記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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徳島大学 生物資源産業学部 生物資源産業学科の小論文対策
[令和5年度 学校推薦型選抜I型]
第1問
次の文章は,森林が果たしている機能について農林水産省作成資料「森林・農地の有する多面的機能の発揮による国土強靱化の取組」(2020)に基づいて簡単にまとめたものである。
我が国は世界有数の森林国であり,森林面積は国土面積の3分の2にあたる約2,500万haを占めている。森林は多面的機能を有しており,主だったものを挙げると,木材や食料の物質供給,土砂災害防止・土壌保全・水源涵養といった国土の保全,二酸化炭素吸収や化石燃料代替エネルギーとして地球環境の保全,保健・レクリエーション,生態系および生物多様性の保全,伝統文化や芸術や地域の多様性の維持といった文化的な役割,などがある。これらの機能の発揮を通じて,森林は国民生活に様々な恩恵をもたらす「緑の社会資本」となっている。 図A,Bは森林が実際にこのような機能を有していることを示した研究結果である。その解釈について次の問い(問1~2)に答えよ。
図A 間伐前後における一定期間の年平均成長量
図B 降雨量と流出量
問1 地球温暖化対策の手段の一つとして森林の間伐がある。図Aは、およそ50年生のスギ林において,間伐を行った試験区(間伐林)と間伐を行わなかった試験区(無間伐林)におけるバイオマス成長量を比較した結果である。間伐の有無でどのような違いが生じたか、そして間伐がなぜ地球温暖化対策となるのかについて350字以内で説明せよ。
問2 図Bは、周囲に森林が広がる関東地方のあるダム流域で観測された雨量と水の流出量の関係を示したグラフである。横軸は一連の降雨による雨量を、縦軸は観測地域おいて貯留されずにすみやかに流れ出た水の量(流出量)である。このグラフからどのようなことがわかるか、そしてそれが森林のどのような機能と関連しているのかについて300字以内で説明せよ。
第2問
次の2つの図は、農林水産省がまとめた「令和3年度水産白書」に掲載されている図を改変したものである。図Cは我が国における魚介類の生産および消費構造の変化を、図Dは我が国における食用魚介類の自給率推移を示したものである。これらの図から読み解ける事象、動向等について以下の問い(問1〜3)に答えよ。
図C 日本の魚介類の生産・消費構造の変化
図D 日本の食用魚介類の自給率の推移
問1 図Cは、平成22(2010)年度と令和2(2020)年度の我が国における魚介類の生産および消費構造の
変化を示したものである。令和2(2020)年度の国内消費仕向量のうち、食用消費向け、非食用の割
合をそれぞれ求めよ。また平成22(2010)年度と比較して、令和2(2020)年度の国内生産量、輸入
量、国内消費仕向量の減少率をパーセントでそれぞれ答えよ。数値は小数点第1位を四捨五入するこ
と。なお、国内消費仕向量とは、国内で消費に回された(国内市場に出回った)食料の量のことであ
問2 図Dは、我が国における食用魚介類の自給率の推移を示したものである。平成17(2005)年度以降、自給率は横ばい傾向にあるが、令和2(2020)年度は前年度よりも2%上昇し57%となった。この自
給率が上昇した理由について考えられることを100~150字で答えよ。
問3 我が国での魚介類の生産量や消費量、食用魚介類の自給率をあげるためにはどのような方策が考えられるか、あなたの考えを200字以内で述べよ。
ポイント
出題意図
第1問
森林が有するさまざまな働きと重要性を理解し、森林を維持していくことは現代人によって極めて重要な課題である。森林の機能のうち、わが国の国民の期待が高いのは、地球温暖化防止、災害防止、水資源の涵養などといった公益的機能であり、森林がいかにしてこのような役割を果たしているのか基本的知識を問う設問とした。さらに、文章からではなくグラフから答えを導かせることで、分析力や洞察力そして論理的かつ簡潔に記述する能力を測る。
第2問
森林が有するさまざまな働きと重要性を理解し、森林を維持していくことは現代人によって極めて重要な課題である。森林の機能のうち、わが国の国民の期待が高いのは、地球温暖化防止、災害防止、水資源の涵養などといった公益的機能であり、森林がいかにしてこのような役割を果たしているのか基本的知識を問う設問とした。さらに、文章からではなくグラフから答えを導かせることで、分析力や洞察力そして論理的かつ簡潔に記述する能力を測る。
問1
我が国の魚介類の生産・消費構造の変化について理解し、国内消費仕向量の内訳や、国内生産量、輸入量、国内消費仕向量の変化について数値を読み取り理解し、その減少率を計算により求めることができる。
問2
本問題では、食用魚介類の自給率の推移を、国内生産量、輸入量、国内消費仕向量の経年変化から読み取り、その状況を理解するとともに、短期間(単年)で自給率が上昇した理由について、自給率の算出式から原因を考察する思考力を問う。
問3
我が国の食事情が欧米等の影響を受け、魚食から肉食へと変遷している現代において、環境変動に対応したサステナブルな水産業を持続し、魚介類の消費拡大を図っていくかが、本国における魚介類の自給率を上げていくために必要である。これらの対策について、普段の生活、体験や学習を通じて培われた知識を活用し、対策について考えさせる思考力や知識力、文章表現力を問う。
<徳島大学の公開内容からの引用>
小論文過去問題解説
第1問
問1
- 図Aの理解:
- 図Aはスギ林の成長量を示しており、間伐の有無で生じる違いを理解する必要があります。
- 間伐を行った試験区(間伐林)と行っていない試験区(無間伐林)でのバイオマス成長量を比較。
- 地球温暖化対策としての森林の役割:
- 森林は二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを削減する。
- 間伐によって木々が成長することで、その過程で二酸化炭素を吸収し、バイオマスが増加。
- 回答の構築:
- 間伐を行った場合(間伐林)の方が成長量が大きいことを指摘。
- 間伐により森林の健全な成長が促進され、これによって二酸化炭素の吸収が増加し、地球温暖化対策に寄与する。
問2
- 図Bの理解:
- 図Bは雨量と水の流出量の関係を示しており、横軸が降雨量、縦軸が流出量。
- 森林が広がる地域において、雨がどのように土地に影響を与えているかを理解。
- 図Bから読み取れること:
- 森林が豊富な地域では、雨量が増えても急激な水の流出が抑制されていることが示唆される。
- 森林が雨水を吸収し、ゆっくりと放出することで、急激な洪水を緩和。
- 回答の構築:
- 森林がある地域では、雨水の急激な流出が緩和され、洪水のリスクが低減。
- 森林が水を貯留し、ゆっくりと放出することで、流域全体への安定した水供給が期待される。
全体的なアプローチ
- キーワードの把握: 成長量、二酸化炭素吸収、地球温暖化対策、降雨と流出、水の貯留と放出など、重要なキーワードを確認。
- 因果関係の理解: 図や文から因果関係を読み取り、それに基づいて自分の言葉で説明。
- 総合的な回答: 問いに対してそれぞれの要素を組み合わせ、総合的な回答を構築。
第2問
問1
- 国内消費仕向量の割合:
- 令和2(2020)年度の国内消費仕向量から食用消費向けの割合と非食用の割合を求める。
- 変化率の計算:
- 令和2(2020)年度と平成22(2010)年度を比較して、国内生産量、輸入量、国内消費仕向量の減少率をパーセントで計算する。
問2
- 自給率の上昇理由:
- 自給率が上昇した理由について考える。
- 市場傾向、政策変更、生産の増減などを検討し、特に令和2(2020)年度の変動に焦点を当てる。
問3
- 方策の考え:
- 魚介類の生産量や消費量、自給率を向上させるための方策を考える。
- 持続可能な漁業や養殖、消費者啓発、輸入の適切な調整などを提案する。
注意点
- 数値の四捨五入: 計算した数値は小数点第1位を四捨五入する。
- 理由の具体性: 自給率が上昇した理由について、具体的な要因や事例を挙げる。
- 方策の多様性: 方策を考える際に、漁業だけでなく消費者の側面や国際的な取り組みも考慮する。
徳島大学の所在地・アクセス
所在地 | アクセス |
徳島県徳島市新蔵町2-24 | JR「徳島」駅から徒歩15分 JR「徳島」駅からバスで「新蔵町」下車、徒歩2分 |
徳島県徳島市南常三島町2-1 | JR「徳島」駅から徒歩30分 JR「徳島」駅からバスで15分 「助任橋・徳島大学前」下車、徒歩5分 |
徳島県徳島市南常三島町1-1 | JR「徳島」駅から徒歩30分 JR「徳島」駅からバスで15分 「助任橋・徳島大学前」下車、徒歩5分 |
徳島県徳島市蔵本町3-18-15 | JR徳島線「蔵本」駅から徒歩5分 JR「徳島」駅からバスで13分 「県立中央病院・徳島大学病院前」 「総合メディカルゾーン」「医学部前」下車、徒歩2分 |
徳島県徳島市庄町1-78-1 | JR徳島線「蔵本」駅から徒歩5分 JR「徳島」駅からバスで13分 「県立中央病院・徳島大学病院前」 「総合メディカルゾーン」「医学部前」下車、徒歩2分 |
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徳島大学の入試傾向
徳島大学の入試傾向には学部・学科ごとに異なる特徴があり、それに合わせた対策が求められます。
一般選抜:
- 試験構成: 全学部で実施。前期日程・後期日程があり、医学部医学科・歯学部歯学科・薬学部では2段階選抜がある場合がある。
- 医学部医学科: 共通テストの合計点が600点に達していない場合か、達していても志願者が募集人員の5倍を超えた場合に2段階選抜が実施。
学校推薦型選抜:
- Ⅰ型: 総合科学部、医学部医科栄養学科、理工学部(昼間、夜間主)、生物資源産業学部が該当。
- Ⅱ型: 全学部(理学部夜間主を除く)。
総合型選抜:
- 医学部医学科: 医学部医学科のみが実施。
帰国生徒選抜・社会人選抜:
- 対象学部が限定: 詳細は募集要項で確認が必要。
数学 (医学科、歯学部、薬学部):
- 試験時間120分: 大問4つで構成。数学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、数学A(場合の数と確率、整数の性質)、数学B(数列、ベクトル)が出題。
- 難易度差: 医学部医学科などは難易度が高め。数列、微分積分、確率が頻出。
英語:
- 試験時間70分: 大問3つ。長文読解が2問で自由英作文が1問。
- 出題形式変動: 設問が英語で解答も英文で記述する形式が中心。出題形式は年度により変化するため、過去問にとらわれず注意が必要。
一般の特徴:
- 共通テストの重要性: 共通テストの配点が大きい。理科が1.5倍になるため、特に理科の対策が必須。
- 社会科目の配点圧縮: 社会の配点は0.5倍に圧縮され、効率よく点を取る必要がある。
- 英語の自己表現重視: 英語では自己表現が求められ、論述問題への対策が必要。
難易度・偏差値:
- 難易度差: 医学部医学科が高難易度で、他学部もそれぞれ異なる難易度。
- 偏差値の幅: 全体的には48~68。学部ごとに異なる。
徳島大学の募集コース
募集要項はこちら
入試情報はこちら
総合科学部 社会総合科学科(定員数:170人)
社会総合科学科では、グローバル化する現代社会の諸問題、地域問題を的確に理解し、科学的思考に基づいて問題を解決できる人材を育成。「地域」「グローバル」をキーワードとする実践学習科目で専門知識とスキルを修得。
なお、2024年に従来の4コースから公共政策、地域創生両コースを再編して3コースに再編予定。
・国際教養コースでは、世界各地の問題への関心・理解力を高め、語学力・情報発信力によって、さまざまな問題に対処できる人材の育成を目指す。
・心身健康コースでは、健康増進・心理ケアに関する知識や技術を修得し、調査・実験・評価・分析などで解決へと導く能力を身につける。
・2024年新設予定の地域デザインコースでは、地域や社会の課題を調査して分析する力、柔軟な発想力などを身につけ、地域・政策に関わる課題解決に向けて貢献する人材を育てる。
医学部(定員数:274人)
医学科(定員数:100人)
医学科では、1~2年次の医学入門で専門教育を導入している。3年次は、午前に講義、午後は希望する各研究室に所属し、生命科学研究を行う。4年次は、チュートリアルによる少人数教育を行う。5~6年次では、医療チームの一員として教員の指導のもと、臨床実習を行う。大学病院に加え、徳島県内外や海外の医療機関での実習も希望に応じて行える仕組みが整う。
医科栄養学科(定員数:50人)
医科栄養学科は、国立大で唯一医学部にある栄養学科であり、医学を基盤とした栄養学の教育・研究を行う。臨床の場で高度な知識と技術を持ち、医師と連携して活躍し、我が国の栄養施策の推進役となるべき管理栄養士の養成を行っている。
保健学科(定員数:124人)
保健学科では、人間性・科学性および国際性を基盤に、高度化・専門化する医療を支え、保健、医療、福祉において多様化するニーズに対応できる有能な医療人を養成する。看護学、放射線技術科学、検査技術科学の3専攻を設置している。
看護学専攻(定員数:70人)
放射線技術科学専攻(定員数:37人)
検査技術科学専攻(定員数:17人)
歯学部(定員数:55人)
歯学科(定員数:40人)
歯学科では、1年次は共通教育と並行して歯学および医学に関する概論的な講義を受ける。2年次前期に大学病院各科を見学できる早期体験実習を行う。2年次後期から基礎歯科医学、臨床歯科医学の講義、実習が始まる。3年次後期には半年間、研究室に配属される。また、4年次には、内科学、外科学などの各種関連医学の講義を受ける。5年次後期から6年次9月まで、大学病院において臨床実習を行う。
口腔保健学科(定員数:15人)
口腔保健学科では、歯科衛生士国家試験受験資格を得るための科目が開講される。1年次では解剖学・生理学・生化学などの基礎的科目や、大学病院での早期臨床実習に臨む。4年間で口腔保健基礎学、口腔保健支援学、口腔保健福祉学を体系的に学ぶほか、臨接医科学として臨床心理学や基礎看護学なども学ぶ。また、社会福祉士国家試験受験資格取得にも対応。社会保障、児童・家庭福祉などの科目を開設
薬学部 薬学科〈6年制〉(定員数:80人)
・創製薬科学研究者育成コースでは、学部4年次終了後に大学院に進学し薬学博士を取得後、学部5年次に戻り薬剤師資格の取得を目指すPharmD-PhDコースを開設。専門的薬学知識と高い研究能力を身につけた研究者を育成する。
・先導的薬剤師育成コースでは、研究型高度医療薬剤師と研究型地域医療薬剤師に分かれ、指導的役割を担う高い能力を備えた薬剤師を育成する。
理工学部(定員数:625人)
1年次では幅広い分野に触れながら学び、2年進級時から各コースに配属。また、大学院進学を見据えた6年一貫のカリキュラムも導入。以下の8コース制。
・数理科学コース(昼間のみ)では、数学と情報科学の教育と研究を行う。
・自然科学コース(昼間のみ)では、物理化学・化学・生物科学・地球科学の理学系分野を学ぶ。
・社会基盤デザインコースでは、地球科学の理学と社会基盤を支える土木工学・建築学・防災科学を融合的に学ぶ。
・機械科学コースでは、物理・数学の理学的要素に加えて、機械工学を学ぶ。
・応用化学システムコースでは、無機化学・有機化学・物理化学などを学ぶ。
・電気電子システムコースでは、数学・物理・化学の理学と電気電子工学を学ぶ。
・知能情報コースでは、情報や知能システムの設計・開発・保守管理やICTシステムを創出できる人材を育成する。
・光システムコース(昼間のみ)では、基礎科学・機械工学・応用化学などを組織体系化し、光化学・光工学を学ぶ。
なお、夜間主コースでは、昼間コース開講時間帯での履修を可能とするフレックス履修制度を導入している。
2023年に設置した医光/医工融合プログラムでは、光工学、医学的な見識とAIなどの活用に必要な能力で地域創生に貢献する人材を育成する。
〈昼間〉理工学科 (定員数:580人)
生物資源産業学部 生物資源産業学科 (定員数:100人)
生物資源産業学科では、生物資源活用産業を創出する人材を育成する。農業を1次産業だけではなく、加工などの2次産業、サービスや販売などの3次産業までを含めた、一体化産業の可能性を広げる6次産業化を推進する。
以下の3コースがある。
・応用生命コースでは、生物資源(微生物・培養細胞)のヘルスサイエンスへの応用、製品化などによりバイオ産業の育成と経済発展への貢献を目指す。
・食料科学コースでは、栄養・健康の視点から生物資源をとらえ、食料問題の解決などによって食品産業の育成に貢献できる人材の育成を目指す。
・生物生産システムコースでは、最新バイオテクノロジーと工学による1次産業の効率化を学び、地域社会・経済の活性化に貢献する人材を育成する。