厳しい現実から目を背けたくなる気持ちはわかります。でも今日は、皆さんがこれから大人になる社会の現実について、正直に向き合ってみましょう。私(五十嵐)が教育現場に立って30年、多くの若者と接してきました。その中で感じるのは、皆さんが漠然とした不安を抱えているということです。「将来、本当に大丈夫なのだろうか」と。その不安は、決して杞憂ではありません。
日本が直面している「静かな危機」の深刻さ
2026年現在、日本の社会保障制度は「静かな危機」の真っ只中にあります。「静かな」と言うのは、多くの人がまだその深刻さに気づいていないからです。しかし、これは皆さんの将来に直接関わる、極めて重要な問題です。
少子高齢化の波がもたらす現実
少子高齢化の波は、私たちが想像する以上に速く進んでいます。皆さんが40代、50代になる頃、つまり20年後、30年後には、働く世代1.3人で高齢者1人を支える計算になると言われています。現在の比率と比較しても、その負担はさらに重くなる一方です。これは、単に数字上の問題ではありません。皆さんが納める税金や社会保険料が、より少ない現役世代に集中し、その分、手取り収入が目減りしていくことを意味します。
例えば、私が若い頃は、家族構成や働き方にもよりますが、手取りとして残る割合が今よりもずっと高かったと感じています。しかし、皆さんの世代は、給与明細を見るたびに、その多くが社会のために消えていく現実を目の当たりにすることになるかもしれません。
増え続ける税金と社会保険料
- 消費税の段階的引き上げ: 現在10%の消費税ですが、社会保障費の財源確保のため、将来的にはさらに引き上げられる可能性が高いと専門家は指摘しています。ヨーロッパの一部の国では20%を超える消費税が課されている現実を考えると、日本も例外ではありません。日常の買い物から大きな買い物まで、皆さんの生活費に直接的な影響を及ぼします。
- 社会保険料の負担増: 年金、健康保険、介護保険など、社会保険料の負担も増加の一途をたどっています。これは、少子高齢化によって支える側が減り、支えられる側が増える構造的な問題から避けられないことです。給与が上がっても、社会保険料の増加分で相殺され、実質的な手取りはほとんど増えない、といった状況も珍しくなくなるでしょう。
- 物価上昇と給与の上昇のミスマッチ: この数年で、食品やエネルギー価格の高騰を肌で感じているはずです。世界的なインフレの波は日本にも押し寄せ、皆さんの購買力は徐々に低下しています。一方で、日本の賃金上昇は他先進国に比べて緩やかであり、物価上昇に追いついていないのが現状です。このミスマッチが続けば、皆さんの生活はより一層厳しさを増すことになります。
これらが、皆さんが大人になって直面する現実の一端です。決して楽観視できる状況ではありません。
年金制度は本当に大丈夫なのか? ―「100年安心」の真実
「年金なんてどうせもらえない」―そんな声を、高校生や浪人生の皆さんからもよく耳にします。しかし、それは感情論だけでなく、ある程度現実を捉えている側面もあります。確かに、今の制度のまま20年後、30年後を迎えれば、年金だけで「豊かな老後」を送るのは極めて困難になるでしょう。
政府は「100年安心」と言いますが、これはあくまで「制度が破綻しない」という意味であって、「十分な額がもらえる」という意味ではないことを理解しておく必要があります。具体的には、以下の現実が避けられないとされています。
- 支給開始年齢の引き上げ: 現在は原則65歳ですが、将来的には70歳、75歳と段階的に引き上げられる可能性が濃厚です。つまり、より長く働くことが求められる社会になるということです。
- 支給額の実質的な目減り: 物価上昇を考慮すると、年金の額面が維持されても、実質的な購買力は低下していく可能性があります。また、マクロ経済スライドなどの調整メカニズムにより、物価や賃金の上昇よりも年金支給額の伸びが抑えられる仕組みが導入されています。
- 世代間格差の拡大: 今の高齢世代は、現役世代の負担で支えられていますが、皆さんの世代が高齢者になった時、その負担を支える現役世代はさらに少なくなります。
年金制度は、皆さんの老後の生活設計において、もはや「頼りになる唯一の柱」ではなく、「複数の柱の一つ」と位置づけるべきものになっているのです。
絶望を希望に変える「主体性」という思想
では、私たちはこの厳しい現実を前に、ただ絶望するしかないのでしょうか。私は断じてそうは思いません。むしろ、この現実を直視することこそが、皆さんの人生を豊かにするための第一歩になると信じています。
「与えられる側」から「与える側」への意識転換
「頑張っても報われない社会」「閉塞感のある社会」という嘆きは、実は「誰かが何とかしてくれるだろう」という依存的な思考から生まれることが多いと私は感じています。しかし、これからの時代は、「誰かが与えてくれる」という幻想を捨て、「自分自身が価値を創造し、与える側になる」という意識への転換が不可欠です。
私が30年間見てきた、困難な時代においても力強く成功を収めてきた人たちに共通するのは、まさにこの「与える側」という意識です。彼らは、社会保障や会社からの安定した給与に頼るだけでなく、自分自身のスキルや知識、経験を磨き、それらを社会に提供することで、新たな価値を生み出しています。例えば、
- 起業家精神: 既存の課題を解決するサービスや商品を開発し、社会に貢献する。
- 専門スキルの深化: 誰もが代替できないような専門性を身につけ、そのスキルで社会に価値を提供する。
- コミュニティの形成: 共通の志を持つ人々と協力し、新しいムーブメントや文化を創造する。
このような姿勢こそが、不確実な未来を生き抜くための最も強力な武器となります。社会保障に依存するのではなく、自分自身が価値を創造する人間になる。これこそが、絶望を希望に変える第一歩なのです。
自らの人生をデザインする力を養う
皆さんは、まだ若い。だからこそ、今から自分の人生をどのようにデザインしていくか、真剣に考える時間があります。受験勉強もその一環です。ただ目の前の大学に合格するだけでなく、その先の人生で何を成し遂げたいのか、どんな価値を提供できる人間になりたいのか、という視点を持って勉強に取り組んでほしいのです。
合格はゴールではありません。それは、皆さんが目指す「与える側」の人間になるための、重要な通過点であり、土台を築く期間なのです。スカイ予備校では、単なる知識の詰め込みだけでなく、皆さんが自らの人生を主体的にデザインするための思考力、問題解決能力、そして何よりも「自分はできる」という自信を育むことを重視しています。
今から始める「個人の経済防衛策」と「人間力」の育成
では、具体的にどうすれば、この厳しい時代を生き抜き、希望を見出すことができるのでしょうか。私は二つの柱があると考えています。一つは「個人の経済防衛策」としての具体的な行動、もう一つは「人間力」としての無形資産の育成です。
柱1: 個人の経済防衛策 ― 経済的自立を目指せ
経済的自立は、精神的自立にも繋がります。今からでも始められることはたくさんあります。
- 経済リテラシーを身につける: 株式、債券、投資信託、不動産など、基本的な金融商品の仕組みを学ぶことから始めましょう。高校の政治経済の授業でも触れられますが、もっと深く、実践的に学ぶ姿勢が重要です。新聞の経済面を読んだり、経済系のYouTubeチャンネルを見たりするだけでも、学びは始まります。
- 少額からでも資産運用を始める: 大金がなくても、月々数千円からでも投資は始められます。NISA制度(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益が非課税になる非常に優遇された制度です。将来に向けて、複利の効果を最大限に活用するためにも、若いうちから始めることが圧倒的に有利です。「時間」こそが、皆さんが持つ最大の武器です。
- 複数の収入源を持てるスキルを身につける: 終身雇用制度が崩壊しつつある現代において、会社に依存する「一本足打法」はリスクが高いと言えます。プログラミング、デザイン、動画編集、ライティング、語学など、インターネットを通じて個人で稼げるスキルを身につけることは、将来の選択肢を大きく広げます。受験勉強と並行して、少しずつでも学び始めることは可能です。
- 支出を見直し、健全な家計管理を学ぶ: 無駄な支出を抑え、貯蓄や投資に回す習慣を身につけることは、経済的自立の基本です。スマートフォンアプリなどを活用して、自分の収支を把握することから始めてみましょう。
これらは全て、大学に入学してからでも遅くはありませんが、今から意識することで、皆さんの未来は確実に変わります。受験勉強も、単に点数を取るためだけでなく、これらのスキルを身につけるための基礎体力養成期間だと捉えてみてください。
柱2: 「人間力」の育成 ― 信頼という無形資産を築く
お金だけでは解決できない問題もたくさんあります。不確実な時代を生き抜く上で、最も大切な資産の一つが「人間関係」です。
- 信頼できる仲間を見つける: 大学受験、そしてその先の人生において、一人で抱え込まず、苦しい時に支え合える仲間はかけがえのない存在です。スカイ予備校の仲間もそうですし、高校の友人も大切にしてください。
- メンター(指導者・助言者)を見つける: 自分より経験のある人、尊敬できる人との出会いは、皆さんの視野を広げ、成長を加速させます。受験指導に限らず、人生の相談ができるような大人と繋がる努力をしてみてください。私も、生徒の皆さんにとって、単なる校長ではなく、一人のメンターでありたいと願っています。
- 自分が「助けたい」と思える人たちと繋がる: 一方的に助けを求めるだけでなく、自分が誰かの力になりたい、貢献したいと思える関係性を築くことも重要です。ギブ&テイクではなく、ギブ&ギブの精神が、最終的には自分自身の成長と幸福に繋がります。
- コミュニケーション能力を高める: どんなに優れたスキルを持っていても、それを他者に伝え、協力し合う力がなければ、真の価値を生み出すことはできません。議論する力、傾聴する力、プレゼンテーションする力。これらは受験勉強を通じて養われる部分もありますが、意識的に磨き続けることが大切です。
こうした「人間関係」という資産こそが、変動の激しい時代を生き抜く最大の武器になります。お金は失うことがあっても、信頼は一度築けば、そう簡単には失われません。そして、信頼は新たなチャンスを生み出す源泉となるのです。
社会を変えるのは君たちだ ― 厳しい現実を受け止め、未来を創造せよ
最後に、皆さんに伝えたいことがあります。「社会が変わるのを待つ」のか、「自分が変わって社会を変える」のか。この選択が、皆さんの人生、そして日本の未来を大きく左右します。
私は後者を選んでほしいと心から願っています。なぜなら、今の困難な状況を作り出したのは、私たち大人の世代の責任でもあります。その責任を痛感しながらも、私は解決の鍵を握るのは、他でもない若い皆さんの力だと信じています。
古い常識や既存の枠組みにとらわれない若い世代には、新しい技術、新しい働き方、新しい社会の仕組みを創造していく無限の可能性があります。皆さんがスマートフォンネイティブであるように、私たちが想像もできないような、画期的なサービスやビジネス、あるいは社会のあり方を創り出す力が、皆さんにはあります。
「でも、自分にはそんな力があるのだろうか…」そう思うかもしれません。しかし、その力は、皆さんの「未来への不安」を直視し、「何とかしたい」という強い意志を持ったときに、必ず芽生えます。そして、その力を育むのが、スカイ予備校での「考え抜く」学習体験であり、志望校合格という目標への挑戦なのです。
確かに現実は厳しい。増税、物価高、社会保障制度の不安。これらは目を背けたくなるような現実かもしれません。しかし、その現実を受け入れた上で、自分なりの答えを見つけ、未来を切り拓いていく。それこそが、真の大人への第一歩であり、皆さんの人生を豊かにする道なのです。
私たちは、皆さんがその道を力強く歩めるよう、全力でサポートすることをお約束します。受験勉強は、単なる知識の習得ではありません。それは、未来を創造するための「思考力」「実践力」「人間力」を養う最高の訓練の場です。この大切な期間を、ぜひ実りあるものにしてください。皆さんの挑戦を、五十嵐校長は心から応援しています。
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