実践的な小論文テンプレート集──型を覚えて即座に書ける技術
小論文を書く際、多くの人が「何をどう書けばいいのか分からない」と悩みます。しかし、実は小論文には効果的なテンプレート(型)が存在します。この型を習得すれば、初心者でも短時間で説得力のある文章を書けるようになります。
本記事では、様々な出題パターンに対応できる実践的なテンプレートを紹介します。型を暗記し、状況に応じて使い分けることで、試験本番でも自信を持って書き進められるようになるでしょう。
なぜ小論文にテンプレートが必要なのか
小論文の試験では、限られた時間内に論理的な文章を完成させなければなりません。その際、ゼロから構成を考えていては時間が足りません。テンプレートを使えば、構成に迷う時間を削減し、内容の充実に集中できます。
テンプレートは決して「思考停止」ではありません。むしろ、論理展開の基本的な流れを体に染み込ませることで、本質的な内容に思考を集中させられるのです。優れた作家も基本的な文章構造を踏まえた上で独自性を発揮しています。
また、テンプレートを使うことで、採点者にとって読みやすい文章になります。明確な構成は理解しやすさに直結し、結果として高評価につながります。
基本中の基本──三段構成テンプレート
最もシンプルで応用範囲が広いのが三段構成です。序論・本論・結論の3部構成で、小論文の王道パターンと言えます。
テンプレート1:基本三段構成(800字)
【序論:100-150字】
問題提起または設問の確認
→自分の立場・結論を簡潔に述べる
【本論:500-600字】
第一の理由+具体例
第二の理由+具体例
(必要に応じて反対意見への言及)
【結論:100-150字】
主張の再確認
→今後の展望や提言
具体的な書き出し例:
「近年、○○が社会問題となっている。この問題について、私は△△すべきだと考える。その理由は二つある。」
このように、序論で明確に立場を示すことで、読み手は論文の方向性を即座に理解できます。本論では「第一に」「第二に」と明示的に理由を分けることで、論理構造が一目瞭然になります。
結論では新しい内容を加えず、序論で述べた主張を別の言い回しで強調します。最後に「したがって、今後は××に取り組むべきである」と未来志向の提言を加えると、建設的な印象を与えられます。
意見対立型テンプレート──賛成・反対を明示する
「賛成か反対か」「是か非か」を問う問題では、自分の立場を冒頭で明確にすることが最重要です。曖昧な態度は評価を下げます。
テンプレート2:賛成・反対型(1000字)
【序論:150字】
テーマの背景説明
→「私は○○に賛成(反対)である」と明示
【本論前半:300字】
賛成(反対)する第一の理由
→具体例・データで裏付け
【本論中盤:300字】
賛成(反対)する第二の理由
→具体例・データで裏付け
【本論後半:200字】
反対意見への配慮と再反論
「確かに△△という意見もあるが、しかし××」
【結論:150字】
主張の再強調と提言
実例フレーズ:
「確かに、○○という観点からは反対意見にも一理ある。しかし、長期的視点で考えれば、やはり△△すべきだと言える。なぜなら××だからだ。」
反対意見に触れることで、一方的な主張ではなく、多角的に考察していることが伝わります。ただし、反対意見に触れた後は必ず自分の立場に戻って締めくくることが重要です。
問題解決型テンプレート──課題と解決策を提示する
「どのような対策が必要か」「どう解決すべきか」と問われる場合は、問題分析→解決策提示の流れが効果的です。
テンプレート3:問題解決型(1200字)
【序論:200字】
現状の問題点を明示
→問題の深刻さを強調
【本論第一部:300字】
問題の原因分析
「この問題が生じた背景には○○がある」
【本論第二部:400字】
解決策の提案(複数)
第一の対策:具体的方法
第二の対策:具体的方法
【本論第三部:200字】
予想される効果と課題
「この対策により○○が期待できる。ただし△△には注意が必要だ」
【結論:100字】
総括と行動の呼びかけ
効果的な表現:
「この問題を解決するためには、三つのアプローチが考えられる。第一に○○、第二に△△、第三に××である。これらを段階的に実施することで、□□という効果が期待できる。」
解決策は具体的かつ実現可能であることが重要です。「教育を充実させる」といった抽象的な提案ではなく、「学校で○○プログラムを週1回実施する」など、具体的な行動レベルまで落とし込みましょう。
比較検討型テンプレート──AとBを比較して論じる
「AとBのどちらが優れているか」「メリット・デメリットを論じよ」という問題では、公平な比較が求められます。
テンプレート4:比較検討型(1000字)
【序論:150字】
比較対象の提示
→自分の結論を示唆
【本論第一部:300字】
Aのメリット・特徴
→具体例
【本論第二部:300字】
Bのメリット・特徴
→具体例
【本論第三部:200字】
両者の比較と自分の立場
「以上を踏まえると、○○の観点からAが優れていると言える」
【結論:150字】
最終判断と理由の再確認
比較の視点例:
- 効率性の観点から
- 経済的負担の観点から
- 長期的効果の観点から
- 社会的公平性の観点から
複数の視点から比較することで、思考の深さが伝わります。一つの基準だけで判断せず、多角的に検討する姿勢を示しましょう。
資料読み取り型テンプレート──グラフ・データを分析する
グラフや統計資料が提示される場合は、データの正確な読み取りとその意味の解釈が必要です。
テンプレート5:資料分析型(1000字)
【序論:100字】
資料の概要説明
「この資料は○○について示したものである」
【本論第一部:300字】
資料から読み取れる事実
「資料によれば、○○が△△%増加している」
「注目すべきは××の変化である」
【本論第二部:400字】
データの背景・原因分析
「この変化が生じた理由として○○が考えられる」
【本論第三部:200字】
今後の予測または対策
「このトレンドが続けば△△が予想される」
【結論:100字】
全体の総括
重要ポイント:
- 数値は正確に引用する
- 自分の勝手な解釈を加えない
- 「このデータから○○が読み取れる」と客観的に述べる
- データと自分の意見を明確に区別する
資料型では、事実の読み取りと意見の区別が評価の鍵です。「グラフによれば○○である(事実)。これは△△を意味すると考えられる(解釈)」というように、明確に分けて書きましょう。
要約+意見型テンプレート──課題文を要約してから論じる
課題文が与えられ、「要約した上で自分の意見を述べよ」と指示される場合のテンプレートです。
テンプレート6:要約+意見型(1200字の場合)
【要約部分:400字】
筆者の主張を客観的にまとめる
「筆者は○○について、△△と主張している」
「その根拠として××を挙げている」
【意見部分・序論:100字】
要約から自分の意見への移行
「この主張に対して、私は賛成(反対/部分的に同意)である」
【意見部分・本論:500字】
自分の立場の理由と具体例
筆者の意見と自分の経験や知識を関連付ける
【結論:200字】
全体のまとめと提言
要約のコツ:
- 筆者の主張を自分の言葉で言い換える
- 重要なキーワードは原文のまま使う
- 「筆者は~と述べている」という客観的表現を使う
- 自分の意見を混ぜない
要約部分では客観性が命です。「筆者の意見は間違っている」といった評価は要約には含めず、意見部分で展開します。
文字数別テンプレートの使い分け
試験によって指定文字数は様々です。文字数に応じた配分の目安を押さえましょう。
600字の場合
- 序論:100字
- 本論:400字(理由2つ×200字)
- 結論:100字
コンパクトに要点だけを書く。具体例は1つずつに絞る。
800字の場合
- 序論:150字
- 本論:550字(理由2-3つ)
- 結論:100字
理由を2つ、それぞれに具体例を添えるのが標準。
1200字の場合
- 序論:200字
- 本論:850字(理由3つまたは詳細な分析)
- 結論:150字
反対意見への言及や、複数の視点からの検討が可能。
2000字以上の場合
- 序論:300字
- 本論:1500字(詳細な論証、複数の具体例)
- 結論:200字
問題を多角的に分析し、複数の解決策を提示できる。
文字数が多いほど、論理の階層を深くすることが求められます。単に同じことを繰り返すのではなく、分析の深度を増していきましょう。
テンプレート活用の3つの注意点
テンプレートは便利ですが、使い方を誤ると逆効果です。
注意点1:丸暗記で終わらない
テンプレートはあくまで論理展開の枠組みです。中身は問題に応じて柔軟に変える必要があります。型だけ覚えて内容が空疎では意味がありません。
注意点2:全ての問題に同じ型を使わない
問題の種類(意見型、問題解決型、比較型など)によって最適なテンプレートは異なります。問題文をよく読んで、適切な型を選択しましょう。
注意点3:個性を消さない
テンプレートに縛られすぎて、あなた独自の視点や経験が消えてしまっては本末転倒です。型は型として使いつつ、あなたならではの具体例や考察を盛り込むことが高評価につながります。
テンプレートを自分のものにする練習法
テンプレートを本当に使いこなすには、繰り返し練習が必要です。
ステップ1:型を書き出して暗記
まず各テンプレートを紙に書き出し、構成を頭に入れます。「序論で何を書くか」「本論の展開パターン」を体に染み込ませましょう。
ステップ2:過去問で実践
過去問や練習問題を使って、実際にテンプレートに当てはめて書いてみます。最初は時間を気にせず、丁寧に構成を作ることに集中します。
ステップ3:時間制限を設ける
本番を想定し、制限時間内に書き上げる練習をします。構成5分、執筆40分、見直し5分など、時間配分も意識しましょう。
ステップ4:添削を受ける
可能であれば、書いた小論文を先生や専門家に添削してもらいます。客観的なフィードバックにより、自分の弱点が明確になります。
ステップ5:改善して再挑戦
添削で指摘された点を意識して、同じテーマで書き直します。このサイクルを繰り返すことで、確実に上達していきます。
まとめ──型を味方につけて自信を持って書こう
小論文のテンプレートは、あなたの思考を制限するものではなく、論理的な表現を助ける強力なツールです。基本的な型を習得することで、試験本番での不安が大幅に軽減され、内容の充実に集中できるようになります。
本記事で紹介した各テンプレートは、出題パターンに応じて使い分けることが重要です。まずは基本三段構成を完全にマスターし、その後、問題のタイプに応じた専門的なテンプレートに習熟していきましょう。
テンプレートは「考えないための道具」ではなく、「効率的に考えるための枠組み」です。型を身につけた上で、あなた自身の経験や知識、独自の視点を加えることで、説得力のある優れた小論文が完成します。
練習を重ね、型を自分のものにすることで、どんなテーマが出題されても落ち着いて対応できる力が身につきます。テンプレートを味方につけて、小論文で確実に合格を勝ち取ってください。


