大学入試での面接試験。学校推薦型選抜や総合型選抜のほか、最近では一般入試でも課される機会が増えています。
ひとくちに面接といっても、大学ごとに形式はさまざま。
面接試験がどのように行われるのか、またどんな質問をされるのかを事前に知っておくことは、面接対策でとても大切なことです。
今回は面接の形式や流れ、よく聞かれる質問とその解答例をご紹介します。
これから対策を始める人はもちろん、面接のことを改めて確認したい人も必見です!
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
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大学入試面接について
大学入試での面接には、いろいろな形式があります。
以下で代表的な形式をご紹介しますので、受験する大学がどのパターンかを確認してくださいね。
複数の学校を受験する人は、早めにシミュレーションしておくと安心です。
形式
1.個人面接
受験生1人に対して、面接官が1〜3人程度で行われる最も一般的な形式で、多くの学校で実施されています。
面接時間は5〜20分程度。
学校によっては、集団面接やグループディスカッションに付け加える形で行われることもあるようです。
事前に提出した書類から質問されることはもちろん、ひとつの質問に対してさらに深く聞かれたり、異なる視点からの質問をされることもあります。
事前に想定していない質問をされる場面もあるでしょう。まずは心を落ち着けて、焦らずに自分の言葉で伝えることを心がけてくださいね。
2.集団面接
受験生2〜6人に対して、複数名の面接官で行われます。
面接時間は10〜30分程度で、一人当たりの時間は個人面接より短くなることも。
集団面接では自分のアピールはもちろんですが、他の受験生の話を聞く力も見られます。
自分の受け答えが終わったからといって、気を抜かないように気をつけましょう。
質問内容は全員同じこともあれば、一人ひとり異なる内容を問われることもあります。
他の受験生と自分が答えたい内容が同じになることもあるでしょう。
とても焦ってしまう場面ですが、意見を付け加えたり表現を変えたりして自分の言葉で伝えられると良いですね。
3.討論(グループディスカッション)
受験生5〜10人がグループになり、与えられたテーマで議論をする形式です。
この形式では積極性や協調性、理解力などがチェックされます。
グループディスカッションで重要なのは、他の人の話をよく聞いた上で自分の意見を論理的に述べること。
自分の意見をぐいぐい押し通したり、感情的に論破するのは絶対にNGです。
また、グループの中で進行役やまとめ役を決めることもあります。
受験という大事な場面ですから、何かの役になって目立ちたいと思う気持ちはとてもよくわかります。
でも時には聞き役に回ることも必要。皆さんの相槌で他の受験生も話しやすくなり、議論が円滑に進むかもしれません。
話し役と聞き役を上手に使い分けられると良いですね。
周りの人への思いやりを忘れずにね!
ディスカッションのテーマは学部や学科に関する内容が多く、事前に発表されている場合や当日に提示される場合など学校によってさまざまです。
前もって学部や学科に関連することを調べたり、時事問題になりそうなニュースを意識して準備しておくと安心ですよ。
4.口頭試問
口頭試問では、各教科の基礎知識や時事問題などが問われます。
自分の考えを論理的に説明できるかどうかが大切ですが、頭では分かっていても、いざ他人に説明しようとすると意外と難しいもの。
まずは結論、主張を先に述べてしまいましょう。
その後に結論への根拠や理由などを説明すると説得力のある内容になりますので、ぜひ練習してみてくださいね。
大学によってはホワイトボードなどを使って説明することもあります。
志望する大学の傾向を調べておきましょう。
5.オンライン
感染症予防として、オンラインで面接を行う大学も増えています。
面接を自宅の部屋で行う機会もあるでしょう。
インターネットは安定して接続できるか、背景に余分なものは映り込んでいないか、カメラの位置や部屋の明るさは適切か、事前に確認しておくと安心です。
オンライン面接ではマイクやイヤホン、スピーカーを通しての会話になります。
早口にならないよう、対面で話す時よりはっきり話すことを心がけましょう。
目線はカメラに向けると良いですよ。
エラーやトラブルが起きても焦らずに対処できるように、事前に相手への連絡方法を確認しておくと安心です。
流れ
1.控室
ほとんどの面接では待ち時間を控室で過ごします。
控室では静かに着席して、自分の順番を待ちましょう。
周りは知らない人ばかりで落ち着かないと思いますが、歩き回ったりスマートフォンを見たりなどはNGです。
また、座る時に足を組まないように注意してください。
スマホは振動音が響いてしまうよ。
マナーモードより電源オフが安心!
2.入室時
名前を呼ばれたら大きな声で返事をし、面接室のドアを2〜3回ノックします。
中から「どうぞ」と返事をもらってから入室しましょう。
部屋に入ったら会釈をし、両手で丁寧にドアを閉めます。
ドアを閉める時は完全に後ろを向くのではなく、面接官に対して体を斜め気味にすると良いでしょう。
その後面接官の方へ体を向け、お辞儀をします。
体を起こした後、受験番号・学校名・名前(フルネーム)を名乗り、「よろしくお願いします」と挨拶しましょう。
この時点で第一印象が決まります。
明るくハキハキと自己紹介するのはもちろん、清潔感のある服装や髪型で臨むのもとても大切です。
事前にチェックしておくと安心ですね。
3.着席
面接官に「どうぞ」と勧められたら、「失礼します」と挨拶、一礼してから着席します。
椅子に座るときは深く腰掛けず、背中と背もたれの間に握りこぶし一つ分の隙間をあけるイメージで浅めに腰掛けましょう。
姿勢が良く見えて印象が良くなりますよ。
男子は膝と膝の間を握りこぶし1〜2つ分開けて、手は軽く握って両膝の上に置いて座ります。
女子は膝同士をくっつけて、脚をまっすぐ揃えて座りましょう。手は左手を上に揃えて、膝の上に置くと良いですよ。
4.面接中
面接中は、面接官の目を見て話しましょう。
とはいえ、これは苦手な人も多いはず。普段から相手の目を見て話すことを意識して練習しておいてほしいところですが、どうしても無理な人もいますよね。
その場合は、面接官の眉間〜鼻の辺りを見て話すと自然な目線になりますよ。
もし面接官が複数人いる場合は、それぞれを均等に見て話すと良い印象です。
背筋を伸ばし、表情は笑顔と真剣な顔を使い分けながら話せると良いですね。
無意識のうちに髪を触る癖がある人は注意!
普段から髪を触らないように意識しておこう。
5.退室時
面接が終了したら椅子の左側に立ちます。
その後「本日はありがとうございました」と挨拶し、一礼しましょう。
この時注意することは、挨拶と一礼を同時に行わないこと。
『話し終わってから頭を下げる』、必ず動作を分けてくださいね。
頭を上げた後に面接官の顔を見て目線を合わせられるとさらに良いでしょう。
その後ドアへ向かい、面接官の方へ向き直って「失礼します」と挨拶、一礼をして退室します。
入室時と同様、ドアの開閉は丁寧にしてくださいね。
退室後の振る舞いも見られているかも…
会場を出るまで気を抜かないようにね!
よく聞かれる大学面接の質問と回答例
面接で聞かれる質問は実にさまざま。
想定外の質問をされて驚いてしまうこともよくある話です。
以下ではよく聞かれる質問を4つ厳選してご紹介します。
よく聞かれる代表的な質問は、面接準備として受験生みんなが考えます。
他の受験生と差をつけたい人は、『自分の言葉で語れる』ように準備をしましょう。
よく、答える内容を紙に書き出して丸暗記する人がいます。
暗記した内容をペラペラと話すだけではまるでロボットのようで、面接官には何も伝わりません。
面接は暗記大会の会場じゃないよ。
自分の言葉で伝えるのがいちばん大事!
伝えたいことは丸暗記ではなく、いくつかキーワードとして決めておきます。
それを自分の語り言葉で繋げていきましょう。
話す準備ができたら動画に撮ったり友達や先生などに聞いてもらって、言葉の抑揚や身振り手振り、表情などもチェック。
そうすれば自然と気持ちを伝えることができますよ。
それでは、よく聞かれる質問をみていきましょう。
大学受験の志望動機
志望動機は必ず聞かれる質問と言っても過言ではありません。
面接官がこの質問をするのは、あなたが『なぜ』この大学を選んだのかを知るため。
■『なぜ』この大学なのか?
■『なぜ』この学部・学科なのか?
ここを明確に答えられるようにしましょう。
将来の夢や大学で学びたい内容、教授の名前など具体的な話を盛り込めると良いですね。
また、オープンキャンパスや説明会の時に感じた気持ちを伝えるのも良いでしょう。
また、面接官もあなたについてよく知りたいのでさらに深く質問します。
パンフレットやホームページの内容だけの知識、べつに他の大学でもいいや…という気持ちでは準備の薄さがすぐにバレてしまいます。
なぜこの大学を選んだのか。自己分析は丁寧に、時間をかけて行いましょう。
面接官はあなたに上手にペラペラと答えることではなく、どれだけの熱意を持っているのかを求めていますよ。
高校生活で頑張ったこと
皆さんがこの問いの答えで思い浮かべるのは何でしょうか。
部活動、行事や委員会、ボランティア…
何かに打ち込んだり、胸を張って頑張った!と言えることがある人はどんどんアピールしましょう。
でも、きっとほとんどの皆さんがそんなの何もないよ…と困っていると思います。
どんなことでも良いので、3年間を振り返ってみましょう。
例えば、苦手な英語の勉強を頑張った、人見知りを克服できるようにクラスの仲間に少しずつ声をかけた、一人暮らしができるように家事スキルをあげた…など、何でも良いですよ。
面接官がこの質問で知りたいのは2つ。
■物事への向き合い方
■経験・体験からの気づき
まずは『私が高校生活で頑張ったことは〇〇です』と、頑張った内容を簡潔に伝えます。
本題を最初に伝えると話しやすく、面接官も聞きやすくなりますよ。
次に具体的なエピソードを話しましょう。ここの順番を逆にするとダラダラした内容になりがちなので注意してくださいね。
エピソードの中には、『なぜそれを頑張ったのか』『その時自分がとった行動』を入れると良いですよ。
『自分がどうしたのか』を入れると、その体験からの気づきを伝えるための流れを上手に作れます。
最後に経験・体験からの気づきを話しますが、必ずしも成功体験である必要はありません。
失敗の経験でも、小さな経験でも大丈夫。
どんな経験でもそこから何を学んだか、どう成長したかが分かることが大切です。
やはりこの質問でも自己分析がどれだけできているかが重要ですね。
大学生活で叶えたいこと
この質問でのポイントは、『面接官にどれだけイメージさせられるか』。
自分の希望する大学生活はここの大学でないと叶えられない!ぐらい具体的に話すことが必要です。
例えば、『将来〇〇になりたいのでこの大学で△△の授業を受け、□□教授のゼミで学びたい』という内容。
具体的に授業や研究、教授の名前を挙げて話すのは有効です。
その時に気をつけてほしいのが、
■将来の夢と大学で学びたい内容が本当に一致しているのか
■自分が大学で夢に向かう姿を面接官がイメージできる内容になっているか
の2点。
具体的な話はパンフレットから引っ張ってきただけの薄い内容にならないよう、大学で何ができるのかを深く調べた上で組み立てましょう。
調べれば調べるほど、自分の中でもイメージが具体化されてくるはずです。
そうなれば話す内容もより具体的になってくるでしょう。
どの質問も自己分析や下調べが大事。
自分のことや大学のことが良くわかっていれば、何を聞かれても大丈夫!
聞きたいことや知りたいことを質問された時は?
面接の最後に、『何か聞きたいことはありますか?』『他に知りたいことはありませんか?』などと聞かれることがあります。
何もありません、と答えるよりも何か質問した方が印象は良いでしょう。
また、準備してきた面接内容以外の話ができるので、自分をさらに知ってもらうチャンスです。
面接官側も、あなたのコミュニケーション能力を見るためにこの質問をする意図もあります。
聞きたいことがある場合は遠慮なく質問しましょう。
大学の勉強やカリキュラムへの質問や大学生活への質問、逆に面接官(教授)に質問する、などいくつか質問内容を準備しておくと良いですね。
逆に避けた方がいい質問は、パンフレットなどを見れば解決できるような簡単な質問や面接の時間に話したことの繰り返しになる質問です。
『何か言い残したことはありますか?』と聞かれたら、
もう一度自己アピールをするのがおすすめ!
まとめ
いかがでしたか?
大学の面接で大切なのは、何と言っても『自己分析』!
今回はよく聞かれる質問をご紹介しましたが、自己分析がしっかりできていれば想定外の質問にも答えられるはずです。
自己分析には十分に時間をかけてくださいね。
どんな状況でも、どんな質問をされても、心を落ち着かせてゆっくりでもいいので自分の言葉で話せるように、普段から意識しておくと安心ですよ。