2024年度長野県立高校入試(後期)では、論理的文章・実用的文章・漢字の誤用探し・古文・文学的文章の5題構成になっています。
2025年度入試より、前期試験に学科試験、後期試験に面接が新設されますので、注意してください。
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記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
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大問1(論理的文章)
大問1は、信原幸弘『「覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性』からの出題です。
(1)漢字の読み(記述)
「叫ん」(さけん)・「訪れ」(おとずれ)・「一端」(いったん)・「網膜」(もうまく)・「順次」(じゅんじ)・再現(さいげん)
(2)接続語(選択肢)
A 直前の「バナナの姿が意識に現れる」と、直後の「情報処理がなされていく過程は、意識にのぼらない」に着目しよう。要するに、結果は意識に現れるが、過程は現れないということである。
B 直後の文末が「からである」となっている点に着目する。
(3)段落の関係(選択肢)
アは、「否定する考え」が誤り。
イは、「疑問を解決し」が誤り。
ウは、「文章全体の結論」が誤り。また、「筆者の個人的体験」かどうかも定かではない。
エが正解。「5段落の内容を受け」が、「直観はこのように私たちの理解を深めてくれる」に該当する。また、「問いによって視点を転換しながら、話題を提示している」が、「では、そもそも直観とは何であろうか」以下の部分に該当する。
(4)内容読解(抜き出し)
「証明が本当にわかったとは言えない」のは、「どうも賦に落ちない」からである。5段落で、「証明の本当の理解には、証明の核心を直観的につかむことが必要」だと説明されている。
(5)内容読解(抜き出し)
集合図より、空欄Dには「知覚」と「直観」の共通点が当てはまる。
9段落に「このように知覚と直観のあいだには、よく似た点がある」とあるので、7・8段落に注目しよう。「どのような情報処理を経て形成されるかは意識されない」と同内容の十四字の言葉を探せばよい。
(6)内容読解(作文)
〈条件1〉
数学の証明の例では「証明を何度もたどりかえして」おり、音楽鑑賞の例では「何度も聴いて」いる。ここで挙げる具体例は、繰り返し理解しようとする姿勢とセットで書く。
〈条件2〉
数学の証明の例では「どの規則をどの順に適用するか」、音楽鑑賞の例では「楽音を構成する音」が該当する。〈条件1〉で挙げた例の構成要素を書けばよい。
〈条件3〉
数学の証明の例では「なぜここでこの規則を適用するのか」などの「核心」が該当する。一方で、音楽鑑賞の例でははっきりとは書いていない。「意識のなかで楽曲を具体的に再現することではなく、楽曲の核心を一挙に捉えること」と説明されているのを参考にしよう。「楽曲に込められたメッセージや意図」くらいであろうか。
大問2(実用的文章)
大問2は、生徒会活動をテーマにした会話文です。
(1)発言の役割(選択肢)
A 「僕もだよ」と発言しているので「共感的」である。
B 「充実感と達成感ってどんなものだろう」と問題提起をしている。
(2)発言の役割(選択肢)
選択肢の主語が「川原さん」となっているので、1つ前と2つ前の川原さんの発言に着目する。「つまり」とあり、森田さんと山本さんの述べた具体例から「充実感」と「達成感」についてまとめていることが読み取れる。
(3)
ⅰ 内容読解(適語挿入)
空欄には〈 〉がついているので、「新海先生からの感想やアドバイス」の「〈 〉のついた見出し」より、〈 〉にはスライド①の見出しが当てはまるとわかる。
「全校生徒の経験を、各委員会の活動計画作成のヒントにしたい!」という願望が書かれていることに注目しよう。
ⅱ 内容読解(選択肢)
スライド②の内容は、「アンケートで聞きたいこと」である。その内容について話をしている場面でスライドを提示するのが最も適切なタイミングである。
ⅲ 内容読解(55字~65字記述)
「役員会で考えた充実感と達成感の捉えを、全校生徒と共有する必要がある」ということなので、空欄には「充実感」と「達成感」の説明が当てはまる。
(2)がヒントだが、川原さんがそれぞれまとめてくれているので、「つまり」以下を参照しよう。「充実感は、何かに一生懸命取り組んでいる中で感じるもの」、達成感は、「自分が取り組んだ活動の効果や成果を実感すること」という2つの内容をまとめればよい。
大問3(漢字の誤用探し)
①日潟→干潟 ②再取→採取 ③誌実→史実
大問4(古文)
大問3は、『枕草子』からの出題です。
(1)現代かなづかいに(記述)
①とらへて→とらえて
②くちをしけれ→くちおしけれ
(2)主語把握(選択肢)
「左右にある垣にあるものの枝」が「車の屋形などにさし入る」ので、「いそぎてとらへて折」ろうとするが、さっと通り過ぎて手から「はづれ」てしまったのである。
手から「はづれ」たのは、「ものの枝」。
(3)
ⅰ 内容読解(30~40字記述)
空欄Aの直前で「表面は変わった様子もなく」とあるが、これは文章Ⅰの「上はつれなくて、草生ひしげりたるを」に該当する。空欄Aには、その直後の「下はえならざりける水の~走りあがりたる」が当てはまる。
ⅱ 内容読解(抜き出し)
文章Ⅱの最後に「屏風の絵に似て、いとをかし」と述べている点に着目しよう。
ⅲ 内容読解(抜き出し+記述)
空欄Cの直前に、「ぐるっと回る車輪にくっついて上がってくる」とあるので、文章Ⅰの「よもぎの~近ううちかかりたるもをかし」に注目する。
文章Ⅲで、「菖蒲」や「よもぎ」などが「かをりあひたる」様を「いみじうをかし」と述べていることから考えよう。
(4)表現の特徴(選択肢)
イは、「体言止め」が不適。
ウは、「第三者の立場から、客観的に」が不適。「をかし」など、心情語がダイレクトに使われている。
大問5(文学的文章)
大問5は、オザワ部長『空とラッパと小倉トースト』からの出題です。
(1)熟語の構成(選択肢)
「抑揚」は、「抑」がおさえる、「揚」があげるという意味なので、反対の意味を持つ漢字の組み合わせである。したがって、ウの「凹凸」が正解。
アの「摩擦」は、似た漢字の組み合わせ。
イの「佳作」は、「佳い作品」という意味で上の字が下の字を修飾している。
エの「観劇」は、「劇を観る」で下の字が上の字の目的語になっている。
(2)慣用句(選択肢)
「素直に表現」・「正直な」に着目する。「歯に衣着せぬ」とは、「思ったままを率直に言う」という意味。
(3)心情理解(抜き出し)
「アリスが心の中で思っている言葉」は、( )でくくられている。
アリスは、きらきらした目をしている幼い子どもたちにかつての自分を重ねている。
(4)心情理解(選択肢)
「アリス自身、ホッとしていた」という「安堵」の直後、「問題は2回目のほうだ。~最後の超高音をちゃんと出せるかな……」と不安な気持ちが芽生えている。
(5)表現効果(30字記述)
演奏が上手くいかずに焦る「アリスの様子に気づいたひとりの子ども」が「『がんばれ~』という声」を上げたのを皮切りに、「『がんばれ~!』の声が子どもたちの間に広がり、やがて大合唱にな」っていく様子を、比喩表現で表している。
(6)人物理解(選択肢)
美森はアリスのソロをトランペットで奏で始める。そして、「美森はトランペットを吹きながらアリスのほうへ歩み出てい」く。「すると、まるでその音に手を引かれるかのように、アリスの音に力が戻ってきた」のである。
(7)心情理解(50~60字記述)
「幼いアリス」は、付せん1にもあるように、「名晋に憧れ、寂しい心を名晋の演奏でいっぱいにした幼い女の子」のことである。アリスは、「幼いアリス」の期待に応えるだけの演奏を成し遂げることができ、達成感を感じていると推測できる。 あとは、付せん2を踏まえ、「課題から逃げようと」したが、今回はきちんと向き合ったことを書けばよい。