【推薦入試】北九州市立大学 経済学部(小論文過去問題解説)

推薦入試

記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)

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北九州市立大学 経済学部の小論文対策

[令和5年度 学校推薦型選抜 90分]

問題 次の文章を読んで、後の設問に答えなさい。

課題の要約文です。


日本では、人手不足の問題があり、女性の社会進出と移民受け入れがその解決策として提案されています。米国の研究によれば、単純労働者としての移民が増えると、高賃金の女性の労働時間が増加し、特に高賃金層で家事代行サービスの利用が増えました。しかし、この影響は限定的で、多くの女性には及びませんでした。また、女性が働くようになったことで男性の賃金が低下し、所得格差が広がる可能性があることも指摘されています。女性の社会進出を支援する政策には様々な側面があることが示唆されています。

設問1 コルテスとテサーダの研究によると、単純労働者である移民が増えることによって、労働時間が増加する傾向にあるのはどのような特徴を持つ女性か。250字以内で具体的に説明しなさい。

設問2 アセモグルらの研究において、女性が働くようになったことで、高卒男性と大卒男性の間の所得格差が拡大したのはなぜか。150字以内で説明しなさい。

設問3 本文をふまえ、日本において単純労働者である移民の受け入れがもたらす影響はどのようなものか、あなたの考えを説明しなさい。そのうえで、その影響の望ましい点と望ましくない点の両方について、あなたの意見を400字以内で述べなさい。

出典:友原章典著『移民の経済学―雇用、経済成長から治安まで、日本は変わるか』から一部を抜粋

ポイント

出題意図

推薦入試小論文では、友原章典著『移民の経済学―雇用、経済成長から治安まで、日本は変わるか』から一部を抜粋して課題文としました。この課題文は、既存の研究結果を紹介しながら、単純労働者である移民が増えると女性の社会進出にどのような影響を与えるのか、また女性の社会進出が労働市場にどのような影響を与えるのかについて論じている箇所です。読解するためには数量的な分析結果からの考察を論理的に解釈する必要があります。設問1および設問2は、課題文の内容を十分に理解したうえで、制限された字数内で簡潔に要約する力を試す設問です。課題文の中で展開されている論理を理解することが求められます。設問3は、課題文の内容を踏まえたうえで、自身の考えを文章で論理的に表現する力を試す設問です。

<北九州市立大学の公開内容からの引用>

小論文過去問題解説

設問1 この設問に対して適切に解答するためには、本文中で説明される、単純労働者である移民が増
えることによって労働時間が増える女性の3つの特徴、すなわち、女性の賃金が高い、長時間労働が一般的である職業に就いている、教育水準が高い、をおさえなければなりません。またそれぞれの特徴に対応した具体的な説明も必要です。

【回答例】単純労働者である移民が増えると労働時間が増える女性は以下の特徴を持つ。第1に賃金の高い女性である。女性の時給分布の中央値よりも時給の高い女性で時給が高いほど労働時間が増える特に女性の時給分布の上位25%の人は職場で働く時間が週当たり20分増える。第2に潜在的に長時間労働が般的である職業に就く女性である。男性が長時間労働をしている割合が高い職業で働く女性は長時間働く確率が増える。第3に教育水準の高い女性である特に博士号や専門職学位を持つ女性の労働時間が大きく増える。

設問2 この設問に対して適切に解答するためには、戦争を契機に働き出した女性が大卒男性よりも高
卒男性と競合していたこと、これによって大卒男性よりも高卒男性の賃金が低下したことをおさえなければなりません。

【回答例】第二次世界大戦を契機に働き出した女性が男性労働者にとって代わり、男性の賃金を全体的に低下させた。このとき大卒男性よりも高卒男性の方がより大きく賃金が低下したため、大卒男性と高卒男性の間で所得格差が拡大した。
これは戦争を契機に働き出した女性が大卒男性よりも高卒男性と競合していたためである。

設問3 この設問に対して適切に解答するためには、まず課題文で挙げられた数量的な分析結果や自身の知識をもとに、単純労働者である移民受け入れがどのような影響をもたらすかを検討したうえで説明しなければなりません。そのうえで、その影響がどのような観点から望ましいのか、あるいは望ましくないのかを説明しなければなりません。例えば解答例では、本文のコルテスとテサーダの研究結果ら、単純労働者である移民の受け入れは「一部の女性」が働きやすくなることで、リーダーの役割を担うのにつながるのではないかと推論しています。またそのことは男女平等な社会を築くという観点から、望ましいと論じています。解答例では、続いて、所得格差や女性間の社会進出格差を拡大する可能性があることから、望ましくないとも論じています。
課題文で挙げられた分析結果や自身の知識をどのように組み合わせるかによって、移民受け入れがどのような影響をもたらすかについての多様な推論が可能です。また、その影響は多様な観点から評価できます。唯一の解答はなく、課題文と整合的な範囲で多様な解答が許容されます。
設問に対して適切に論じていること、自身の考え方を適切に表現していることが大事です。

【回答例】日本において、単純労働者である移民の受け入れの影響が米国と同様であれば、本文にある「一部の女性」の労働時間を増やすだろう。日本では政治家や管理職といったリーダーの役割を担う女性の割合が低いことが課題となっている。「一部の女性」が働きやすくなることで、リーダーの役割を担う女性が増える可能性がある。またリーダーの役割を担う女性が増えることで様々な分野で女性が働きやすい制度や職場環境の整備が進み、結果として男女平等な社会をより築きやすくなると期待できる。これらは望ましい点と考える。一方で、単純労働者である移民と競合しやすい職業では、労働供給の増加によって平均給与が低下する可能性がある。また女性の社会進出に対する影響も「一部の女性」を除くと限定的であることから少なくとも短期的には所得格差や女性間の社会進出格差が拡大する可能性があり、これらは望ましくないと考える。

<北九州市立大学の公開内容からの引用>

北九州市立大学の所在地・アクセス

所在地アクセス
北方キャンパス
福岡県北九州市小倉南区北方4-2-1   
北九州モノレール「競馬場前(北九州市立大学前)」駅下車、徒歩約3分
ひびきのキャンパス
福岡県北九州市若松区ひびきの1-1
JR「折尾」駅からバス(約20分)、
「学研都市ひびきの」下車、徒歩2分

北九州市立大学】のHPはこちら

北九州市立大学の入試傾向

北九州市立大学の入試傾向は、以下のような特徴があります。

  1. 学力試験: 北九州市立大学では、学力試験として記述式の問題を出題しています。一般教養や基礎学問、論理的思考能力などが評価されます。
  2. 適性試験: 北九州市立大学では、学部や学科によって異なる適性試験が実施されます。例えば、外国語、数学、英語、理科、社会科学などの試験があります。試験内容や重視される科目は学部ごとに異なる場合があります。
  3. 英語力の重視: 北九州市立大学では、多くの学部・学科で英語力の重要性が強調されています。英語の適性試験や面接によって、英語の理解力やコミュニケーション能力が評価されることがあります。

学校成績と推薦入試: 学校の成績や推薦入試によって入学を希望する場合、成績優秀者や学校の推薦を受けた個別の入試方法が用意されています。推薦入試では、学校の成績や推薦状に加えて、面接やエッセイなどが行われることがあります

北九州市立大学の募集コース

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外国語学部(定員数:265人)

英米学科 (定員数:135人)

英米学科では、1・2年次に英語集中プログラムを設け、留学に必要な語学力の育成を目指す。2年次からの専門教育では、Language and Education Program、Society and Culture Program、Global Business Programの3つのコアプログラムが導入される。専門科目の多くを英語で学ぶことによって、英語の実践力を高めると同時に、専門知識を身につける。加えて、留学などの単位化を充実させ、実践力を備えた人材を養成する。

中国学科 (定員数:50人)

中国学科では、少人数クラスと段階的・集中的な教育システムによって、中国語の修得を目指す。また、中国の文化や社会についても理解を深め、語学力、幅広い見識、そして行動力を備えた人材を育成する。3・4年次はゼミで専門について深める。

国際関係学科 (定員数:80人)

国際関係学科では、国際問題、とりわけ東アジア・北米地域の政治・外交問題に強く、英語を駆使できて、さらに中国語・朝鮮語に優れた国際人の養成を目指す。

また、国際関係領域(国際政治経済・国際機構・国際協力など)と、地域研究領域(東アジアやアメリカの政治・外交、経済など)の2科目群によって、国際人として必要な専門知識を身につけることができる。

経済学部(定員数:284人)

経済学科(定員数:142人)

経済学科では、経済理論と簿記・統計の修得を二本の柱に据え、経済学の高度な知識と応用能力を備えた、理論と実践を統合できる人材の育成を目指す。1年次には専門基本教育を徹底して行い、2年次以降は、応用経済学系と地域・産業系の2つの応用領域を設け、グローバル化・SDGsなど、時代や地域に対応したカリキュラムを設定している。

経営情報学科(定員数:142人)

経営情報学科では、経営学、会計学と情報科学とを統合した教育システムによる人材育成を図る。経営学の総合力と、会計学、情報科学の専門能力の両者を身につけることで、現実の組織や企業の戦略策定に関わることができる問題解決型の人材を養成する。

文学部(定員数:222人)

比較文化学科(定員数:142人)

比較文化学科では、文学、思想、歴史など、日本や欧米、アジアを中心とした国や地域における文化全般にわたって比較研究を行う。専門科目には、文学、芸術、メディアなどの生成や発展・変容を学ぶ文化資源領域科目と、文化の多様性を学び、異文化や他者への理解を深める文化共生領域科目がある。充実した語学教育とともに専門科目の修得を通して、国際人としての教養を身につけることができる。

人間関係学科(定員数:80人)

人間関係学科では、現代社会の諸問題を深く体系的に教育・研究し、人間と社会をトータルに理解する。心理学、社会学、社会福祉学、環境学、人類学、生涯教育学、生涯スポーツ学などの専門科目が開講されており、総合科学的な方面から学習することができる。2年次から実験、実習のほか、調査、フィールドワークなどの実践的教育が中心となる。

法学部(定員数:253人)

法律学科(定員数:177人)

法律学科では、現代社会における法律問題を解決し得る法知識と法理解(リーガルマインド)を持った人材を育成する。公務員・法曹資格者(裁判官・検察官・弁護士)など、学生のキャリアプランに応じて履修コースを選択できるので、それぞれが、必要な知識・理解を修得し得るような体系的なカリキュラムを設計している。

政策科学科(定員数:76人)

政策科学科では、地域・国家・国際レベルで生じている諸問題を発見・分析し、主体的に政策を構想・立案・実行できる「実践的能力」を養成する。そのため、4年間にわたり、コミュニケーション、ディスカッション能力など、政策能力を身につけるカリキュラムを幅広く提供している。また、少人数教育を重視し、ゼミナール(演習科目)でこれらの能力をさらに磨いていく。

地域創生学群地域創生学類(定員数:120人)

「地域の再生と創造」という時代の要請に応え、幅広い教養と地域に関する総合的な理解を身につける。カリキュラムは5つの科目群から構成されており、少人数演習のほか、福祉施設やスポーツイベントなどの現場実習がある。

地域活性化に活躍する人材を育成する地域マネジメントコース、社会福祉士やパラスポーツ指導員等の資格取得を目指すスポーツ・福祉コースの2コース制。

国際環境工学部(定員数:255人)

エネルギー循環化学科(定員数:45人)

エネルギー循環化学科では、環境問題の解決に向け、自然・環境と調和した化学技術とシステムの開発を学ぶ。

機械システム工学科(定員数:45人)

機械システム工学科では、環境・エネルギーの視点から機械工学の基礎、創造性、応用力を養い、「ものづくり」技術を通して「豊かな社会」と「持続可能な社会」を実現する方法を学ぶ。

情報システム工学科(定員数:70人)

情報システム工学科では、人間社会や環境におけるさまざまな課題について、電子・情報・通信技術の本質を捉えた解決法を提案するために、人工知能やロボット制御、画像処理、センサー技術など、最先端の情報技術を学ぶ。

建築デザイン学科(定員数:50人)

建築デザイン学科では、資源・エネルギーやエコロジー関連の研究分野と実践領域を統合し、建築学を基本に建築・地域システムと環境の共生を学ぶ。

環境生命工学科(定員数:45人)

環境生命工学科では、便利で環境にやさしい材料・製品の開発のためのバイオテクノロジー、またそれを環境・生態系に配慮し、社会で生かすためのマネジメント手法を学ぶ。

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