知症などの目には見えない疾病のリスクを予測することなども考えられる。
問2 これまで医師は、診断と治療方針の提案を行い、その効果と共にリスクの説明をし、治療・手術を行ってきた。今後はたとえば診断や手術などの、人間以上に精度が高まる分野においては、機械化が図られる可能性がある。しかし、患者の状況を聴き取り、共感しながら意思決定のプロセスに伴走するような診察や治療方針の決定などの場面では、AIの補助を使いながらも、医師の役割が重要になると考えられる。


6 大学6年間の学びを終え、そこから医師国家試験を経て医師として人生を送る期間は、これまでの人生の何倍にも及ぶ。たとえば80代でなお、現役の医師として活躍している人を考えたとき、その人が大学を卒業したのは約50年前である。およそ半世紀前の社会と今とを比較すると、まず、社会は豊かになり、人びとの長寿化が進展し、疾病構造も急性疾患中心から慢性疾患中心へと変化した。また、かつては不治の病であったがんも、治療技術の進歩によって克服できる可能性が高まった。加えてゲノムレベルで人体の構造が解明され、新たな治療法の確立もなされていった。このような医療を取り巻く社会全体の変化を鑑みれば、卒業後の自己学修が重要になることはいうまでもない。
私は臨床医になることを志しているが、大学卒業後も論文の購読や学会への出席を続けていきたいと考えている。患者に常に最新の学問的知見を持って接するためには、常に情報を得られる体制にしておくことは不可欠である。また、大学の同期や先輩・後輩、職場の同僚などと症例を定期的に検討したり、議論したりする場を設けたい。定期開催にすることで、学修が習慣化し、医師同士の連携・協力も強化されていくだろう。さらに、地域の医師会にも積極的に関与し、市民向けの講演会などで情報を提供したり、政策検討に協力したりして、社会の一員として人びとの健康促進に協力したいと考えている。

スケジュール

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所在地・アクセス

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「岐阜大学・病院線」で約30分、
「岐阜大学」下車

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