これから小論文対策を始めようという人や、あるいはすでに何度か小論文を書いたことがあるという人でも、何を書けば高得点が取れるのか、逆に何を書くと減点されてしまうのか、いま一つはっきりわからないということがありませんか。
小論文の採点基準は大学によってまちまちなのではないかと思われがちですが、実は共通した採点基準というものがあります。
今回は、小論文の採点の仕組み、小論文を書く上でのポイント、小論文で字数が足りない時の対処法を解説していきます。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
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小論文の採点の仕組みは?
まずは、小論文の採点の仕組みについて見ていきましょう。
採点は数名で行って平均点で評価する
小論文の採点は、数名の試験官によって行われます。これは一人の試験官による意見の偏りを防ぐためです。小論文の点数は、それぞれの試験官がつけた点数を平均したものとなるのです。
小論文の採点項目は?
小論文は、採点項目によって加点されたり減点されたりして、最終的な点数が決まります。試験官が重視する採点項目を押さえて、点数を積み上げましょう。
文字数は適切か
指示された文字数を満たしているかどうかは、必ずチェックされる項目です。
「◯◯字以内で書きなさい」という場合には、できれば90%以上書くのが望ましく、少なくとも80%以上書くのが原則です。80%以下の場合は大幅な減点となり、半分以下の場合は0点となることが多いでしょう。逆に1字でもオーバーした場合も0点となります。
「◯◯字以上、△△字以内で書きなさい」という場合は、必ずその範囲内で書かなければいけません。1字不足しても1字オーバーしても0点となる可能性があります。
文体が「だ・である調」で統一されているか
小論文は「だ・である調」で書きます。「です・ます調」で書かれている場合や、「だ・である調」と「です・ます調」が混在しているような場合は、減点対象となります。
話し言葉、ら抜き言葉、略語、流行語、漢字間違い、誤字・脱字はNG
正しくない表現や適切でない言葉遣いは減点となります。
話し言葉やら抜き言葉は幼い印象を与え、悪印象です。略語や流行語についても同様です。新聞を読んだりアナウンサーの言葉を参考にしたりして、小論文にふさわしい言葉を身につけましょう。
漢字の間違いや誤字・脱字は、せっかく良い内容を書いていても減点対象になってしまい、非常にもったいないです。間違った漢字や言葉を使うくらいなら、別の表現を探しましょう。ケアレスミスによる誤字・脱字はもっともったいないですので、書き上げたら丁寧に見直しを行いましょう。
判読不能な汚い字・薄すぎる字は大幅減点の可能性あり
乱雑な字で書かれた小論文だと、不真面目な態度であると判断されかねません。できるだけ丁寧な字を書きましょう。
字の濃さも軽んじてはいけない要素です。数名の採点者に配布するため、回答用紙はコピーされます。薄すぎる字だと読むことができません。わざわざ原本を見て確認してもらえるとは限らず、採点以前の問題となってしまいます。HB、B、2Bの鉛筆を使って、濃く大きな字で丁寧に書きましょう。
主語と述語にずれはないか
主語と述語がずれている文というのは、例えば次のような文のことです。
「私が考えるのは、……と考える」「次に起こったのは、……が起こった」
これらの文に、違和感をもつことは出来ましたか。正しくは、「私が考えるのは、……ということである」「次に起こったのは、……ということだった」ですね。
このような間違いがいくつもあると、国語力がないと判断され、減点となってしまいます。
長すぎる文は読みにくい
長すぎる文はダラダラした印象になり、読む人の頭にも内容が入りにくくなります。前述した主語と述語のズレも起きやすくなります。これらは減点対象です。
小論文では短い文を重ねていくのが適切な書き方です。一文の長さは60字以内におさめましょう。
原稿用紙の使い方は正しいか
書き出しは1マス空ける、行末の句読点の処理、「っ、ゃ、ゅ、ょ」は1マス使うなど、原稿用紙に書くときの基本ルールが守られているかも採点項目となります。よく確認しておきましょう。
設問を理解しているか
設問を理解しているかどうかは、採点において非常に重視される項目の一つです。
例えば、「課題文に対して反対の立場で論じなさい」と言われているのに、回答内容が反対の立場になっていないときなどは、大幅に減点されてしまいます。
参考までに、よく見られる設問のパターンを記載しておきます。
- 文章の内容を要約するもの
- 図やグラフから読み取れることを記述するもの
- 筆者の意見について記述するもの
- 筆者の意見をふまえた上で、自分の意見を述べるもの
自分の意見を明確に一貫して主張できているか
小論文とは、ある問題に対して自分はイエスなのかノーなのかを答えるものです。
何が言いたいのかわからない文章、一般論なのか自分の意見なのかはっきりしない文章、論理の妥当性に欠ける暴論などは大幅減点となります。
段落分けは適切か
小論文では、明確な役割を持たせた段落分けを行い、論理的に主張を展開する必要があります。書きやすくておすすめの構成は、序論・本論・結論の三部構成です。採点では、各段落の役割が不明瞭な場合、大幅減点となる恐れがあります。
論理性・客観性はあるか
意見や主張の根拠や理由が示されているかどうかによって、論理性や客観性のある小論文となっているかどうかが判断されます。
主張を裏付けする客観的な事実やデータ、または考えられる反論などが盛り込まれていない場合は大幅な減点となります。
受験する学部の基礎的な教養があるか
その学部を志望するなら知っていて当然と考えられる基礎知識や一般常識がないと推察されるような文章は、減点対象となります。
何度も書いて添削を受け、本番までに弱点を潰していきましょう。
小論文を書く上でのポイントは?
試験官がどこに注目して採点をおこなっているか、お分かりいただけたかと思います。ここからは、さらに気をつけたいポイントについて説明していきます。
極端な意見は避けて
まず、基礎知識を身につける段階から意識しておきたい点としては、あまりにも極端な意見や常識から外れるような意見を小論文でぶつけるのは危険であるということです。
先ほど解説した通り、採点は数名の試験官によって行われます。一般的に妥当と考えられ理解を得られるような内容にして、全員から高評価を得られるように心がけましょう。
字数にはこだわって
字数は数少ない客観的な採点項目であり、字数不足やオーバーは大幅減点にもつながる項目です。字数はできるだけ指示されたギリギリのところを狙って、きっちりまとめ上げましょう。
見直しでケアレスミスをゼロに
うっかり書き間違いをして減点されるなど、悔しすぎますよね。小論文では、必ず5〜10分見直しの時間を確保しましょう。
小論文で字数が足りない時の対処法は?
最後に、字数についてもう少し詳しく説明していきます。
まず何を書くか決める構想の段階で、どのくらいの字数になりそうか予測を立てましょう。何本か書いていくうちに、書こうとしているアイディアを文章にしたらどのくらいの量になりそうか、見当がつくようになります。
しかしそれでも、書いてみたら字数が足りなかったということがあるかもしれません。そのような時は、具体例や体験談のボリュームを増やし、字数を増やしましょう。
やってはいけないのは、字数を増やそうとして結論をだらだらと長く書くことです!
何を主張したかったのかわからなくなり、それまでの論理的に組み上げてきた構成が水の泡になってしまいます。
まとめ
今回は、小論文の採点の仕組み、小論文を書く上でのポイント、小論文で字数が足りない時の対処法について解説してきました。
小論文の書き方については、他にもたくさん記事を載せていますので、ぜひ参考にしてみてください。