【合格体験記（秋田大学 医学部 医学科）】好きから始まった医学への道──斉藤さん、2年目の今を語る

「勉強なんて好きじゃなかった」──小中学生時代の自分

小学生の頃の私は、いわゆる“理系タイプ”でした。算数や理科の授業では発言も多く活発でしたが、漢字の書き取りや歴史の年号にはまるで興味が持てず、授業を聞かないことも珍しくありませんでした。放課後はゲーム三昧。机に向かう習慣などなかったと思います。

そんな私が少しだけ変わったのは、中学に入り定期テストが導入されてから。成績が「見える」ようになったことで、少しずつ全教科に向き合うようになりましたが、英語や社会は依然として苦手。得意の数学と理科だけが支えでした。
柔道部に入っていたこともあり、忙しい日々の中で「本気で勉強する時間」はなかなか取れませんでした。

「やらされる勉強」から「自分でやる勉強」へ──中3・コロナ禍での転機

大きな転機は、中学3年生の春、コロナで学校が休校になったときです。それまで「勉強しろ」と言われても気が進まなかった私が、受験への不安から自ら8時間の自習を始めました。すると、目に見える形で成績が上がり、自分の努力が結果につながるという感覚を初めて実感。それが、私にとっての「勉強って面白い」という感覚の始まりでした。

この経験をきっかけに塾にも通い始め、計画的な学習方法を身につけていきました。最終的には秋田高校に合格。自分の中で、「勉強はやれば結果が出るもの」という確信が芽生えていました。

「自由に学びたいのに…」──高校時代のジレンマ

秋田高校に入学した私は、「自主自立」をうたう校風に期待していました。ところが実際は、必要ないと感じる課題や、自分のレベルに合わない授業が多く、理想としていた「自由な学び」にはほど遠いものでした。
部活動にも所属しておらず、高校生活そのものへのモチベーションも上がらないまま、高1・高2を過ごしてしまったという後悔があります。

今思えば、与えられた環境の中でも「自分で工夫する」余地はたくさんありました。当時の私は、「理想とのギャップ」に気を取られ、前に進む力をうまく使えていなかったと思います。

「自分で決めた勉強」が合格につながった

現役で秋田大学医学部医学科に合格した私は、塾や予備校には通っていませんでした。中学時代に学んだ「自分に合ったやり方」があったからです。
共通テスト対策はとにかく形式に慣れること。模試は夏以降受けず、時間をかけて問題集を何度も解きました。
苦手だった小論文は、学校の添削指導を最大限活用。何度も書いてフィードバックを受けることで、徐々にコツをつかめるようになりました。
面接対策も、学校練習に加え、市販の参考書を使って医療制度や倫理について理解を深めました。

振り返ると、「周囲に流されず、自分に必要なことを自分で選んだこと」が、合格への最大の要因だったと思います。

医学部生活は「想像以上に自由で、忙しい」

大学生になってからの私は、学業以外にもさまざまなことに挑戦しています。
前から興味があった弓道部に入部し、精神面でもリフレッシュできる時間を得ました。飲食店のアルバイトも始め、接客業を通して社会経験を積んでいます。
一人暮らしにも挑戦中で、自炊は今ではちょっとした楽しみに。1年生のうちに自動車免許も取得しました。

秋田大学には「シミュレーション教育センター」があり、1年生からエコーや聴診などの臨床スキルに触れられるのが魅力です。
2年生の今は、本格的な解剖実習が始まり、10週間にわたるハードスケジュールを仲間と協力しながら乗り越えています。
体力的にも精神的にもきついですが、「医師になるための通過点」として、大切な時間だと実感しています。

最後に──これから目指す人たちへ

医学部を目指す皆さんへ伝えたいのは、「自分のやり方で、自分のペースで進んでいい」ということです。
努力が苦手でも、苦手科目があっても、あきらめないでほしい。自分で考え、工夫し、必要なことにしっかり取り組めば、結果はついてきます。

保護者の皆さんにも、「その子に合った関わり方を模索してほしい」と思います。
私の親はあまり勉強に口出しをせず、プレッシャーもかけませんでした。結果として、それがちょうど良かったのだと思います。

「自分の力で考え、選び取る」こと。これは、受験にも人生にも必要な力です。これからも私は、その力を大切にして生きていきたいと思っています。