AIに職を奪われる時代、大学で学ぶべきは「専門知識」ではない——27年の指導が導いた結論

AIに職を奪われる時代、大学で学ぶべきは「専門知識」ではない——27年の指導が導いた結論 五十嵐校長コラム

「先生、うちの子が『どうせAIに仕事を奪われるんだから、大学なんて意味ない』って言い出したんです。どう説得すればいいんでしょうか」

先日、ある高校2年生の保護者様から、こんな相談をいただきました。電話口の声は、明らかに動揺していました。この言葉を聞いたとき、私の胸の奥で、いつものように熱い何かが燃え上がりました。悔しさと、そして深い危機感です。

なぜなら、この不安は今や日本中の家庭に広がっているからです。ChatGPTが登場して以来、「AIに仕事を奪われる」という言葉は、まるで呪いのように受験生と保護者を縛りつけています。「弁護士も、医者も、プログラマーも、いずれAIに置き換わる。だったら何を学べばいいのか」——この問いに、多くの大人が答えられずにいます。

しかし、スカイ予備校で27年以上、累計1万人を超える受験生を見続けてきた私だからこそ断言できます。この不安は、問いの立て方そのものが間違っているのです。

「AIに奪われない職業を選ぶ」——これは幻想です。奪われない職業などありません。本当に問うべきは、「AIを使いこなす人間になるために、大学で何を鍛えるか」なのです。今日は、この核心をお話しします。

なぜ「AIに職を奪われる不安」に多くの受験生が飲み込まれるのか

情報が多すぎる時代に、思考が止まっている

私が受験指導を始めた27年前、生徒たちの悩みは実にシンプルでした。「志望校に受かるか」「この科目が苦手だ」——それだけでした。ところが今、生徒たちは受験勉強を始める前から、「そもそも大学に行く意味があるのか」という巨大な問いに押しつぶされています。

ある調査では、高校生の実に4人に3人が「将来AIに仕事を奪われる不安を感じたことがある」と回答しています。これは、私が現場で肌で感じている数字とも一致します。相談に来る受験生の口から、この言葉が出ない年はもうありません。

しかし、ここに本質的な落とし穴があります。彼らは「不安を感じている」だけで、「調べて考えている」わけではないのです。SNSやニュースの断片的な情報を浴び続け、恐怖だけが増幅していく。思考が完全に止まっているのです。

「正解のある勉強」しかしてこなかった代償

なぜ思考が止まるのか。私は27年見てきて確信しています。それは、日本の教育が「正解のある問題を速く解く訓練」に偏りすぎてきたからです。

AIが最も得意なのは、まさにこの「正解のある問題を速く解く」ことです。つまり、これまでの学校教育が最重視してきた能力こそ、真っ先にAIに置き換わる能力なのです。ここに気づかず、「良い大学に入って、良い資格を取れば安泰」という古い地図を握りしめている限り、不安は消えません。

本当の原因は「問いを立てる力」の欠如

私が伝えたい本質はこうです。AIに職を奪われるのではありません。「AIに任せられる仕事しかできない人間」が淘汰されるだけなのです。

AIは答えを出すことはできても、「何を問うべきか」を決めることはできません。良い問いを立てられる人間だけが、AIを道具として従える側に立てる。ところが日本の受験生の多くは、問いを与えられることに慣れきって、自分で問いを立てる筋肉を一度も使ったことがない。これこそが、不安の正体なのです。

同じ「AI不安」から、真逆の結果になった2人の生徒

不安に飲み込まれ、勉強の手が止まった彼

数年前、スカイ予備校に一人の高校3年生の男の子がいました。もともと成績は悪くない。むしろ理系科目は得意で、判定もB判定まで出ていました。ところが夏の終わり頃から、彼の様子がおかしくなったのです。

面談で理由を聞くと、彼はこう言いました。「先生、プログラマーになりたかったけど、AIがコードを書く時代でしょう。今から勉強しても意味あるんですか」。目に光がありませんでした。彼は、YouTubeで「エンジニア不要論」の動画を何十本も見て、すっかり未来を悲観していたのです。

私は彼に「では、AIに何を命令すればいいか、君は分かるのか」と問いました。彼は答えられませんでした。彼が飲み込まれていたのは、AIそのものではなく、「考えることをやめる言い訳」だったのです。結局、彼はモチベーションを取り戻せないまま、勉強量が落ち、志望校を大きく下げる結果になりました。今でも私の悔いとして残っています。

不安を「問い」に変えた、隣のクラスの女の子

一方、同じ年、まったく同じ不安を口にしていた女の子がいました。彼女も最初は「AIに仕事を奪われるなら勉強しても無駄」と言っていました。しかし彼女は違う道を選びました。

私は彼女にこう言いました。「その不安を、志望理由書のテーマにしてみなさい。AIが人間から奪うものと、奪えないものは何か、自分で調べて書いてみなさい」と。彼女は本気で調べ始めました。医療の現場、教育の現場、AIが導入された職場を取材まがいに調べ、レポートにまとめたのです。

その過程で彼女は気づきました。AIが得意なのは分析と生成であり、人の痛みに寄り添うこと、複雑な利害を調整すること、新しい問いを社会に投げかけることは、依然として人間の領域だと。彼女はその気づきをもとに、公共政策系の学部に照準を定め、総合型選抜で見事に第一志望に合格しました。

2人を分けたのは頭の良さではない

この2人を分けたのは、才能ではありません。断言します。分けたのは、「不安を思考停止の言い訳にするか、問いの出発点にするか」という一点だけでした。

同じ情報、同じ不安、同じ環境。それでも結果は真逆になる。これが受験の、いや人生の残酷であり、同時に希望でもあります。あなたのお子さんも、今この分岐点に立っているのです。

保護者が今すぐやめるべきこと、始めるべきこと

「安定した資格を取りなさい」が子どもを縛る

保護者様に、あえて厳しいことを申し上げます。良かれと思って「安定した職業に就ける学部にしなさい」「潰しの効く資格を取りなさい」と言っていませんか。この言葉こそ、今の時代、お子さんの可能性を最も狭める呪いになりかねません。

なぜなら、「安定」の定義そのものが崩れているからです。かつて安定の代名詞だった職業ほど、実は定型的な業務が多く、AIの影響を受けやすい。親世代の成功体験の地図で、子世代の未来を測ってはいけないのです。

不安を煽らず、一緒に問いを立てる

ではどうすればいいのか。お子さんが「AIで仕事がなくなる」と言ったとき、「そんなこと心配するな」と打ち消すのも、「だから勉強しなさい」と叱るのも間違いです。どちらも子どもの思考を止めます。

今すぐできる具体的なことを一つだけお伝えします。夕食の席で、お子さんにこう聞いてみてください。「じゃあ、AIにできなくて、人間にしかできないことって何だと思う?」と。答えを求めるのではありません。一緒に考える姿勢を見せることが、子どもの「問いを立てる筋肉」を育てる第一歩なのです。私が見てきた伸びる家庭は、例外なく食卓での対話が豊かでした。

スカイメソッドが実践する「AI時代を勝ち抜く学び方」

1. 志望理由を「問い」から設計する

スカイ予備校では、志望理由を「なりたい職業」からではなく、「自分が解きたい社会の問い」から設計させます。職業は時代とともに消えても、問いは残るからです。先ほどの女の子のように、自分の不安すら問いに変換する訓練を徹底します。

2. AIを「敵」ではなく「壁打ち相手」として使う

私たちは生徒にAIの使用を禁止しません。むしろ、小論文や志望理由書の推敲でAIを徹底的に使い倒させます。ただし、AIに書かせるのではなく、AIに反論させ、突っ込ませ、自分の思考を鍛える壁打ち相手として使うのです。AIを従える側に立つ体験こそが、最大の自信になります。

3. 「答えのない問い」に向き合う対話授業

スカイメソッドの核心は、正解のない問いを生徒同士、そして私と徹底的に議論させる対話型授業です。ここで鍛えられるのは、暗記でも計算でもありません。自分の頭で考え、言葉にし、他者と調整する力——AIが最も苦手とする、そして人間の最後の砦となる力です。

AIに職を奪われる時代に大学で学ぶべきは、消えゆく専門知識ではありません。どんな時代が来ても自分で問いを立て、道具を従え、人と協働できる「思考の型」です。私、五十嵐は、27年間その型を一人ひとりに叩き込んできました。お子さんの不安は、正しく導けば最強の武器になります。

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27年の指導現場から見えた「AI時代に伸びる学生」の共通点

正解を早く出す子より「問いを立てられる子」が生き残る

私がスカイ予備校で指導を始めた27年前、優秀とされる生徒は「正解を速く正確に出せる子」でした。しかし時代は変わりました。計算や暗記、要約といった作業は、もはやAIが数秒でこなします。数年前、ある生徒が「先生、なぜ日本の高校は文系と理系を分けるんですか?」と授業中に質問してきました。私はその場で答えられませんでした。彼は結局、志望理由書に「学問の分断」というテーマを掲げて難関大の総合型選抜に合格しました。答えを覚える力ではなく、当たり前を疑い問いを立てる力こそ、AIに代替されない最大の武器なのだと、その子から私が教わったのです。

専門性と「越境力」を掛け合わせる学び方

大学で一つの専門を深く学ぶことは今も大切です。しかし私が卒業生を追跡して痛感するのは、活躍している教え子ほど「専門×別分野」の掛け算を持っているという事実です。たとえば農学を学びながらプログラミングを独学した女子生徒は、今や農業データ解析の分野で引く手あまたです。AIは一つの分野の知識を出力できても、二つの異なる領域を橋渡しする発想は苦手です。大学選びでは「学部名」だけで決めず、副専攻や他学部履修の自由度、留学制度まで確認してほしい。越境できる環境こそが、これからの4年間の価値を大きく左右します。

迷っている今こそ、正しい一歩を踏み出すとき

情報が多すぎる時代の「進路の決め方」

ネットには進路情報があふれ、かえって何を信じればいいか分からない——そんな相談を毎年数百件受けます。大切なのは、情報の量ではなく「自分に合った判断軸」を持つことです。私は面談で必ず、偏差値ではなく「10年後にどう働いていたいか」から逆算する話をします。軸さえ定まれば、AI時代でも進むべき道は驚くほど明確になります。

一人で悩まず、まず相談してほしい

27年間、私は数え切れない生徒の「進路の分かれ道」に立ち会ってきました。どんな悩みも、言葉にして誰かに話すことで整理されていきます。AIに職を奪われる時代だからこそ、あなた自身の強みと問いを一緒に見つけましょう。下のLINEから、まずは気軽に無料相談へお越しください。あなたの一歩を、私が全力で支えます。

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