高校生がどのような学生生活をしてきたのかを評価する一つの基準である評定平均。指定校推薦でも公募推薦でも一定の評定平均を出願条件と定めることが多くなっています。
では実際に必要とされる評定平均はどのくらいなのでしょうか。そしてもし、評定平均が3以下など、あまり高くない場合はどうしたら良いのでしょうか。
今回の記事では、大学推薦の評定の仕組みは? 指定校推薦と公募推薦で必要とされる評定平均はどのくらい? 評定平均が3以下の時はどうしたらいい? といったテーマで解説していきます。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
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大学推薦の評定って?
まずは大学推薦の評定の基本について確認していきましょう。
評定の仕組み
ここで言う「評定」とは学校の成績のことを指します。学校の成績である「評定」の「平均」を求めた数値が「評定平均」となるのです。大学推薦の評定では5段階評価が採用されています。
評定は基本的には定期考査の点数をベースにして決まりますが、定期考査の点数さえ良ければ評定が高くなるわけではありません。
2022年度から高校で実施される学習指導要領では、授業において3観点といわれる「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力など」「学びに向かう力、人間性など」を育成することを目標としています。よって、評定を決める時にもこの3つの観点が見られることになるでしょう。
毎日の授業の中でも、3観点の習得をアピールできるように心がけましょう。
具体的には、授業態度・提出物・小テストへの取り組みが大事になります。
評定の算出方法と期間
では、具体的にどのように評定を算出するのか見ていきましょう。
評定平均の算出方法は、高校1年生から高校3年生1学期までに履修した全科目の評定(5段階評価)の平均です。
計算式としては、高校1年生から高校3年生までの全科目の評定合計÷全科目数となります。
学校によっては10段階やそれ以上の大きな数での評価となっている場合もあるでしょう。その場合は5段階評定に換算します。割り切れないときは、小数点以下第2位で四捨五入することになっています。
ちなみに、評定をAからEの5段階に換算した「学習成績概評」という指標もあります。大学推薦の募集要項などで用いられることも多くなっています。
- 5.0 〜 4.3 =A
- 4.2 〜 3.5 =B
- 3.4 〜 2.7 =C
- 2.6 〜 1.9 =D
- 1.8 以下 =E
出典:文部科学省「令和3年度大学入学者選抜実施要項」
全科目が評定平均の対象となります。体育などの副教科も、定期考査ではしっかり点数をとるように努めましょう。
必要とされる評定平均はどのくらい?
評定平均の算出方法についてはお分かりいただけたでしょうか。ここからは、大学推薦で必要とされる評定平均は、実際のところどれくらいなのかを見ていきましょう。
指定校推薦の評定平均
当然のことながら、通っている高校が指定校であっても、学校から推薦をもらえなければ、出願することはできません。それぞれの指定校に割り当てられた定員数は、数名程度とかなり狭き門であるのが一般的です。
各大学の指定校推薦における評定平均の出願条件は、低くても3.0以上であることが多く、上位の大学では4.0以上が求められます。
校内ではその条件を満たしている生徒の中から選考が行われるわけですから、理想としては、4.5以上などの高い評定平均をとっていることが望ましいということになります。
公募推薦の評定平均
公募推薦入試とは、大学側の出願条件を満たし、かつ高校から推薦をもらえれば、誰でも受験できる推薦入試です。評定平均は大学側から出願条件として指定されていることが多いです。
各大学の学部学科によって異なりますが、全科目で4.0以上をとっていれば、ほぼすべての大学に出願できると言えそうです。
ただし、中には「全体の評定平均が4.0以上で、英語は4.3以上必要」というように、全体に加えて特定の教科の評定平均を指定する大学もあるので、注意が必要です。
他の受験生より明らかに評定平均が低いと不利になる可能性はありますが、公募推薦では通常は指定校推薦ほど評定平均が重要視されることはありません。合否を左右するのは、むしろ書類審査や二次試験での得点です。
評定平均が3以下で大学推薦は可能?
指定校推薦ではかなり高い評定が求められ、公募推薦でも出願条件として一定以上の評定が必要であることがわかりました。
では、評定平均が3以下の場合はどうでしょうか。大学推薦は可能なのでしょうか。
評定平均が3以下でも推薦で受験できる大学はたくさんあります。2022年度の募集要項をもとに、東京都内で受験可能な大学を一部挙げていきましょう。
- 嘉悦大学 経営経済学部 全体3.0以上、または英語・数学のいずれかが3.5以上
- 恵泉女学園大学 人文学部、人間社会学部 全体3.0以上、または1教科が4.0以上
- 産業能率大学 情報マネジメント学部 活動内容が評価される者は3.0未満でも出願可
- 白百合女子大学 文学部国語国文科 国語3.0
- 白百合女子大学 文学部英語英文学科 全体3.0以上、かつ英語3.3以上
- ※他の学科もあり
- 大正大学 社会共生学部、地域創生学部、表現学部、心理社会学部、文学部、仏教学部
- ※公募制:3.0以上
- ※探究活動・課外活動型:3.2以上で探究活動・課外活動で顕著な活動の者
- 大東文化大学 国際関係学部、スポーツ健康科学部 3.0
- 玉川大学 工学部 3.0
- ヤマザキ動物看護大学 動物看護学部 3.0
- 東京家政学院大学 現代生活学部 3.0
- 東京工芸大学 工学部 3.0
- 東洋大学 文学部第2部、経営学部第2部、法学部第2部、社会学部第2部
- ※経営学部3.5、その他3.0
- 東洋学園大学 グローバル・コミュニケーション学部、現代経営学部、人間科学部 3.0
- 日本大学 芸術学部写真学科 3.0
- 日本大学 工学部 3.0
- 日本文化大学 法学部 3.0
- 文京学院大学 経営学部、人間学部 3.0
他の都道府県にも、評定平均3以下で推薦受験できる大学はたくさんあります。
評定平均が低い時はどうしたらいい?
評定平均3以下でも推薦で受験できる大学は多いことがわかりました。とは言え、やはり一定の評定平均を受験資格の1つとして設けている大学はあるので、なるべく高い評定平均を取っていた方がいいのも事実です。
では、あまり高い評定を取ることが出来なかった人は推薦入試を諦めた方が良いのでしょうか。
必ずしもそうではありません。評定が低くても受験できる大学はあります。評定を考慮しない大学も存在するのです。
例えば、慶應義塾大学法学部FIT入試のA方式、慶應SFCの夏AO入試は、受験資格に評定が含まれていません。
他には、受験資格に評定を含めない代わりに、語学資格の保有を受験資格としている大学もあります。青山学院大学文学部英米学科の自己推薦入試では、実用英語技能検定準1級以上の英語力を証明する書類を提出する必要があります。
明治大学政治経済学部のグローバル入試では、TOEFL iBT 68点以上の英語力を示す書類もしくはドイツ語、フランス語、中国語の語学試験の結果を証明する書類を提出するよう求めています。
推薦入試の出願資格として、必ずしも評定が含まれるわけではありません。
評定が低い時は、評定以外で自分の強みを活かせるような大学を探してみましょう。
まとめ
今回の記事では、大学推薦の評定の仕組みは? 指定校推薦と公募推薦で必要とされる評定平均はどのくらい? 評定平均が3以下の時はどうしたらいい? といったテーマで解説してきました。
内容をおさらいしておきましょう。
評定平均は、高校1年生から3年生の1学期までという長期間の成績から算出されるものであり、高い評定を取るのは簡単なことではありません。
しかしだからこそ、大学側は受験生がどれだけ真剣に勉強に取り組んできたのかを測る指標として、評定平均を見るのです。1年生のうちからコツコツと勉強に取り組み、受験時の志望校の選択肢を広げておきたいですね。
一方で、思うような評定平均が取れていなかった場合は、評定を考慮しない大学・学部もありますから、そのような推薦入試も視野に入れて、挑戦できる大学を探してみましょう。