【推薦入試】横浜国立大学 経営学部　小論文過去問題と概要

課題文は、時代の流れのなかで当初の「理念」からの逸脱に逢着せざるを得なかった「公器」としての私企業の苦悩を述べた新聞記事である。

(2) 今日、われわれは地球環境を維持し、その枠内で人類の持続可能性を追求しなければならない。それゆえ、「社会の公器」としての企業に求められるのは、地球環境の維持と人類の持続可能性の追求とに向けた努力である。既存の企業はいうまでもなく、新たに起業する者も、これを「理念」として意識しないかぎり、いずれは市場からの撤退を余儀なくされるであろう。

労働力不足問題を抱えるわが国にあっても事情は変わらない。

地球環境保護に関していえば、企業は事業活動に際して生じる環境破壊リスクを最小限に抑えるべく努めなければならない。地球温暖化の元凶である、二酸化炭素の排出を抑制するための、生産工程の見直しや必要な設備投資などがその一例である。また、持続可能性の維持に不可欠な、労働力確保の問題に関しては、日本人の雇用の確保および労働環境の改善はもちろん、外国人労働者を積極的に受け入れるのであれば、待遇を改善することが必要である。たとえば、日本語教育の充実や定住許可の取得の容易化など、家族での移住や定住を可能にする条件を整え、緩和するといった対策が求められる。

このように見てくると、企業が「社会の公器」として機能するためには国家レベルでの施策を必要とすることは明らかである。たとえば、企業の設備投資に対する援助と、その見返りとしての税制の見直しといった、思い切った改革が欠かせまい。

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