【推薦入試】北九州市立大学 文学部 人間関係学科(小論文過去問題解説)

推薦入試

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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北九州市立大学 文学部 人間関係学科の小論文対策

[令和5年度 学校推薦型選抜 90分]

問題1 次の課題文を読んで、設問に答えなさい。

課題の要約文です。

現代社会において、友人関係と家族関係の意義や特性が変化しています。家族と友人の境界が曖昧になり、人々は関係を選び、感情的なつながりを重視するようになりました。友人関係が家族関係の一部の役割を引き受けることが増え、友達は過去よりも支援ネットワークでより重要な存在になっています。

友人と家族の境界は曖昧で、選択肢、強い感情的な結びつき、お互いへの情報開示などが共通の要因です。友人は家族のように感じられ、逆もまた然りです。友人関係は家族関係よりも心理的な満足感をもたらす傾向があります。友人関係は選択される関係であり、それが価値とされています。友人関係が家族関係の一部を強化する一方で、家族と友情の概念は組み合わせられて使用されることもあります。

性別や階級によって友人関係の特性が異なり、女性は男性よりも友人に感情的なサポートを求める傾向があると指摘されています。友人関係は感情の共有に基づく共同体の構成員として見なされ、家族関係と友情の間には一定の違いがあります。友人関係が家族関係に取って代わるのではなく、両者は相互に影響し合っており、友人関係は家族関係の一部を補完する役割を果たしています。

友人関係の重要性が高まり、関係の選択性が強調されることで、友情の価値はより高く評価されています。家族と友人の関係性は個人の経験や望みに影響を与え、友人関係が家族関係に追加価値を提供していることが示唆されています。友人関係の概念は家族の連帯性を補完するメタファーとして使用されており、友情は現代社会において重要な近代的な関係性として認識されています。

問1 下線部(ア)recent empirical studyの調査で明らかになったことを、課題文の内容に則して具体的に説明しなさい。

問2 下線部(イ)family as friendとは対照的に、友人が家族のように捉えられる条件について、課題文の内容に則して具体的に説明しなさい。

問3 課題文で述べられている友人のような親子関係は、子どもの成長にどのような影響をあたえるのだろうか。そのメリットとデメリットを対比させながら800文字以内で述べなさい。

ポイント

出題意図

日本文と英文からなる一連の文章を読み、社会科学的な事項に関する基礎的な読解力と論理的な思考に基づいた小論文の作成能力を把握することを本試験の主要な意図とした。
本年度の出題の意図を具体的に示すと以下の通りである。社会の変化に伴う人間関係の変容について意識することや、その変化のあり方から将来のよりよい人間関係や社会関係について構想することは本学科のめざす教育理念にもつながる。そこで本年度は、現代社会の人間関係の変容のある側面を「友情化」として概念化し批判的に検討した文献を採用した。
特に課題文として抽出した箇所は、「友情化」の一例として「家族の友人化」あるいや「友人の家族化」を取り上げている。なかでも家族関係においてますます友人としての繋がりが重要視されていること、それに対し、旧来の家族関係がやもすれば否定的に捉えられる傾向が述べられている。しかし、このような人間関係の平等思考が親密な関係性において肯定的に評価される反面、そこにはジェンダーや階層などの社会構造に由来する不平等な関係が不可視化されてしまう問題点が指摘されている。
このような内容をもとに、問1および問2では英文(原文)の適切な読解力をはかるために、下線が引かれた設問箇所の指示する内容を本文から読み取り、それを適切な日本語にて説明することが求められる。英文法や構文に関する基礎的な能力とともに、逐語的な翻訳に終始せず、より平易で自然な日本語へと置き換える工夫も必要とされる。いずれの設問も、大学入試共通テストにて外国語の能力をはかる機会のない受験生の外国語の(英語の)能力を評価するために設けた。
問3では、親子関係の「友情化」についてそのメリットとデメリットを比較しながら、子どもの成長における影響を論じることが求められている。比較の視点を導入し、かつ論理的な議論を組み立てるために、小論文対策などでありがちな自身の立場を明確にしその論拠を示すという紋切り型の論述に代わる工夫が求められる。また、メリットとデメリットを比較しながら論じながらも論旨を一貫させるために、事象の複数の面を多面的にとらえながらも、個々で取り上げる事例や論点が相互補完的な内
容を構成し、小論文全体の趣旨を損なわないようにするような論理構成上の工夫も求められる。

<北九州市立大学の公開内容からの引用>

小論文過去問題解説

問1: 最近の実証的な研究によると、友人と家族の関係において、友人が家族の役割の一部を引き受ける傾向が増していることが明らかになりました。この研究ではイギリスを対象に、個人や家族に幅広くインタビューが行われ、友情が家族内で果たす役割について調査されました。その結果、友人が過去よりもサポートネットワークでより重要な役割を果たすことが示されました。具体的には、友人と家族のカテゴリーが曖昧になり、個人は誰と交流し、義務を果たすかにおいてより選択的になっていることが観察されました。友人と家族の役割が交錯し、調査対象者が使用する言語も変化していることが、この研究で示唆されています。

問2: 「family as friend」と対照的に、「friend as family」という視点では、家族の一部のメンバーが友人のように捉えられる条件があります。具体的には、関係が義務ではなく選択肢として感じられる場合や、強い感情的な結びつきが存在する場合、家族のメンバーは友人のように見なされます。また、関係において情報の開示が行われる場合も、友人と家族の境界が曖昧になる一因です。信頼者としての役割が非常に重要であり、友情の質に対する決定要因となります。さらに、友人関係が困難を経て維持され、共同の友情の継続に対する共同のコミットメントがある場合、友人は家族の一員と見なされます。また、幼少期から友人として知り合っている場合や、友人が家族のイベントに招かれる場合も、友人が家族と同様に捉えられる条件となります。

問3: 友人のような親子関係が子どもの成長に及ぼす影響には、メリットとデメリットが存在します。

メリット:対等性と自己開示: 友人のような親子関係は、子どもに対して対等性と自己開示の機会を提供します。子どもは親に対してより率直に感情や考えを伝えることができ、これが精神的成長に寄与します。精神的な支え: 友人のような親子関係では、子どもが親から精神的なサポートを受けることができます。これはストレスや困難に対処する際に役立ち、子どものメンタルヘルスにプラスの影響を与えるでしょう。

デメリット:権力の隠蔽: 友人のような親子関係が強調される場合、家族内の権力関係や葛藤が隠される可能性があります。これにより、家族内での問題が解決されないままになるリスクが存在します。役割のぼやけ: 友人のような親子関係が強調されると、親や子どもの役割がぼやける可能性があり、家族の機能が混乱する可能性があります。

友人のような親子関係には、子どもの成長に対する肯定的な影響がある一方で、注意が必要な側面も存在します。両者をバランスよく取り入れることが重要です。

<北九州市立大学の公開内容からの引用>

北九州市立大学の所在地・アクセス

所在地アクセス
北方キャンパス
福岡県北九州市小倉南区北方4-2-1   
北九州モノレール「競馬場前(北九州市立大学前)」駅下車、徒歩約3分
ひびきのキャンパス
福岡県北九州市若松区ひびきの1-1
JR「折尾」駅からバス(約20分)、
「学研都市ひびきの」下車、徒歩2分

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北九州市立大学の入試傾向

北九州市立大学の入試傾向は、以下のような特徴があります。

  1. 学力試験: 北九州市立大学では、学力試験として記述式の問題を出題しています。一般教養や基礎学問、論理的思考能力などが評価されます。
  2. 適性試験: 北九州市立大学では、学部や学科によって異なる適性試験が実施されます。例えば、外国語、数学、英語、理科、社会科学などの試験があります。試験内容や重視される科目は学部ごとに異なる場合があります。
  3. 英語力の重視: 北九州市立大学では、多くの学部・学科で英語力の重要性が強調されています。英語の適性試験や面接によって、英語の理解力やコミュニケーション能力が評価されることがあります。

学校成績と推薦入試: 学校の成績や推薦入試によって入学を希望する場合、成績優秀者や学校の推薦を受けた個別の入試方法が用意されています。推薦入試では、学校の成績や推薦状に加えて、面接やエッセイなどが行われることがあります

北九州市立大学の募集コース

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外国語学部(定員数:265人)

英米学科 (定員数:135人)

英米学科では、1・2年次に英語集中プログラムを設け、留学に必要な語学力の育成を目指す。2年次からの専門教育では、Language and Education Program、Society and Culture Program、Global Business Programの3つのコアプログラムが導入される。専門科目の多くを英語で学ぶことによって、英語の実践力を高めると同時に、専門知識を身につける。加えて、留学などの単位化を充実させ、実践力を備えた人材を養成する。

中国学科 (定員数:50人)

中国学科では、少人数クラスと段階的・集中的な教育システムによって、中国語の修得を目指す。また、中国の文化や社会についても理解を深め、語学力、幅広い見識、そして行動力を備えた人材を育成する。3・4年次はゼミで専門について深める。

国際関係学科 (定員数:80人)

国際関係学科では、国際問題、とりわけ東アジア・北米地域の政治・外交問題に強く、英語を駆使できて、さらに中国語・朝鮮語に優れた国際人の養成を目指す。

また、国際関係領域(国際政治経済・国際機構・国際協力など)と、地域研究領域(東アジアやアメリカの政治・外交、経済など)の2科目群によって、国際人として必要な専門知識を身につけることができる。

経済学部(定員数:284人)

経済学科(定員数:142人)

経済学科では、経済理論と簿記・統計の修得を二本の柱に据え、経済学の高度な知識と応用能力を備えた、理論と実践を統合できる人材の育成を目指す。1年次には専門基本教育を徹底して行い、2年次以降は、応用経済学系と地域・産業系の2つの応用領域を設け、グローバル化・SDGsなど、時代や地域に対応したカリキュラムを設定している。

経営情報学科(定員数:142人)

経営情報学科では、経営学、会計学と情報科学とを統合した教育システムによる人材育成を図る。経営学の総合力と、会計学、情報科学の専門能力の両者を身につけることで、現実の組織や企業の戦略策定に関わることができる問題解決型の人材を養成する。

文学部(定員数:222人)

比較文化学科(定員数:142人)

比較文化学科では、文学、思想、歴史など、日本や欧米、アジアを中心とした国や地域における文化全般にわたって比較研究を行う。専門科目には、文学、芸術、メディアなどの生成や発展・変容を学ぶ文化資源領域科目と、文化の多様性を学び、異文化や他者への理解を深める文化共生領域科目がある。充実した語学教育とともに専門科目の修得を通して、国際人としての教養を身につけることができる。

人間関係学科(定員数:80人)

人間関係学科では、現代社会の諸問題を深く体系的に教育・研究し、人間と社会をトータルに理解する。心理学、社会学、社会福祉学、環境学、人類学、生涯教育学、生涯スポーツ学などの専門科目が開講されており、総合科学的な方面から学習することができる。2年次から実験、実習のほか、調査、フィールドワークなどの実践的教育が中心となる。

法学部(定員数:253人)

法律学科(定員数:177人)

法律学科では、現代社会における法律問題を解決し得る法知識と法理解(リーガルマインド)を持った人材を育成する。公務員・法曹資格者(裁判官・検察官・弁護士)など、学生のキャリアプランに応じて履修コースを選択できるので、それぞれが、必要な知識・理解を修得し得るような体系的なカリキュラムを設計している。

政策科学科(定員数:76人)

政策科学科では、地域・国家・国際レベルで生じている諸問題を発見・分析し、主体的に政策を構想・立案・実行できる「実践的能力」を養成する。そのため、4年間にわたり、コミュニケーション、ディスカッション能力など、政策能力を身につけるカリキュラムを幅広く提供している。また、少人数教育を重視し、ゼミナール(演習科目)でこれらの能力をさらに磨いていく。

地域創生学群地域創生学類(定員数:120人)

「地域の再生と創造」という時代の要請に応え、幅広い教養と地域に関する総合的な理解を身につける。カリキュラムは5つの科目群から構成されており、少人数演習のほか、福祉施設やスポーツイベントなどの現場実習がある。

地域活性化に活躍する人材を育成する地域マネジメントコース、社会福祉士やパラスポーツ指導員等の資格取得を目指すスポーツ・福祉コースの2コース制。

国際環境工学部(定員数:255人)

エネルギー循環化学科(定員数:45人)

エネルギー循環化学科では、環境問題の解決に向け、自然・環境と調和した化学技術とシステムの開発を学ぶ。

機械システム工学科(定員数:45人)

機械システム工学科では、環境・エネルギーの視点から機械工学の基礎、創造性、応用力を養い、「ものづくり」技術を通して「豊かな社会」と「持続可能な社会」を実現する方法を学ぶ。

情報システム工学科(定員数:70人)

情報システム工学科では、人間社会や環境におけるさまざまな課題について、電子・情報・通信技術の本質を捉えた解決法を提案するために、人工知能やロボット制御、画像処理、センサー技術など、最先端の情報技術を学ぶ。

建築デザイン学科(定員数:50人)

建築デザイン学科では、資源・エネルギーやエコロジー関連の研究分野と実践領域を統合し、建築学を基本に建築・地域システムと環境の共生を学ぶ。

環境生命工学科(定員数:45人)

環境生命工学科では、便利で環境にやさしい材料・製品の開発のためのバイオテクノロジー、またそれを環境・生態系に配慮し、社会で生かすためのマネジメント手法を学ぶ。

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