志望校合格のために、学科試験で必ず行った方が良い対策と言えば、志望校の過去問を解くことです。過去問を解くことで、志望校の出題傾向を知ることができ、合格するためには自分に何が足りないのか、何を補ったらよいのかということがわかるからです。
これは小論文についても同じです。志望校で過去に出題されたテーマを知れば、今後出題されるテーマもある程度予測ができます。また、書いた小論文を添削してもらうことで、自分の弱点を知ることができ、どのように書いたらよいのかがわかるようになります。でも、もし過去問が入手できない場合はどうしたらよいのでしょうか。
今回の記事では、小論文で過去問が無い場合はどうしたらいいの?という疑問への答えから始まり、過去問が無くても添削は必須? 添削を行うメリットとは? 小論文でよく出題されるテーマって?という、受験生にとって気になる疑問について、一つ一つ丁寧に解説していきます。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
■小論文指導歴25年
これまでに指導した生徒は4000人以上、独自のSKYメソッドを考案で8割取る答案の作り方を指導。
スカイ予備校を高崎市内に開校し、2021年4月から、完全オンラインの大学受験予備校となり1年目から、国公立大学に27名の合格者を輩出。スカイ予備校の指導方針は、「大人になっても役に立つ勉強法の習得」です。「自分の人生は自分で切り拓く」教育をします
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小論文で過去問が無い場合はどうする?
まずは、小論文で過去問が入手できない場合に取るべき3つの手段について解説していきます。
小論文の基本的な書き方をマスターする
過去問が無い場合…というより、まずは何をおいても小論文の基本的な書き方はマスターしておきたいですよね。では小論文の基本的な書き方とは、一体どのようなものなのでしょうか。基本から確認していきましょう。
原稿用紙の使い方
原稿用紙に書くときのルールを守るのは、小論文を書く上での最低限のマナーです。基本ルールを確認しておきましょう。
- 段落の書き出しは1字下げる
- 促音(っ)と拗音(ゃ、ゅ、ょ)も、1マス使って書く
- 句読点(、。)、かっこ(())、かぎかっこ(「」)などは、1マス使って書く
- ただし、行頭に句読点と閉じかぎ(」)を書いてはならない
- 行頭に来る場合は、前行末のマスの文字と一緒に書く
- 繰り返し符号の「々」は行頭に書いてはならない
- 例えば「人々」の「々」が行頭に来る場合は、「人」か「びと」と書く
- 「!」「?」「”」「~」「…」などの記号類は使ってはならない
- 縦書きの場合、数字は漢数字、単位はカタカナで書く
- 英語は横書きにして1マスに2文字ずつ書く
作文と小論文の違い
自分が感じたことを自由に書いていくのが作文です。作文には明確な書き方はありません。では、小論文とはどのようなものを指すのでしょうか。小論文とは、特定のテーマについて自分の主張や立場を述べて、客観的な根拠を挙げながら、その理由を論理的に説明していく文章のことです。
基本、作文は内容を自由に書いてOK。そして主観でOKです。
主観とは、自分の感想なので、根拠は不要です。「好きだから好き」でOK
一方、小論文は「読む人を説得する文章」です。
そのためには、書く順番や根拠が重要です。そのためには客観が重要です。
客観性をもつためには、人に読んでもらうことが前提なので、独りよがりの文章は高得点がつきません。
言葉の選び方
小論文に適した言葉選びが必要になります。次のような点に注意しましょう。
- 話し言葉や「ら抜き」言葉は使わない
- 一人称を用いる場合は「私」に統一する
- 身内については、「父」「母」「祖父」「祖母」「兄」「姉」「伯父(父母の兄)」「叔父(父母の弟)」「伯母(父母の姉)」「叔母(父母の妹)」と書く
- 身内以外の人についても、「おじいさん」「おばあさん」などは口語表現なので使わず、「高齢者」「老人」と書く
- お年寄り」などの敬称も不要
- 省略表現や略語を使ってはならない
- 例えば「スマホ」ではなく「スマートフォン」と書く
- 間違った漢字を使うよりは、別の表現を探したほうが良い
- 文体は「だ・である」調で書く
口語体(話し言葉)を、文章で書くことはNGです。
日本語は、話し言葉と書き言葉が違う言語ですが、この違いを学生時代に学ぶことはほとんどありません。
小論文は大学の先生がみます。小論文も「論文」ですから、話し言葉はNGです。
主語と述語の一致
「重要なのは、…が重要だ。」「私が思うのは、…と思う。」などの主語と述語の不一致は、小論文で犯しやすいミスの一つです。正しくは「重要なのは、…だ。」や「私が思うのは、…だ。」となります。
練習で書くときから、主語はどれで述語はどれか、常に確認するようにしましょう。慣れてくれば、主語と述語が合っていない文を見たときに違和感を持てるようになります。
主語と述語の不一致は、いわゆる「文のねじれ」と言われます。
主述の不一致があると、とても印象の悪い、得点が低い答案になります。
書いた文書を、見直す時間をしっかりと確保するとともに、普段から主述関係を意識しましょう。
段落の分け方
最初から最後まで一つの段落しかない小論文や、逆に1行ごとに改行して段落だらけの小論文であったら、採点者からどのように評価されるでしょうか。そのような小論文は「論理的でない」と判断されます。合格は難しくなるでしょう。
小論文では、文章のうまい下手よりも論理的な構成となっているかどうかが大事です。構成さえしっかりしていれば、高得点を取ることができるのです。
では、論理的な構成とはどのようなものでしょうか。具体的に言うと、「序論」「本論」「結論」という構成です。段落はこの3つに分けると良いでしょう。それぞれの段落で何を書いたらよいのか、簡単に確認していきます。
まず「序論」では問題提起とそれについての自分の意見を述べます。続く「本論」では、なぜ自分がその意見を持つのかという理由を、具体的な事例を挙げながら説明していきましょう。最後の「結論」では、もう一度自分の意見を表明して締めくくります。
- 序論 …問題提起とそれについての自分の意見を述べる
- 本論 …なぜ自分がその意見を持つのかという理由を、具体的な事例を挙げながら説明する
- 結論 …もう一度自分の意見を表明する
注意すべき点が多くて大変ですが、何本も書くうちに必ず身についてきます。特に、論理的な構成で小論文を書くのは難しいことですが、どんなテーマであってもいつも同じ型で書けるように練習を重ねましょう。
形式段落を軽視する受験生が多いのですが、形式段落は単に「1マス下げる」というだけでなく、意味の塊、段落ごとのつながり、自分の意見の強調と流れ、をアピールするものです。
かなり重要なことなので、意識しましょう。
他の学校の同じ学部などの過去問を探す
一体どんなテーマが出題されるのか悩んでしまいそうですが、実は小論文で出題されるテーマはそれほど予測不能ではありません。大学入試の場合、その学部や学科と全く関係のないテーマについて書かせても意味がないからです。
例えば教育学部であれば教育関係のこと、経済学部であれば世界経済、日本経済、地域経済についてのことがよく問われています。
したがって、志望校の過去問が入手できない場合は、他の学校の同じ学部などの過去問を調べてみましょう。志望学部や学科の傾向をつかむことができます。
その分野に関するニュースを日頃から収集
志望する学部や学科に関係するテーマがよく問われるため、日頃からその分野に関するニュースをチェックしておくことも、重要な小論文対策となります。次のような手段で情報を集め、知識を頭に入れておきましょう。
- テレビのニュース番組や報道特集を見る
- 新聞の社説を読む
- 志望先に関する本を読む。最低2冊は読みましょう!
- 時事問題や言葉の意味をインターネットで調べる。ただし情報の真偽や意見の偏りには気をつけましょう!
小論文で過去問が無い場合に取るべき3つの方法を、おさらいしておきましょう。
- 小論文の基本的な書き方をマスターする
- 他の学校の同じ学部などの過去問を探す
- その分野に関するニュースを日頃から収集する
時事問題をチェックするのは重要ですが、最新すぎる問題は小論文では出ません。むしろ面接で聞かれることになります。
そして、本を読むことは良いことですが、本の中のどの知識が重要で、どれが不要かを考えながら読むことが重要です。
しかし、受験生に本を読む時間がないので、スカイ予備校では、小論文のスカイメソッドの基礎編で「ライバルと差をつける24の論点」を15時間で学びます。これで学べば、本を読まずにライバルと差別化できます。
過去問が無くても添削は必須?添削を行うメリット
小論文には、一つの決まった答えがあるわけではありません。小論文として不適切な言葉の選び方をしていても、途中から論理がずれてしまっていても、自分では間違いに気づきにくいものです。 したがって、過去問があるかどうかにかかわらず、添削を受けることは必須であると言えるでしょう。
添削を受けるメリットとしては、まずは原稿用紙の使い方や言葉の選び方についての間違いを指摘してもらえるという点が挙げられます。
次に、小論文の肝とも言える論理的な構成で書けているかどうかについても、判断してもらうことができます。
さらに、述べた意見や根拠が鋭いのかありふれているのか、常識から外れていないかということも客観的に判断してもらうことができるでしょう。
このように、添削を受けることによって、自分では気づくことの難しいミスや欠点が直せるようになるのです。
過去問題がない(手に入らない、去年から小論文試験が課された)ということは、ライバルも同じ条件です。こういうときほど、大逆転が起こるので、我々は大チャンスだと、生徒に伝えます。
よく出題されるテーマを知って備えよう!
先ほど、小論文のテーマはある程度予測できるということ、志望学部や学科に関係するテーマについての知識を蓄えようということをお伝えしました。ここからは、高校入試で頻出するテーマと全学部を通じて大学入試でよく出題されるテーマについて、見ていきましょう。
高校入試で出題されるテーマ
テーマを与えられて書く形式もあれば、資料を読んで書く形式もあります。都立高校の推薦入試では、資料を読み取って特徴を記述する、それについて自分の考えを書くといった形式が多く見られます。よく出題されるテーマは、次のようなものです。
基礎的な知識がないと、意見や理由を述べるのが難しい問題もあります。志望校の過去問を調べて、必要な対策を取りましょう。
今回は、高校入試で出されたテーマをピックアップしました。大学入試の総合型選抜試験(旧AO入試)では、同様なテーマが出されることもあります。
大学入試で出題されるテーマ
これまで、志望学部・学科に関係する知識を身につけておく必要があるとお伝えしてきました。加えて、以下の頻出テーマや用語を押さえておけば、どのようなテーマが出題されても、持っている知識を網羅して小論文をまとめることができるでしょう。
新型コロナウイルス関連の問題は、これから数年間必ず狙われるテーマとなります。コロナウイルスが社会に与えた影響やコロナ後の社会のあり方について、志望学部と絡めて知識を整理しておきましょう。
ただ小論文で出題のテーマというよりは、面接で聞かれるテーマだと思います。
今は、SDGsやAIに関するテーマは、自分の勝ちパターンを用意しておこう。
まとめ
今回は、小論文で過去問がない場合はどうする? 過去問が無くても添削は必須? 添削を行うメリットとは? 小論文でよく出題されるテーマって? という内容をお伝えしてきました。
最後にもう一度、要点をおさらいしておきましょう。
小論文は、知識が足りなかったり論理的な構成がわかっていなかったりすると書きにくいものですが、逆に言えば、知識と型の習得によって、一気に書けるようになるものです。
書いて添削を受けることを繰り返していけば、小論文は必ず上達します! 論理的な文章を書くスキルは、入試の合格につながるだけでなく、その先のビジネスでも役立つスキルとなりますので、ぜひ頑張ってくださいね!