「進路は私立文系大学だから、数学は捨てる」 そんな風に考える受験学生は多いでしょう。 しかし、私立文系志望者は本当に数学を捨てるべきなのでしょうか?実は、私立文系でも数学が必要な受験がかなり増えてきているんです。
この記事では私立文系大学で数学が必須となっている大学の紹介とともに、数学をやる意味やメリットについて解説していきます。
この記事を読むことで、数学をやるメリットがわからなくなるような悩みは解消されるでしょう。その結果、数学を早い段階で捨ててしまって受験時に後悔することがなくなります。 数学を捨てようか迷っている人は、ぜひ読んでみてください。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
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私立文系受験で数学はいらないと感じる理由

そもそも、なぜ私立文系大学が希望進路だと数学はいらないと感じるのでしょうか? それは、受験科目に数学がない、と思い込んでいるからです。
もちろん大学によって受験科目は異なりますが、私立文系大学は外国語(英語)、国語、地歴公民の3科目だけで受験できる大学が多いのは事実です。自分の目指す大学の受験科目に数学がなければ、数学がいらないと考えるのも無理はありません。しかし、その考えには落とし穴があります。
本当に私立文系受験で数学はいらない?

では、本当に私立文系大学を受験するならば数学はいらないのでしょうか? 実は、近年、数学を必須科目にしたり、受験科目の選択肢に入ってきたりする大学が増えています。そして、数学を勉強しておくことには、受験を有利に進めるための多くのメリットがあるのです。 ここからは、数学を捨てない方が良い理由を説明していきます。数学が必須になっている大学一覧
【2025年度入試】文系学部で数学が必須となる主要大学・学部一覧(例)
ご注意: ※「必須」とは、その科目を必ず受験しなければ出願できない、あるいは合格できない方式を指します。 ※同じ大学・学部でも、複数の入試方式があり、方式によって数学が「必須」の場合と「選択」の場合があります。 ※下記は代表例です。詳細や最新情報は、必ず各大学が発表する2025年度の入試要項をご確認ください。
大学名 | 学部・学科 | 入試方式(例) | 備考 |
---|---|---|---|
早稲田大学 | 政治経済学部 | 一般選抜 | 共通テストで「数学I・A」が必須。 |
商学部 | 一般選抜(地歴・公民型) | 地歴・公民、数学、情報から1科目選択のため、数学が必須ではないが、数学で受験可能。 | |
人間科学部 | 一般選抜(文系方式) | 数学を選択可能。 | |
慶應義塾大学 | 経済学部 | 一般選抜(A方式) | 「数学」と「外国語」「小論文」が必須。 |
商学部 | 一般選抜(A方式) | 「数学」と「外国語」「地歴」が必須。 | |
上智大学 | 経済学部(経済学科・経営学科) | TEAPスコア利用型 | 英語(TEAP等)のスコアに加え、「国語」と「数学」が必須。 |
経済学部(経済学科・経営学科) | 共通テスト併用型 | 共通テストで「数学(数I・A、数II・B,C)」と「外国語」が必須。加えて大学独自の「国語または数学」を受験。 | |
青山学院大学 | 経済学部 | 個別学部日程(A方式) | 「外国語」と「数学」が必須。 |
総合文化政策学部 | 個別学部日程(B方式) | 「外国語」と「数学」が必須。 | |
経営学部 | 個別学部日程(B方式) | 「外国語」と「数学」が必須。 | |
立教大学 | 経済学部 | 一般入試(個別学部日程) | 多くの学科で「国語」「外国語」「選択科目(数学or地歴)」となっており選択制だが、会計ファイナンス学科では数学が必須。 |
中央大学 | 経済学部 | 一般方式(3教科型) | 経済学科、国際経済学科などで、地歴・公民の代わりに数学を選択可能。 |
国際経営学部 | 一般方式(3教科型) | 英語外部検定試験のスコアに加え、「国語」と「数学または地歴・公民」の選択。 | |
一橋大学 | ソーシャル・データサイエンス学部 | 前期日程 | 国立大学ですが、文理融合の象徴的な学部。共通テスト・二次試験ともに数学が必須。 |
解説と近年の傾向
ご提示いただいた2022年のリストには、「数学が選択できる大学」も多く含まれていたと考えられます。現在も、GMARCHや関関同立をはじめとするほとんどの私立大学文系学部で、地歴・公民の代わりに数学を選択できる入試方式が用意されています。
2025年度入試の傾向としては、以下の点が挙げられます。
- 経済・経営・商学系での数学重視: 大学入学後に学ぶ統計学やデータ分析、経済モデルの理解に数学的素養が不可欠であるため、これらの学部では数学を必須または高く評価する傾向が続いています。
- 文理融合学部の新設: AIやデータサイエンスへの社会的な需要の高まりを受け、文系の学生にもデータ分析能力を求める新しい学部が増えています。これらの学部では、数学が必須科目となることが多くなっています。
- 入試方式の多様化: 同じ学部でも、共通テスト利用方式、個別学部日程、全学部日程など、方式によって必須科目が大きく異なります。数学が得意な受験生にとっては、倍率が比較的低くなる傾向のある「数学必須方式」は狙い目となる一方、苦手な場合はその方式を避ける戦略が必要になります。
結論として、2025年度の入試においても、私立文系志望者にとって数学の重要性は依然として高く、むしろ高まっていると言えます。「私立文系だから数学は不要」と安易に決めつけず、早い段階から各大学の入試情報を収集し、自身の進路や得意科目に合わせて最適な受験戦略を立てることが合格の鍵となります。
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私立文系大学でも数学で受験ができることが分かりますね!ではなぜ数学を選択できる大学が増えてきているのでしょうか?
入試科目に含まれるようになった大学もある?
数学の必須科目化で話題になったのが、早稲田大学です。2021年の大学受験で早稲田大学の政治経済学部(政経)は新しい入試制度で数学I・Aを必須としました。 早稲田大学で数学が必須化された理由は、入学後の授業で経済学などを学ぶ上で、数学的な素養が不可欠だからです。
これは、高校の数学をしっかり学んで入学してほしいという大学からのメッセージといえるでしょう。特に経済学部や商学部では、入学後に高度な数学知識が求められる傾向にあります。
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数学の必須科目化は近年進んでおり、今後も数学を利用して受験する文系大学は増えていくでしょう。
数学は論理的に考えることが必要になってくる科目です。数学ができることで、働く上で将来役に立つことがたくさんあります。
数学を捨てることで不利になるケースも
数学が苦手な人は、高2など早い段階で数学を捨てたくなってしまいます。しかし、早い段階で数学の勉強をやめてしまうと、受験で不利になる場合があります。 一般的に数学を利用した受験方式は、利用しないものより受験者が少なく、倍率が低くなりやすい傾向があります。
そのため、数学を得意科目にできれば、他の受験生に対してかなり有利に立てます。地歴公民のような暗記中心の科目とは異なり、数学は一度解法を理解すれば得点が安定しやすいというメリットもあります。大学によっては得点調整が行われる際に有利になることも。 数学を捨ててしまうと、こうした受かりやすい選択肢を受けられないことになってしまいます。また、途中で国立大学に志望校を変更したくなっても、数学を勉強していないと、レベル的にも科目の範囲的にも対応が難しくなります。
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はっきりと志望校が決まる前までは選べる進路は広くしておいた方が良いでしょう。自分で進路を狭くしないようにしましょう。特に経済学部に進学希望の人は、大学入学後に数学の知識が必要となることがあります。
数学ができないから文系に進学したのに、大学の授業で数学で苦しんだ!なんてことにならないように!
文系で数学をやる意味やメリット

では、文系で数学をやるメリットをまとめます。
- 国公立大学を目指すことができる
- 倍率の低い有利な受験方式を選べる
- 進路の選択肢を増やせる(経済学部や商学部など)
- 大学に入ってからの授業に役立つ(論理的に考える力がつく)
- 地歴公民が苦手でも、数学を得意にできればカバーできる
- 英語や国語の成績が伸び悩んでいる場合、数学で高得点を狙える
高校1年生で選んだ文系という道が、本当にやりたい職業に合っているかはまだわからないはずです。進路を調べて興味がわいた学部に進めるように、選択肢は広く持っておきましょう。 また、今、受験生の皆さんには、「入学後のことなんて考える余裕がない」と思う人もいるでしょう。しかし、数学を勉強するべき最大の理由は入学後に役に立つからです。
文系で数学を捨てた人の後悔の声

「数学をもっと始めから勉強しておけばよかった」 大学生や社会人からよく聞く後悔の声です。文系分野でよく使われる数学として統計学があります。統計学は、応用数学を用いた学問で、様々な場面でデータを分析することに用いられます。
例えば、大学生のデータをまとめるような論文や、会社での売り上げの分析などです。 数学が苦手でずっと避けていると、統計学のようにどうしても数学が必要になったときに困ってしまいます。なぜなら、高校で数学を捨てると中学レベルの基礎から勉強しなおすことになり、とても時間がかかってしまうためです。
まとめ

受験科目に数学がない場合でも、早い段階から数学を完全に捨てるのはやめましょう。 外国語(英語)・国語・数学で受験できる大学が増えています。主要3教科の勉強を続けることで、より難易度の高い大学や国立大学を目指すことができるかもしれません。そして将来、数学の勉強は必ず役に立つ日が来ます。
大人になっても役に立つ勉強法の習得は重要です。高校生の吸収力の高いうちにぜひ苦手と思う勉強にも取り組んでみてください。 その時に注意してほしいのが、苦手な教科は自分で学習計画を立ててもうまくいかない可能性が高いということ。どちらの参考書を使えばいいか、どの範囲から始めればいいかわからない、といった悩みも出てくるでしょう。
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