「共通テストの古文で高得点をとるためにやるべきこと」(全10回)の第7回は、品詞分解と直訳について書きたいと思います。
記事の監修者:五十嵐弓益(いがらし ゆみます)
【全国通信教育】最短合格オンラインのスカイ予備校 校長
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第7回 品詞分解と直訳
さて、暗記編は前回で終わり。ここからは実践編です。
とはいえ、今回紹介する「品詞分解と直訳」は、文法を暗記する際にも有効なので、もうやっているよ、という人が大半でしょう。軽く流し読んでもらっても大丈夫です。
私の好きな伊勢物語の「筒井筒」を例にとって説明します。
男住まずなりにけり。
これを品詞分解してみましょう。できるでしょうか。
まずは品詞分解からです。単語をとばさずにやってみましょう。( )表記は、ノートに実際に書くときによく使う書き方です。
男=名詞(名)
住ま=マ行四段活用動詞「住む」の未然形(マ四・未)
ず=打消の助動詞「ず」の連用形(打消・用)
なり=ラ行四段活用動詞「なる」の連用形(ラ四・用)
に=完了の助動詞「ぬ」の連用形(完了・用)
けり=過去の助動詞「けり」の終止形(過去・終)
上記のような感じで進めていけばよいわけですが、学習が進むにしたがって、適宜割愛していきましょう。「男=名詞」はわざわざ書かなくてもよいでしょう。動詞が完璧になれば、動詞もスルーしてかまいません(ただし、助動詞の識別において直前の動詞の活用形が必要になる場合は書きましょう)。助動詞も完璧であれば、この部分についてノートに書く必要はなくなります。頭の中で品詞分解すれば、難なく直訳が作れるはずです。
下記の一文は、同じく「筒井筒」からです。品詞分解をして、直訳を作ってみてください。
男は、この女をこそ得めと思ふ。
助詞が多めですが、品詞分解をすると以下のようになります。
男=名詞
は=係助詞
こ=代名詞
の=格助詞
女=名詞
を=格助詞
こそ=係助詞
得=ア行下二段活用動詞「得」の未然形
め=意志の助動詞「む」の已然形
と=(引用の)格助詞
思ふ=ハ行四段活用動詞「思ふ」の終止形
直訳は、「男は、(ぜひ)この女を得ようと思う」となります。できていたでしょうか。もちろん、ここから「男は、(ぜひ)この女を妻にしたいと思う」と意訳できれば完璧ですが、それはあくまで慣れてきたらの話です。最初からこなれた日本語にしようとするのではなく、あくまで直訳を作ることを意識しましょう。
ちなみに、品詞分解と直訳の練習をする場合は、品詞分解の正解が分かるものを使うようにしましょう。問題集によっては、意訳された綺麗な現代語訳しか載っていないものもあります。答え合わせができなければあまり意味がありません(さすがに直訳が載っているものは少ないと思いますので、直訳の答え合わせは諦めざるをえませんが)。 品詞分解をして単語を飛ばさず、一語一語を丁寧に訳していく。品詞分解や訳が分からなければ文法のテキストや単語帳で調べる。何度も何度も同じ単語を調べているうちに、自然と頭の中に入ってくるはずです。覚えて忘れて覚えて忘れて……の繰り返し。頑張ってください!