記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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横浜国立大学 経営学部の小論文対策
[令和5年度 学校推薦型選抜]
問題1 次の文章を読んで、以下の2つの問いに答えなさい。
課題の要約文です。
スタートアップに対する公的支援の効果に焦点が当てられており、日本の起業環境における課題が検討されています。日本の開業率が国際的に低く、特に起業志望者が減少していることが指摘され、この課題解決には起業予備軍の拡充が必要とされています。解雇規制が厳しい状況下での起業リスクの高さや、雇用の流動性向上が必要であるものの、解雇規制の緩和が難しい現実についても触れられています。
また、スタートアップの「出口」に焦点を当て、事業のやめやすさが起業のインセンティブに影響することが指摘されています。倒産手続きの煩雑性解消や、失敗による文化的・社会的重圧の軽減が、再チャレンジの促進に寄与するとされています。日本では事業の存続が成功の指標とされがちであり、資金回収手段が新規株式公開(IPO)に偏っていることが指摘され、M&Aを通じた事業売却の促進が求められています。
出典:加藤雅俊 「スタートアップ支援の課題(下) 起業に伴うリスク 軽減必須」 日本経済新聞 経済教室 2022年9月29日朝刊 29ページ 一部変更
(1) 下線部①の理由について、筆者の見解を説明して下さい。(400字以内)
(2) 今後、「日本のスタートアップは資金回収の機会としてIPOとM&Aのどちらを重視すべきか」について、ご自身の意見を述べて下さい。(400字以内)
問題2 次の文章を読んで、以下の2つの問いに答えなさい。
課題の要約文です。
経済活動は市場において行われ、競争的な市場では需要と供給の均衡を価格変動を通じて実現するメカニズムが機能している。しかし、市場において自由な取引が行われても、情報の非対称性が生じることがあり、これが資源の効率的な配分を妨げる可能性がある。逆選択と呼ばれる現象が中古車市場や保険市場などで発生することがあり、これによって市場が成り立たなくなる可能性もある。
逆選択の具体例として、中古車市場での質の違いに基づく取引が挙げられる。質の悪い車(”レモン”)が市場に増加し、結果として質の良い中古車の取引が難しくなる。同様に、保険市場でも情報不足により安全な運転者が市場から去り、保険商品の供給が制約されることがある。
このような逆選択の存在により、市場メカニズムが望ましい結果をもたらすためには情報の対称性が必要であると強調されている。逆選択が解消されない限り、市場が適切に機能し、資源が効率的に配置されることは難しいとされている。
出典:上田 和宏著 「1からの経済学」 中谷武・中村保編著
(1) 本文以外の例で、逆選択の例を具体的に 400字以内で説明しなさい。
(2) 上記(1)で取り上げた逆選択を防ぐためにはどうすればよいか、情報を持つ者が行う方法と、情報を持っていない者が行う方法について、400字以内で説明しなさい。
小論文過去問題解説
問題1
(1) 筆者は、解雇規制の厳しい日本において、賃金労働者が安定した雇用を持ちながらも、自らリスクを冒して起業することが難しいと指摘しています。解雇規制の厳格さが、雇用の流動性を低下させ、従業員が現行の雇用を離れて起業することに対するハードルを高めていると考えられます。このため、起業において生じるリスクが相対的に高まり、起業希望者の減少に繋がっていると見られます。筆者は解雇規制の緩和により雇用の流動性を高める必要性を唱えつつも、同時に国民的な議論が必要であると述べています。
(2) この問いに対する考え方は主観的であり、様々な観点からアプローチできます。まず、スタートアップが追求する経営戦略や目標によって、IPOとM&Aのどちらが適しているかを検討することが重要です。IPOは企業の独立性を保ちながら資金調達が可能であり、市場での知名度や信頼性を高める一方で、M&Aは他社との連携や統合により急速な成長が期待できる手段です。
また、業界の特性や市場の動向、資金調達の状況も考慮する必要があります。どちらの手法も利点と課題が存在するため、スタートアップは柔軟性を持って資金戦略を検討し、事業の成熟度や市場の需要に合わせた最適な選択を行うべきです。最終的には、将来的な展望や経営戦略に基づいてバランスをとりながら判断することが望ましいです。
問題2
(1) 逆選択の例を具体的に説明する際は、まず逆選択の本質を理解し、市場での情報の非対称性に焦点を当てます。逆選択は不完全な情報状態で市場が機能する際に発生しやすい現象です。例えば、商品やサービスの提供者が故意に情報を操作して消費者を欺くケースを考え、それによって市場が望ましく機能しない状況を描写します。
(2) 逆選択を防ぐ方法について考える際は、情報の対称性を確保する手段に注目します。まず、情報を持つ者が行う方法として、透明性の向上や誠実な情報提供の重要性を強調します。企業や個人は正確で誠実な情報を提供し、消費者との信頼関係を築くことが求められます。次に、情報を持っていない者が行う方法として、教育と規制に焦点を当てます。市場参加者に対して消費者教育を強調し、同時に政府や規制機関が透明性を保つための法律や規制を整備し、これを厳格に監視・施行することで市場の健全な運営を促進します。
要するに、逆選択に対処するためには、情報の透明性を重視し、市場参加者全体が信頼できる情報にアクセスできるようにする必要があります。逆選択の発生メカニズムや対策について理解し、情報の正確性や透明性の向上を促進する方法を考えることが重要です。
横浜国立大学の所在地・アクセス
所在地 | アクセス |
神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台79-8 | JR「横浜」駅西口からバスで約15分、 大学正門前下車すぐ 地下鉄「三ツ沢上町」駅下車、徒歩約16分 相鉄・東急線「羽沢横浜国大」駅下車、 徒歩約15分 |
神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台79-4 | JR「横浜」駅西口からバスで約15分、 大学正門前下車すぐ 地下鉄「三ツ沢上町」駅下車、徒歩約16分 相鉄・東急線「羽沢横浜国大」駅下車、 徒歩約15分 |
神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台79-3 | JR「横浜」駅西口からバスで約15分、 大学正門前下車すぐ 地下鉄「三ツ沢上町」駅下車、徒歩約16分 相鉄・東急線「羽沢横浜国大」駅下車、 徒歩約15分 |
神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台79-5 | JR「横浜」駅西口からバスで約15分、 大学正門前下車すぐ 地下鉄「三ツ沢上町」駅下車、徒歩約16分 相鉄・東急線「羽沢横浜国大」駅下車、 徒歩約15分 |
神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台79-2 | JR「横浜」駅西口からバスで約15分、 大学正門前下車すぐ 地下鉄「三ツ沢上町」駅下車、徒歩約16分 相鉄・東急線「羽沢横浜国大」駅下車、 徒歩約15分 |
神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台79-6 | JR「横浜」駅西口からバスで約15分、 大学正門前下車すぐ 地下鉄「三ツ沢上町」駅下車、徒歩約16分 相鉄・東急線「羽沢横浜国大」駅下車、 徒歩約15分 |
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横浜国立大学の入試傾向
横浜国立大学の入試は、科目ごとに異なる特徴があります。英語の入試は試験時間90分で、大問4題が出題されます。長文2題、会話文1題、自由英作文1題といった構成で、記述問題が中心です。特に長文の設問は内容説明が中心で難易度が高めです。時間がタイトなため、難しい問題に時間を費やすと本来解ける問題が解けなくなる可能性があります。リスニングは課されないため、共通テスト対策が有効です。
数学の入試では、文系と理系で試験時間や出題傾向が異なります。文系数学は試験時間90分で、基礎的な力が問われます。微分・積分が頻出分野であり、計算量の多い問題にも注意が必要です。理系数学は試験時間150分で、出題内容は標準的な問題が中心ですが、時間がタイトでミスのないように注意が必要です。微分・積分・ベクトルの領域に重点を置いた対策が求められます。
物理科目では、2科目で150分の試験が行われます。大問3題で、力学、電磁気、熱力学・波・原子のいずれかが出題されます。幅広い分野からの出題があり、偏った学習は避けるべきです。難易度は標準的で、確実な知識が求められます。
化学も2科目で150分の試験があり、基本から標準レベルの問題が出題されます。ミスによる失点が大きく響くため、注意深い回答が必要です。有機化学・無機化学・理論化学から例年1題ずつの出題となっています。
生物の入試は150分で、大問4題が出題されます。知識問題が多く、高い読解力が求められます。問題文の難度が高めで、考察問題も多いです。ミスを避け、正確な知識を持つことが重要です。
総合型選抜では、一次試験が自己推薦書の提出、二次試験が面接、最終試験が大学入学共通テストの成績となります。学部ごとに配属される学科が異なるため、事前に学科の調査が必要です。
入試対策としては、科目ごとに適切な対策を行い、時間配分に気を付けることが重要です。ミスを減らすためには、問題解答の正確性を重視したトレーニングが必要です。また、共通テストの対策もしっかりと行い、バランスの取れた準備を心がけましょう。
横浜国立大学の募集コース
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教育学部 学校教員養成課程(定員数:200人)
小学校での基本的な教育力を身につけた小学校教員の養成を中心に、教育学・心理学、特別支援教育、中・高等学校の各教科など、領域ごとにより高度な専門性も兼ね備えた教員を養成する。
入学後、さまざまな領域の内容に触れながら専門とする領域を選択し、1年次の秋学期から以下のコース・専門領域に分かれて少人数の環境で学び、高度な専門性を身につける。
言語・文化・社会系教育コース
言語・文化・社会系教育コースの専門領域は国語、社会、英語、日本語教育、教育学。
自然・生活系教育コース
自然・生活系教育コースの専門領域は数学、理科、技術、家庭科。
芸術・身体・発達支援系教育コース
芸術・身体・発達支援系教育コースの専門領域は音楽、美術、保健体育、心理学、特別支援教育。
経済学部 経済学科(定員数:258人)
経済学の理論と現実をバランスよく教育するとともに、貿易港横浜を背景とした国際色豊かな教育を行う。経済学の専門性に加えて、歴史、制度、政治的背景も含む外国経済事情の理解、実践的な英語力、統計的・数理的分析能力を備えた人材を育成する。
専門教育を初級と中級レベルに分け、中級レベルはグローバル経済、現代日本経済、金融貿易分析、経済数量分析、法と経済社会の5分野で構成している。グローバル経済分野では、経済学の視点からアジアと世界各国の多様な経済・社会・制度の特徴を理解し、各国・地域がどのような相互依存関係にあるかを学ぶ。現代日本経済分野では、財政、労働、社会福祉、地域政策など日本経済を取り巻く経済・社会問題を理論的かつ政策的な視点から学ぶ。金融貿易分析分野では、国際金融、国際貿易などの科目を通じて、日本と世界の経済関係を金融と貿易の視点から学ぶ。経済数量分析分野では、数理統計や計量経済学などの科目を通じて、日本経済が直面する政策課題を統計的・数量的に分析する能力を身につける。法と経済社会分野では、経済に密接に関係する法律科目(経済法、労働法、商法など)を体系的に学ぶ。
経営学部 経営学科(定員数:297人)
企業をはじめとする組織のさまざまな活動領域、職能を横断的にとらえ、異なる活動間の関係を最適化できる能力、グローバルに展開する事業活動、国際的競争が進展する環境に適応できる能力、経済的価値および社会的価値を創造・普及させることによって社会の変革を実行できる能力を育成する。経営学に関する総合的な知識を段階的に修得し、それらの知識を融合できる分野横断的な学修を行う。
経営学の3つの領域であるマネジメント分野、アカウンティング分野、マネジメント・サイエンス分野を基礎から段階的、分野横断的に学ぶ。マネジメント分野では、企業をはじめとする組織の運営、経営戦略の立案、人的資源の管理、経営を取り巻く環境の分析といった企業経営全般について学ぶ。アカウンティング分野では、企業をはじめとする組織の経営活動を、貨幣学で識別、測定し、伝達する、万国共通のビジネスの言語と呼ばれる会計を幅広く学ぶ。マネジメント・サイエンス分野では、企業をはじめとする組織を数理的、計量的な手法を用いて分析し、合理的な意思決定を支援するための考え方や具体的なツールを学ぶ。
理工学部(定員数:659人)
イノベーションを創出する「未来の創造的人材」の育成のため、早期の教育課程で学生が理工両方の素養を身につけ、その後専門教育を受けられるカリキュラムを編成している。4年間の教育課程修了後には、工学的センスを身につけた理学系学者、あるいは理学的センスを持った技術者・工学系研究者として、さらなる研さんを積むことに喜びを覚えられる人材を育成する。
機械・材料・海洋系学科(定員数:185人)
機械・材料・海洋系学科では、快適で安全な現代社会の根幹を支える機械や材料、海洋空間の利用と移動に関する研究・設計・生産に携わる人材を育成。以下の3教育プログラムがある。
機械工学教育プログラム
機械工学教育プログラムでは、機械部品単体から、機械を組み合わせて複雑な機能を発揮する機械システムを研究対象としている。
材料工学教育プログラム
材料工学教育プログラムでは、金属、半導体などの材料を体系的に学び、機能材料や構造材料の開発を担う技術者や研究者を育成する。
海洋空間のシステムデザイン教育プログラム
海洋空間のシステムデザイン教育プログラムでは、環境と調和した巨大で複雑な海洋構造物や船舶、航空機を設計する技術者、人と物資のよりよい流れをつくる研究者を育成。
化学・生命系学科(定員数:187人)
化学・生命系学科では、人と生物にとって持続的な社会を構築できる未来志向型の人材の育成を目指した教育を展開。以下の3教育プログラムがある。
化学教育プログラム
化学教育プログラムでは、理学と工学が融合し連続的につながった新しい化学を創造する力を身につけるとともに、新たな化学的価値観と素養を培う。
化学応用教育プログラム
化学応用教育プログラムでは、化学や物質、化学プロセス、材料、安全、環境について学び、これらを実践的に応用できる能力を身につける。
バイオ教育プログラム
バイオ教育プログラムでは、生命現象を分子レベルから細胞・個体レベルで解明し、社会の要請に基づいて知見を応用するための素地を養うとともに、最新の実践的なバイオを研究する。
数物・電子情報系学科(定員数:287人)
数物・電子情報系学科では、数学、物理学の基礎教育を充実させ、さらに情報、通信、電気・電子、物理の各工学分野と数理科学の専門教育を行う。以下の4教育プログラムがある。
数理科学教育プログラム
数理科学教育プログラムでは、現代数学をベースに数理科学を学ぶとともに、関連分野への応用や展開を探究。
物理工学教育プログラム
物理工学教育プログラムでは、現代物理学を学び、革新的な技術開発の現場や国際舞台で活躍できる人材の育成を目指す。
電子情報システム教育プログラム
電子情報システム教育プログラムでは、電気・電子・通信・情報の基礎から応用まで広範囲な分野を学ぶ。
情報工学教育プログラム
情報工学教育プログラムでは、情報工学の基礎から応用までを深く学び、情報システムを創造できる力を培う。
都市科学部(定員数:248人)
都市を担う人間と支える文化、社会を対象とし、都市を形づくる建築物および都市基盤施設の計画や設計および運用、維持にかかる課題とともに、広い意味での自然環境、社会環境を対象に、それらにまつわるリスクとの共生に関わる課題を科学的な分析を通して取り組む。
都市社会共生学科(定員数:74人)
都市社会共生学科では、現代社会が抱える複合的な問題を解決するために、さまざまなフィールドを結びつけ社会や文化に対する批判的かつ創造的思考を発揮できる知識を育む。
建築学科(定員数:70人)
建築学科では、建築学を中心に、人文社会科学の視点から工学まで、文理にまたがる幅広い知識を身につける。人間生活と生態系とのバランスのとれた建築・都市・環境を論理的に構想できる人材や、理論の裏づけのもとで、創造的な建築や都市環境・まちづくりを力強く実践できる人材を育成する。
都市基盤学科(定員数:48人)
都市基盤学科では、安全安心で高品質な都市、地球環境・社会的公平性・経済的効率性のバランスある持続的発展、国際的な技術協力支援、今日的グローバル課題の解決などの実現に主導的に貢献できる人材を育成する。
環境リスク共生学科(定員数:56人)
環境リスク共生学科では、自然環境・社会環境にまたがる人間と自然の環境システムに関する俯瞰的な理解のもと、複合化する現代のリスクのメカニズムと分析手法、マネジメントを学び、リスクと上手につき合うリスク共生のアプローチを身につける。