2024年度東京都立西高校入試では、漢字の読み・漢字の書き取り・文学的文章・論理的文章(漢文含む)の5題構成になっています。
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記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
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大問1(漢字の読み)
〈解説〉
「衷心」・「吹弾」・「潤(む)」・「弄(する)」の読みが出題。
大問2(漢字の書き取り)
「証左」・「失当」・「間遠」・「天眼鏡」の書き取りが出題。
一字一字は難しくないが、どれも聞き慣れない熟語ばかりで難しい。
大問3(文学的文章)
上野歩『お菓子の船』からの出題です。
〈解説〉
〔問1〕心情理解(選択肢)
最初のワコの発言(「たとえば朝起きて~」)には、あくまで自分の感じたものだけをベースに何かを表現しようとする姿勢が表れているが、次の発言(「雪の朝~」)からは、他者の感じ方まで考えに入れていることがわかる。曽我は、このワコの成長を感じ取り、「やってみろ」と言ったのである。
アは、「コンテストで鶴ヶ島に勝てるような菓子職人に成長する可能性をも感じている」が誤り。そもそもコンテストに鶴ヶ島が出場することを曽我が知っていたかどうかも不明である。
ウは、「驚いている」が誤り。
エは、「ワコが話した感性の内容から大きな進歩は感じられない」が誤り。
菓子作りの中で「感性を発露させた」のだから、菓子で自らの感性を表現したということ。
アの「上生菓子作りに重要な感性がどういうものなのか示した」と、ウの「正しい感性がどういうものなのか説明した」は誤り。
イとエの選択肢を比べると、イが「奥山堂で身につけた技術を発揮して」と説明している野に対し、エは「職人の五年間の経験を生かして」と述べている。本文の「この五年間、お菓子づくりに役立つと聞けば~」の段落の内容に合致しているのは、エである。
〔問3〕理由説明(60字記述)
自分が作ったお菓子に対するワコの思いを説明すればよい。
菓子職人として認められたいワコは、自分が作った菓子が評価されることが何より誇らしかったのである。
〔問4〕内容読解(選択肢)
菓子職人として認められたいワコとは違い、鶴ヶ島は「自分の技術の確認のため」にコンテストに参加している。ワコが「おめでとうございます」と言っても、喜んでいるような様子はない。
〔問5〕内容読解(選択肢)
直後に「単なる説明」とあるのがヒント。「春・秋というテーマなのでウグイスと柿を作りました」という「説明」になっているというのである。ウ・エは誤り。
イは、前半の説明が誤り。感性がどういうものかよく分かっていなかった最初のワコの発言内容となっている。
〔問6〕表現理解(選択肢)
アについて、ワコは「桜の花の様子」がきっかけとなって「感性についての考えを深め」たわけではないので誤り。
イについて、「この五年間、お菓子づくりに役立つと聞けば~」とあるように、「時系列に沿って」はいない。また、ワコの心情表現が散見されるなど、「写実的」でもない。
エについて、「ワコ自身の実力も読み取れるよう配慮されている」が誤り。本文の最後で「絶句」していることから分かるように、ワコの実力はまだまだなのである(準優勝してはいるが)。
大問4(論理的文章)
松村圭一郎『旋回する人類学』からの出題です。
〈解説〉
〔問1〕内容読解(選択肢)
「この」とあるので、まずは前を見よう。「人間は、その自分自身がはりめぐらした~実験科学とは全く異なる」を押さえる。
ただ、このままでは「意味の網」がよく分からないので、他に説明されている箇所がないか探す。傍線部の後ろに「人類学者のやるべき仕事は、そこで何が起き、どう受け止められているのか、具体的な脈絡をたどり、その意味を探る『厚い記述』をすることだ」と述べられていることに注目する。
イが紛らわしいが、「実証的に解釈」が誤り。
アは、「対立し合っている」が言い過ぎ。また、バリの人々にそもそも「内外」という観念はないため、「不可分」とは言えない。
イについて、内と外のどちらが優位かという視点は本文にない。
エは、「自己の内面と外面のそれぞれに二面性のある」が誤り。自己の内面と外面という二面性が存在するのである。
〔問3〕内容読解(選択肢)
「マーカスらは、こうした批判を乗り越えようとする実験的試みを検討し~」と説明されている箇所に注目する。
その直後の「ときに矛盾をはらむような~さまざまな声が提示されるようになった」が答え。イは「極力科学的な」が誤り。
ウは紛らわしいが、研究対象を「従来の人類学者による民族誌」としている点が誤り。
〔問4〕理由説明(選択肢)
「異文化を理解し、表現する特権はもっぱら西洋人にだけある」という「権力性」が指摘されている。
〔問5〕内容読解(選択肢)
ギアツは、「他者の主観性を理解し説明するために、そうした他者への感情移入や仲間意識は
~解釈する能力こそが重要なのだ」と考えた。これが、「異文化を理解し、表現する特権はもっぱら西洋人にだけある」という「権力性」を表していたのである。
〔問6〕文章構成(選択肢)
ギアツの考え方が否定されていった潮流が説明できている選択肢はエだけである。
〔問7〕作文(200字記述)
現代は多様性の時代である。医学的な解明も進み、様々なカテゴリーを表す言葉が登場している。例えば以下のように書くとよい。
①そうした知識をしっかり獲得しておく必要がある
②そうしたカテゴリー化が偏見や先入観を生むことも理解したうえで、他者に寄り添うことが大事
大問5(論理的文章+漢文)
揖斐高『江戸漢詩の情景』からの出題です。
〈解説〉
〔問1〕理由説明(選択肢)
「見立て好きな江戸人は空を海に見立て、そこに烏賊や章魚が泳いでいると見たのであろうか」と説明されている。
〔問2〕理由説明(選択肢)
直前の「火鉢を抱え込むようにして~凧揚げに興じている」の内容を正しく読み取っているものを選ぶ。
〔問3〕内容読解(選択肢)
「凧揚げに興じた無邪気な子供時代は追憶の彼方に去り~病床に伏せりがちだった」の内容を正しく読み取っているものを選ぶ。
イが紛らわしいが、「共に庭先に出て冷たい風を受けながら」が誤り。子規は「病床に伏せりがち」であり、「庭先に出て」いたとは考えにくく、「忽然と~」の句からも読み取れない。
〔問4〕漢詩の表現(選択肢)
「頬杖をついた」がどのような姿勢かを考える。
〔問5〕内容読解(選択肢) 解答の中心は、「現在を過去へと牽き戻す力がある」と「一本の糸で地上と繋がって~人間存在の頼りなさ」である。