暗記が苦手な学生必見!― 記憶を定着させる勉強法

大学受験

勉強しても、数日後には忘れている。覚えた英単語が出てこない。公式を思い出せない。——受験勉強の中で誰もが一度は感じる悔しさです。
「せっかく頑張ったのに、またやり直しか」と思う瞬間、努力が空回りしているように感じて心が折れそうになります。

でも、忘れることは失敗ではありません。脳の構造上、忘却は「正常な動作」です。
この記事では、忘れる仕組みを理解しながら、“思い出す経験”を軸に記憶を定着させる方法を整理していきます。
暗記が苦手だと感じる人ほど、「忘れる前提」で学ぶ設計に切り替えることで、伸び方が変わっていきます。

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴27年
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「覚えたのに忘れた」不安

勉強しても、数日後には忘れている。覚えた英単語が出てこない。公式を思い出せない。——受験勉強の中で誰もが一度は感じる悔しさです。
「せっかく頑張ったのに、またやり直しか」と思う瞬間、努力が空回りしているような気がして心が折れそうになります。

けれども、忘れることは失敗ではなく、生理的な仕組みです。脳の構造上、忘れることは「正常な動作」なのです。
脳科学では、学習した内容が長期記憶として定着するまでに「数回の再活性化」が必要であるとされています。つまり、一度覚えただけで定着する記憶は存在しません。忘れることは、“記憶の整理”でもあるのです。

脳は不要な情報を削除し、大事な情報だけを残そうとします。したがって、「忘れた」は「覚え直す準備ができた」というサインでもあります。
一方で、受験生にとって「忘れた」は精神的に重い現実です。復習してもピンとこない、時間をかけたのに思い出せない——そうした経験が続くと、「自分には記憶力がないのでは」と感じる人もいます。
しかし、忘却は能力ではなくタイミングの問題です。

忘れる仕組みを知ると焦りが減る

記憶が抜け落ちるメカニズムを知ることは、焦りを和らげる第一歩です。
心理学者エビングハウスの研究によれば、人は学習後1日で約70%の情報を忘れるとされています。しかし、1回復習すると忘却の速度は緩やかになり、2回・3回と繰り返すごとに記憶の維持率が高まります。これは「再学習効果」と呼ばれ、復習を重ねることで記憶の“基盤”が強化される現象です。

また、脳が情報を「重要」と判断する条件の一つが、“思い出そうとした回数”です。単に見る・読むよりも、「思い出そうとする」行為の方が、長期記憶を作る力があります。これを「想起練習」と呼び、アクティブリコール法として近年注目されています。
つまり、忘れているときこそ、記憶を強化できるチャンスなのです。

一方で、焦って短時間に何度も同じページを読み返すのは逆効果です。脳が「新しい刺激がない」と判断し、記憶を更新しにくくなります。忘れた知識を戻すには、時間を空けながら思い出すことが必要です。これを「間隔反復効果」といい、最も効率的な学習法の一つとされています。

思い出せない焦りの正体

忘れたときに最もつらいのは、「覚えたのに出てこない」というギャップです。
この焦りは、脳のワーキングメモリ(作業領域)がストレスで圧迫されることで起こります。つまり、「忘れたらどうしよう」という不安そのものが、記憶検索を邪魔しているのです。

スタンフォード大学の研究では、「不安が強い人ほど、記憶想起テストの正答率が下がる」ことが示されています。つまり、焦れば焦るほど思い出せなくなるという悪循環に陥ります。

このとき有効なのは、「思い出せない自分を一度受け入れる」ことです。いったんノートを閉じて深呼吸し、「今は出てこないけど、どこかにある」と声に出すだけでも、脳の緊張がほぐれます。心理学ではこれを「自己受容によるリフレーミング」と呼びます。焦りを否定するより、受け入れる方が思考が再起動しやすいのです。

また、忘れた知識を思い出す際は、きっかけ(手がかり)を探すことが効果的です。たとえば、「その単語を勉強したときのシーン」「一緒に覚えた別の言葉」「その時使っていたペンの色」など。
脳は情報を単独ではなく“関連ネットワーク”として保存しているため、どれか一つの手がかりから全体が再生されることがあります。つまり、思い出す力は“繋がりの再起動”によって生まれるのです。


努力が無駄に思える瞬間

忘却に直面したとき、多くの受験生が感じるのは「やってきたことが無駄だったのでは」という虚無感です。努力しても消えていく記憶を見るのは苦しいものです。

しかし、脳の学習構造を見れば、それが“無駄ではない”ことが分かります。脳は一度覚えた情報を完全に消去するのではなく、必要なときに再構築できるように“痕跡”として保存しています。この潜在的な記憶を「再認記憶」と呼びます。つまり、一度学んだ内容は、意識上では消えていても、神経経路のどこかに残っているのです。

たとえば、長い間触れていなかった単語帳を再開したとき、「あ、これ見たことある」と感じる瞬間があります。これは、記憶の痕跡が再び刺激された証拠です。こうした再認の積み重ねこそが、知識の“土台”を形成していきます。忘れても再び触れるたびに、脳の回路は太くなっていくのです。

一方で、忘れたことにショックを受け、「自分は向いていない」と思い込むと、学習意欲が急激に下がります。これは「自己効力感の低下」と呼ばれ、モチベーションの持続に直結します。
だからこそ、「忘れる=やり直し」ではなく、「忘れる=強くなる途中」と捉えることが重要です。

「忘れた」を責めない学び方へ

忘却に落ち込むのではなく、「忘れる前提で勉強する」ことが、実は最も合理的です。
記憶の仕組みを理解していれば、忘れたことを「再学習のタイミング」として受け止められます。

たとえば、「一度目で覚える」よりも、「二度目で確認」「三度目で定着」という視点でスケジュールを立てると、気持ちの安定にもつながります。完璧を求めるより、“繰り返す設計”に価値を置くのです。

さらに、復習の方法も変えると効果が上がります。暗記カード、音読、書き取り、説明練習——同じ内容でも複数の感覚を使うことで、脳の記憶経路が増えます。学習科学ではこれを「多重符号化」と呼びます。
つまり、“覚える努力”よりも“思い出す経験”を積む方が、忘れにくい脳を育てます。

記憶を呼び戻す具体的手法

忘れてしまった知識を取り戻すときに最も効果的なのは、「思い出す練習」を中心に置くことです。
人間の記憶は「入力」よりも「出力」で強化されます。つまり、読む・見るよりも、“思い出そうとする時間”こそが記憶を定着させる時間です。
スタンフォード大学の実験では、復習よりも想起練習を重ねた学生の方が、1週間後の記憶保持率が約2倍高いという結果が報告されています。

実践の第一歩は、「思い出す準備を整える」こと。ノートを閉じ、頭の中で説明する、白紙に書き出す、友人に口頭で話す——いずれも想起練習です。
特におすすめなのは、“自分への解説ノート”を作ること。問題の答えだけでなく、「なぜそうなるのか」「どこで間違えやすいか」を説明文として書くと、知識が整理され、記憶の回路が明確になります。

一方で、思い出せないときは、無理に考え込むよりもヒントを段階的に出す方法が有効です。完全に白紙から思い出そうとするより、「最初の一文字」「図」「語群」など、手がかりを使うことで記憶が呼び戻されます。
心理学ではこれを「再認支援効果」と呼び、部分的な情報刺激が記憶検索を助けることが分かっています。つまり、完全に忘れたのではなく、“引き出しの鍵”が必要なだけなのです。

再定着を促すスケジュール設計

知識を定着させるには、「覚える」よりも「忘れる→思い出す→再定着」というサイクルを設計することが大切です。
これは「間隔反復理論」に基づくもので、復習のタイミングを空けるほど記憶が強固になります。最適な間隔は「1日後」「1週間後」「3週間後」「2か月後」のリズムで繰り返すこと。これにより、脳が“長期的に必要な情報”と判断します。

また、復習の質を高めるために、「間違いノート」を“更新型”で運用するのも効果的です。
一度ミスした問題を「正答できるまで残す」形式にし、解けるようになったら削除します。これを続けると、ノートの内容が徐々に“弱点の核”だけに絞られ、復習効率が飛躍的に上がります。忘却との戦いは、“全範囲の繰り返し”ではなく、“再挑戦の整理”です。

一方で、復習サイクルを詰め込みすぎると、脳が情報を整理できず混乱します。勉強を“積み上げ式”ではなく“循環式”に設計することが重要です。
1週間の中で「暗記→演習→整理→休息」を自然に組み込むことで、忘却と定着がリズムになります。忘れることを恐れず、リズムとして受け入れることが、結果的に最短経路なのです。

焦りとの付き合い方

「思い出せない」「前は解けたのに」という焦りは、誰にでも訪れます。
しかし、この焦りを否定的に扱うと、脳が“危険信号”を出し、学習効率を落とします。心理学では、ストレスが適度な範囲なら集中を高めるが、過剰になると記憶想起を妨げるとされています。つまり、焦りは「使い方次第で味方になる」感情です。

焦りを力に変えるには、“感情の再ラベリング”が効果的です。たとえば、「思い出せない=失敗」と考える代わりに、「思い出せない=定着のチャンス」と言い換える。言葉を変えるだけで、脳の認知が変わります。

また、焦りが強くなったら、一度紙に「今できること」と「今はできないこと」を分けて書き出しましょう。目に見える形にすると、思考が整理され、不安が現実的な課題に変わります。これは「外化思考」と呼ばれ、ストレスを軽減する効果が認められています。

一方で、完全に思い出せないときは、休息を取る勇気も必要です。睡眠中に脳は記憶を整理し、断片的な情報を統合します。夜に思い出せなかった内容が、翌朝には自然に浮かぶのはこのためです。焦って詰め込むより、“寝て覚える”方が効率的です。努力を止めることもまた、努力の一部なのです。

忘却を受け入れる学びの姿勢

忘れた知識を取り戻す過程は、単なる修復ではなく、“学びの深まり”です。
忘れたからこそ、再び触れるときに理解が強化されます。脳科学ではこれを「再統合理論」と呼び、再学習時には既存の知識と新たな文脈が統合され、以前よりも強固なネットワークが形成されることが分かっています。
つまり、忘れることは“更新”のチャンス。何度も覚え直した知識ほど、長く使える記憶になります。

また、受験勉強において“すべてを完璧に覚えている人”など存在しません。合格者もまた、忘れ、迷い、やり直しています。違うのは、忘れるたびに「戻る仕組み」を持っているかどうかです。
忘却を敵にせず、味方に変える。その姿勢が最終的な安定を生みます。

まとめ

忘れた知識が戻らないと感じるのは、脳が再構築の途中にある証拠です。
記憶は“消える”のではなく、“再び繋がる”もの。想起練習で引き出しを刺激し、間隔を空けて再定着させ、焦りを管理しながらリズムを作る——それが忘却と共に歩む学び方です。

「忘れる=弱い」ではなく、「忘れても戻せる=強い」。
その経験を重ねた人が、最後に最も深い理解を手に入れるのです。

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